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笑うバロック展(320) ハープ好き
思い出のハープ奏者(忘れたくない、といっておきます)
マイナーな演奏家は誰かが記録に留めないと、ネットに埋もれていつの間か検索にも引っ掛らなくなりそうです。わたしのような者が感動した程度でも、できるだけ記しておくことにします。
殊にハープなんて、大御所といっても知らない人が多いでしょう。ラスキーヌより上松某の方が有名かもしれません。
エレナ・ポランスカ(ポロンスカかしら)は、「血とバラ」のサントラでアイリッシュハープを奏でていました。
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デレク・ベルは、チーフタンズのメンバー。すっとぼけたビルトーゾなオッサン。鍵盤楽器もこなしますし、ドゥシェックのハープなんか弾けちゃう。本当はマット・モロイとモーツァルトの協奏曲とか弾けそう。
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エドワルド・ヴィッセンブルクは、ブリュッヘン指揮のモーツァルトでフェスターと競演しました。モワっとしたところがない芯ある音でした。
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フランシス・ケリーは、アモンラのハープの歴史で勉強させてもらいました。
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マーラ・ガラッシは、「ウリッセの帰郷」でウリッセの放つ弓矢の役でした。モーツァルトでは通奏低音を弾きながら印象的でした。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21918822/picture_pc_ab0b514912d44d608368516606d88314.jpg)
スザンナ・ミルドニアンは、昔とあるカフェでBGMでしょっちゅうかかっていて、最も印象深いイタリア協奏曲。ハープを弾いている不自由さが感じられないビルトーゾ。
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余談。王妃のハープ・マリーアントワネットの宮廷の音楽
ソニーから借りたハープ奏者サビエ・ド・メストルとクリスティ指揮レザールフロリサン競演の古典ハープ協奏曲集。わたしの目にはもうほとんど読めない小さな表記でふたりのハープ関係者に献辞があり、反対に目を惹きました。
メストレが使用したシングルアクションハープを調整提供した職人名として下記のブダン氏。Luthierルシアー(ルシエ?)いち語で「弦楽器製作者」との訳。その中のハープ・スペシャリストらしい。ハープも弦楽器、当たり前ですが改めて「奥の深い」ものと感心。
もうひとりは、18世紀の楽曲の研究に貢献したカトリーヌ・ミシェルというハープ奏者に。メストレの先生ですが、同時にミシェル・ルグラン夫人でした。ルグランとの協演では華麗なグリッサンドをバリバリ、しかし検索すると若いころからミルドニアンとデュエットする実力者でした。
CDの演奏はまあ、マッチョイケメンの楽器になったのだなあ、と。伝統的に女性奏者がいた楽器なのですが。フランス料理はイタリアからメディチの姫が云々、菓子パンはウイーンからマリーアントワネットが云々などと。ではハープも。ウイーンから持参したものもあったかもしれないけれど、よく考えれば「ダビデの楽器」ミケランジェロのダビデみたいなメストレが弾くのも当然かしら。いろいろ教わったマンマに捧げるアルバム----いろいろね、やはり「奥が深い楽器」というわけ。
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----フランス・ニュースダイジェストのインタビュー記事----
18 Janvier 2007 No 824
アレクサンドル・ブダンさんAlexandre Budin「ハープは想像以上に奥の深い楽器」
Luthier, Spécialité Harpe
生年月日 1971年5月8日
肩書き ハープ専門弦楽器製造職人
経歴 会計士専門学校で経理の勉強をしたのですが、父が立ち上げたハープの仕事への興味のほうが強く、気がついたら弦楽器製造技師になっていました。
嗜好 この仕事をしているせいか、音楽が趣味の一部になっています。質のよい音楽は、聞くだけでその国の情景が目の前に広がってくるので、クラシックだけではなく、世界中の音楽に興味があります。
Q:このお店は家族で経営されているようですが、簡単な 歴史のようなものを教えていただけますか?
A:今からおよそ30数年前、この店の名前にもなっている母マドレーヌ・ブダンは、ハープ奏者兼ピアノとハープの先生しての活動を始めました。そして70年代初頭、この店の歴史に関わる大きな出来事が起こります。マドレーヌの「大事なハープ」が壊れてしまいハープ職人に修理を依頼したところ、新品のハープが買えるくらいの見積もりを掲示されたのです。
まだ、駆け出しで金銭的にも余裕のない母はこまりはてました。そこに、助け船を出したのが当時会計士だった父ディディエです。弦楽器職人としての知識もありませんでしたが、彼は見よう見まねで妻のためにハープの修理をしました。弦楽器業界の中でもハープは特殊な楽器で、市場は非常に小さいです。ですから、口コミで彼が妻のために行ったハープの修復が話題になり、しばらくすると専門の工房を造らなくてはいけないほど注文が来るようになりました。そして、かれはハープの販売、修復、貸し出しを行う店を構えたのです。
Q:ハープとは一般の人にはなじみのない楽器ですが、いったいどのような楽器なのですか?
A:現在皆さんが目にするハープの原型は、18世紀中頃に誕生しました。それ以前のハープといえば、フット・ペダルによる音階の調整構造がなく、微妙な音色を奏でるのが非常に難しく、作曲家の頭を悩ませる楽器のひとつでした。しかも、この楽器は他の弦楽器とは違い合奏向きではなく、オーケストラなどでも滅多に使われません。しかし、楽器職人セバスチアン・エラールによって、ダブル・アクション・ペダルが考案され現在の地位を築きました。
Q:ハープを使った曲にはどのようなものがありますか?
A:アイリッシュ・ハープなどは、現在でも世界的な地位を築いており、南米のハープ系の楽器は、非常にノスタルジックな音色なので、ワルツやトロピカル音楽などに用いられています。そもそも、ハープは数ある弦楽器の中でも特殊な楽器で、通常の楽器では絶対に出せないような音を造ることが出来ることから、現代音楽の作曲家に見直されており、最近ではジャズなどにも使われています。主な作曲家では、モーツアルト、バッハ、ラヴェル、ヘンデル、ハッセルマンなど、日本人では武満徹などがいます。
Q:アレックスさんはハープの修理をされているそうですが、どのように修理するか教えてもらえますか?
A:ハープとはとても高価な楽器で、しかも非常に繊細で扱いの難しい楽器です。僕の仕事は、ハープ奏者が気持ちよく演奏できるように、ハープのメンテナンスをしてあげることです。どの音楽家にとっても慣れ親しんだ楽器には愛着があるものです。ですから、修理を行う場合も、なるべく持ち主が次にハープを手にしたときに違和感を感じないように気をつけながら直します。もっとも、台座や支柱など特殊な部分の修理は、メーカーに交換してもらわなければいけないこともあります。
ハープ専門店 Le magasin de la Harpe
ハープの修理から販売までを手がけております。
まずはお気軽にお立ち寄りください。
Le magasin de la Harpe
Magdeleine & Didier BUDIN
14 avenue Carnot 75017 Paris
TEL: 01 43 80 01 56
M: Charles de Gaulle Etoile 1, 2, 6番線RER A線
http://www.harpebudin.com
e-mail: magasin@harpebudin.com
営業時間: 9:30-12:00、14:00-18:00
休業日: 日、祝