動画鑑賞 不思議の国のアトキンソン再び
日本の賃金水準が取り沙汰され、疫禍の日常化が近づき、テレビをつけたらあの人が久々に。
小さなコーヒー店といえど、「観光化」「生産性向上」は必須です。
生産性について最近の動画。
これだけですと、個人経営の小さなコーヒー店はどうすればよいのか途方に暮れるところです。それでも、一夜にしてすべてが変わる魔法の呪文はなく、ひとりひとりの経営者が個々に、日々少しずつ「イノベーション」的意識を持つことを説いていました。
以前は本が出ると感想文を綴っていました。
2016年12月「新・所得倍増論」の感想
ゴーンさんが三菱のトップになるというニュース。彼の年収を聞いて、心が動かされないのです。どうもわたしも屁理屈日本人の仲間入りです。もちろん、現在あなたもゴーンになれると聞いて、そうだと答える日本人がどのくらいいるのかしら。
いつも耳が痛いアトキンソン氏の「新・所得倍増論」。刺激が強いタイトル。耳の痛い原因追及が延々。なかなか、じゃあ実際どうすればがでてきません。先に答えを言うと、途中の大切なところを、つまり耳イタなところは跳ばすだろうと、お見通しなんですね。でも今回はお付き合いします。アトキンソン氏は、誰に注意喚起しているのか、何を守りたいと思っているのか、少しわかってきたからです。
わたしの頭の中で未整理に渦巻いていること、アトキンソン氏の人口増加による経済成長と新雅史さんの人口移動の歴史を結んで、なんとか、1970年代から1980年代にかけて起きた小規模な商いへの個人の支出が、特定の内需にしかつながらない、おそらくはそれによってアトキンソン氏のいう日本型のGDPに貢献してきた、その結果として個人を滅ぼしかねない、大資本にとって都合の良い低賃金な労働力を作るシステム、それを何とかしたい----そんな連携連帯、ができないか。それでいて、ヤナイミキモトの様な根のない経営にしない、今いる日本人のためになる形。アトキンソン氏は、おそらくお会いすれば日本人より日本人な、方だとなんとなく感じます。周りにいる真剣に日本人のために働いている人たちに近い、と。アトキンソン氏は、わたしはいくらでも悪者になりましょう、と。
アトキンソン氏は、ご自分の会社の業界について、小規模経営乱立より統廃合で効率化した方が、悪い経営者を退け、よい職人が正しく仕事ができる、と。これをどんな風に経営者側もなくさないようにできるか。わたしのいる世界では、いましばらくは経営者(良い悪いマシを含め)と職人の共存共栄を模索しないといけません。アトキンソン氏は「共存共栄」という言葉にも厳しいのですが。
2017年1月「新・観光立国論」の感想
耳イタ、アトキンソン氏の「観光立国論」。すべてあなたの言うとおりです。あなたの言うとおりにします。あなたのいう「伸びシロ」はわたしたちがすべてを賭ける価値がある、のですよね。
あなたの本にあった、「超高級ホテル」を検索してみました。ヒルトンやシェラトンですら高級と思っているわたしには名前も知らない、思いもよらないホテルがでてきました。それが豪華とか贅沢とか、場合によって必要とか、まったく理解ができません。わたしは「井の中の蛙」でした。
わたしの上役がモナコでオテルドパリに泊まりたいというのを、1泊600ユーロからです、の案内で一蹴したことがあります。それが間違いだったとわかりました。夜行バスで出かけ、ビジネスホテルに泊まり、1円でも安く出張と考えていたわたしは、ずいぶんと視野の狭い、ビジョンのない、志の低い考えでした。
わたしの慎ましい贅沢は、たとえば先日のユガールのミサ曲を聴いたりするくらい。お金を落とす先進国の観光客の目的は『勉強』と書かれていました。それをわずかな費用と時間で、「勉強」をどんどん楽しむことで金持ちにはできない贅沢を享受していると思い込んで悦に入っていた、というわけです。はたまた、星前レストランを食べ歩き、星をとれるかとれないか、俄か審査員を気取ることで、賢く食べ歩いていると悦に入っていた、というわけです。折々に、シネコンレイトショーにでかけ、わずかでない映画鑑賞履歴をフルに使って、その分野の教養があればシネコンの通俗的な映画も賢く観解くことができる、それが本当の映画好きだ、と悦に入っていたというわけです。ささやかな贅沢の記録をブログにメモする、記念品など買わず余分な支出を減らし、観、聴き、読み、味わったことをネット上に記録することで、無駄遣いをしないでコスパな贅沢を維持できると悦に入っていたわけです。
