笑うバロック(641) バッハ・ダイナスティ

ほぼ20世紀以降、リアルに存在しないのに「ダイナスティ」な音楽家一族。
「ステータスを守ること自体がエリートの目的になっている」一族。

https://www.tokyo-harusai.com/harusai_journal/bach-2/


偶然とはいえ、わたし自身、年老いた両親と妹がひとりのほぼ純粋な典型的近代核家族です。老父は本物の天涯孤独なひとで親戚は知るかぎりいません。老母も兄弟全員が鬼籍に入ってから郷里の甥姪とは行き来がありません。わたしは、過去に向かって「一族」というものに会ったことはありません。ですから、佐藤俊樹先生のご本「不平等社会日本」を拝読して、なるほどやはりとしか思いませんでした。この本がでた当時の思い出、周囲の人に薦めると、大小の差はあれ「ダイナスティ」な方からは必ず反発されました。努力すれば何にでもなれる平等な社会を他者に押し付ける人たちでした。ご自分のダイナスティの恩恵は謙虚に隠していたものです。そしてダイナスティに加えてもらうためには、どんな屈辱的なことでも、将来のダイナスティ保障のために耐えなくてはならない----ざんねんな思い出しかありません。

ところでバッハ家の一族です。「バッハ・ダイナスティ」ですな。
家系図をちょっと拝借して、カラー枠で囲いましたのは、ヘルマン・マックス率いるライニッシェ・カントライが録音した面々。


ヘルマン・マックス率いるライン聖歌隊を初めて知ったのは、FMで若い合唱指揮者が欧州から一時帰国の折語った最近欧州の合唱シーンの中で。リアス、コリドン・シンガーズと並んで紹介されていました。このとき初めてリゲティ、バーバーと共にファミーリエ・バッハの合唱を知りました。その時点では、ゲーベルのバッハ以前のバッハの盤。

マックスは教会音楽から勉強と活動をしているため、プロフィールに派手さがありません。現代曲やルネサンス以前をとりあげないので、トリッキーなテクニックを聴かせる曲はなく、サクサクさばさばと演奏するので全体の印象として「こじんまり」して聴こえました。

個人サイトを見て、エーマンのミームにつながっている人なのかも、と。演奏のスタイルは全く違って聴こえるのですが。


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