思い出のハープ奏者(忘れたくない、といっておきます)
マイナーな演奏家は誰かが記録に留めないと、ネットに埋もれていつの間か検索にも引っ掛らなくなりそうです。わたしのような者が感動した程度でも、できるだけ記しておくことにします。
殊にハープなんて、大御所といっても知らない人が多いでしょう。ラスキーヌより上松某の方が有名かもしれません。
エレナ・ポランスカ(ポロンスカかしら)は、「血とバラ」のサントラでアイリッシュハープを奏でていました。
デレク・ベルは、チーフタンズのメンバー。すっとぼけたビルトーゾなオッサン。鍵盤楽器もこなしますし、ドゥシェックのハープなんか弾けちゃう。本当はマット・モロイとモーツァルトの協奏曲とか弾けそう。
エドワルド・ヴィッセンブルクは、ブリュッヘン指揮のモーツァルトでフェスターと競演しました。モワっとしたところがない芯ある音でした。
フランシス・ケリーは、アモンラのハープの歴史で勉強させてもらいました。
マーラ・ガラッシは、「ウリッセの帰郷」でウリッセの放つ弓矢の役でした。モーツァルトでは通奏低音を弾きながら印象的でした。
スザンナ・ミルドニアンは、昔とあるカフェでBGMでしょっちゅうかかっていて、最も印象深いイタリア協奏曲。ハープを弾いている不自由さが感じられないビルトーゾ。
余談。王妃のハープ・マリーアントワネットの宮廷の音楽
ソニーから借りたハープ奏者サビエ・ド・メストルとクリスティ指揮レザールフロリサン競演の古典ハープ協奏曲集。わたしの目にはもうほとんど読めない小さな表記でふたりのハープ関係者に献辞があり、反対に目を惹きました。
メストレが使用したシングルアクションハープを調整提供した職人名として下記のブダン氏。Luthierルシアー(ルシエ?)いち語で「弦楽器製作者」との訳。その中のハープ・スペシャリストらしい。ハープも弦楽器、当たり前ですが改めて「奥の深い」ものと感心。
もうひとりは、18世紀の楽曲の研究に貢献したカトリーヌ・ミシェルというハープ奏者に。メストレの先生ですが、同時にミシェル・ルグラン夫人でした。ルグランとの協演では華麗なグリッサンドをバリバリ、しかし検索すると若いころからミルドニアンとデュエットする実力者でした。
CDの演奏はまあ、マッチョイケメンの楽器になったのだなあ、と。伝統的に女性奏者がいた楽器なのですが。フランス料理はイタリアからメディチの姫が云々、菓子パンはウイーンからマリーアントワネットが云々などと。ではハープも。ウイーンから持参したものもあったかもしれないけれど、よく考えれば「ダビデの楽器」ミケランジェロのダビデみたいなメストレが弾くのも当然かしら。いろいろ教わったマンマに捧げるアルバム----いろいろね、やはり「奥が深い楽器」というわけ。