そもそも贅沢は生産性を下げることにしかならない、無駄な贅沢はせず支出を減らすことが、縮小均衡の経済下では最も賢く生き残れる、何もしない保守的な働き方がわたしにとっては、最も好き勝手にふるまえ、ささやかだが自由な贅沢を満喫できる、それのどこが悪い、生活のためだけに支出して何とか家族と暮らし、その収入を維持することが、何もしない現状維持が、その判断のどこがいけないのか、皆がアトキンソン氏のように行動できると思うことがおかしいのではないか。そう「井の中の蛙」には蛙なりのやり方があるのだ、いきなり井の中に飛び込んできて、底の泥を舞い上げないでほしい。考えれば考えるほど、アトキンソン氏のいう間違った悪い事例の経営者のようになります。こうした感想の持ちようでは、結局アトキンソン氏のもっとも嫌う、後で彼が言った通り実行して、彼に感謝しないで生き延びる、そんな「ヤツバラ」といっしょです。しかし、正直な話、大変大変感謝しづらい相手だと痛切に思います。直にお会いしてお話を聞けば違うのかもしれませんが。読み進むほど、自分が愚かしく思えてきます。半分は予期していたことだけに一塩。あなたの言うことは「正しい」が今の日本ではそれは大変困難な課題なのです。「わかっちゃいるけどやめられない」という歌をご存じないでしょうね。(きっと知っているのだろう)アトキンソン氏の真摯な日本に対する思い入れ、または真剣な愛情といってもいい、どんなに悪者になっても言うべきは言う、という姿勢は、日本人がもっとも苦手とする接し方なのです、よ。
考えれば考えるほど、ドツボにハマってさあ大変。
ある美術史の先生が「観光」を「光を観に行く」ことと表現されました。そして、わたしの周囲にはそうした「光」が満ちていますよ、と言っていただいたことがあります。わたしは、わたしの仕事は「希望を持って門を敲く」すべての人々を観光されるべき「光」にすること、と今も思っています。そのために足りないことがすべて、この本に書かれ、アトキンソン氏が喝破しました。何がこんなにも自分を変えること、アトキンソン氏の言うとおりであると認めることを邪魔するのか、正直こんなに自分か頑なで保守的で、何もしたくない怠け者だったとは。なんとか自分の現状を認められるよう、努力したいと改めて思います。
それにしても、どうしてこんなにも「正しい」ことを、「正しい」と言い切れないのかしら。なんとも自分にがっかりしました。
2018年4月「新・生産性立国論」の感想
マーカーしたところ----景勝地は、何もしなければ単にきれいな景色を楽しむ場所でしかありませんが、カフェやレストラン、ホテルをつくれば価値を高めることができます。(中略)最近よく言われるアクティビティとは、お金にならない自然や文化財などをお金に変えるための手段、付加価値の創出手段です。
観光産業は世界のGDPの1割を占める第3の基幹産業です。
最後の一文が気にかかります。「すべては貧困に苦しんでいる子供たちを救うために。今こそ日本人が立ち上がることを、信じています。」
アトキンソン氏の第3弾は「新・生産性立国論」。
一生懸命、まだ伸びしろが残っていることを力説。
むなしくならずいつも訴える、あり難いこと。
それでもニュースでは、質が高くて安い商品を海外の人が買いに来るニュース、化粧品とか人形とか。妊娠した高校生を自主的に退学させるニュース。ミサイルの脅威で原発再稼働を止める訴訟が退けられるニュース。そのうち日本の土地は、今の日本人といわれる人々の所有でなくなり、その所有者がミサイルを止めさせる立場の人たちになっているかも。住んでいる人も、今の日本人といわれる人たちはドンドン減っていくわけですし。その土地を大切に思って、例えば移り住んで使ってくれる人々が、きっと日本人になる、のでしょう。
「ガンダルフを大統領に」というスローガンがあったような。不思議の国のアトキンソン氏は失礼だったかもしれません。中つ国の白いアトキンソン氏なのかも。
2020年6月のマザーハウスカレッジ動画配信感想
インバウンドのリーダーだったアトキンソン氏。
最近どんな発言をしているのか、気になっていました。
マザーハウスと接点があったとは、よく知りませんでした。
しかし2009年に高価なキーホルダーを購入したマザーハウス、いまでは700人所帯。10年経てば当たり前、ですか。
インバウンド増のために、インフラ整備する、結果富裕層のインバウンドのために作ったものを、実際使って楽しんでいるのは、日本人だったりする、豪華列車とかね----インバウンドは単価の高い新規顧客を開拓することで、外国人のことと限る必要はない。
ひとりの力は、どこまでいってもひとり分。なるほど。
それでも、誤解を招きやすいとか、よく本を読む必要があるとか、マザーハウスのお兄さんが言っていることも、ふむふむ。
消えていく側に立っている人もいるし、それをそのまま受け入れようという人もいます。
<ゲスト:デービッド・アトキンソン>コロナという外圧は日本経済を変えるのか?~マザーハウスカレッジ 木曜生カレッジ~
2020/05/14 にライブ配信
菅政権では重役に。
そして、最近改めてウィキペディアで検索して気になった部分。規制緩和と規制強化は表裏で、なるほど。個人事業ではこれが別人に分離しておらず、3.4人でこなせばよい、となります。
さらに、中小企業の統廃合の必要性について、プレジデント・オンライン・インタビューから引用。
厳しい話ですが、実際厳しい状況ですから、当たり前でしょう。