笑うバロック展(271) バッハの周辺には思った以上にリュート奏者が
パリのシテドラミュージックの隣にできたフィルハーモニーで2015年4月4日収録。
ウイークエンド・バッハという名のシリーズ。開演20時30分ですと!!
ルネ・ヤコブス指揮ベルリン古楽アカデミーとリアス室内合唱団の競演。
指揮者から見て中央に通奏低音グループ。アルパーマンの鍵盤。フライハイトのチェロ。ガンバ、キンタナ。その中心に野入志津子のリュート----素晴らしい饒舌さです。ライプチヒにこんなに上手いリュートがいたかどうか。しかし前任にあたるユングへーネルやその師匠シェーファーが日本と関わり深かったことを思うと、なんだか下世話だけれど感慨深いもの----。
指揮者左翼に管弦群。最前列に管。ヘントゲブートやレフラーがトップ。その後ろに弦。ビオラがダモーレ兼務。バイオリン最後列にはマイも座って。
通奏低音の背後と右翼側に合唱団が管弦と対向する配置。独唱歌手は合唱と一緒にいて都度前へ出てソロを。
ソプラノ、スンヘ・イム。ベンノ・シャフトナー、アルト。マルチン・ラトケ、テナー。ヨハネス・バイサーのバス。福音史家のみ独立テナー、セバスチャン・コールヘップ。
ヤコブスはロ短調ミサの時から合唱と重唱を曲によって適宜分離して活用していましたが、今回もなるほどいう箇所で重唱を採用。いくつかのコラールでも使われていてハッとさせられました。(マタイでも採用していたのかもしれませんがマタイは聴いていません)
いつもながらリアスが素晴らしいので、OVPP形式採用にこだわなくても説得力十分。
ベルリン古楽アカデミーは、1982年旧東ベルリンで創立の古楽アンサンブル。おそらく壁崩壊以前からヤコブスと協力。サイトでは頭文字をとって「AkaMUus」と略称。
リアス、アカムス、ヤコブスの競演はかなりの数におよび、個人的には「クリスマスオラトリオ」が最も気に入っています。共通するのはヤコブスのバッハではリュートがよく響きます。歌手ヤコブスは1984年初来日だったと思います。FMオンエアで聴きました。アンコールのモーツァルト「ラウラに寄せる夕べの思い」をユングヘーネルと歌っていました。なんとロマンチックな楽器だろう、と。この頃に一旦歴史から姿を消すのに、当時現地で何が起きたのかしら。そんな興味が古楽を聴く楽しみというものです。
残念ながらヤコブスの実声は聴けず。鉄人28号のような指揮姿(褒めてます)のみ。
もし尋ねられたら「好きな合唱団は?」
当然リアス室内合唱団、あとコリドンシンガーズ、テルツ少年合唱団かな。
不滅の名演カール・リヒター指揮のヨハネ受難曲の動画で正体不明のリュート美女起用(まさか亡くなった時に一緒にいた人?)。誰だろう?野入さんは地味系で映像も少ない。奏でる音が美女なので十分ですが。
バッハの周辺には思った以上にリュート奏者がいたようです。ドレスデンのヴァイスを筆頭に、クロプフガンス、バイラウフ、シュトラウベ、ナーゲル。バロンやフォルケンハーゲンもすれ違っていたようです。