美しいジャケットのブリュメル(2019年12月記)

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まずカバーの絵はプラウティッラ・ネッリ作「嘆きの聖母」。
プラウティラ・ネリ(1524–1588)は独学の修道女アーティストであり、フィレンツェで最初に知られた女性ルネサンスの画家でした。彼女はフィレンツェのサンマルコ広場にあるシエナの聖カタリナ修道院の修道女で、サヴォナローラの教えとフラバルトロメオの芸術作品に大きな影響を受けました。
フィレンツェの美術館に保管されている何千もの女性の作品にスポットを当てた2013年のテレビ特集は、「フィレンツェの最初の女性アーティスト」としてあまり知られていない修道女画家ネッリを称えています。
どうも録音についても、女子修道院との関わりを重視しており、デボラ・ロバーツだけでなく、サリー・ダンクリー、キャロライン・トレバーなど懐かしいキャスティング。女声9名と低音をオルガンとヴィオルで器楽伴奏2名。これも解説に、女子修道院では慣習的に移調したり、低音を器楽で補う方法がとられた、と。ウエルガスアンサンブルのように派手に器楽を使わず、かといってタリススコラーズのようなアカペラもとらず。
先日のパレストリーナの男声のみのねっとり絡みつく演奏の反対側の歌い方かしら。
ブリュメル(1460年頃-1515年以降)については、検索によると下記。
残念ながら、当盤の哀歌の完全版は1559年の写本に由来し、様式的解釈はもっとよく聴かないとわかりません。
ただ、トータルで42分半におよぶ大作。
どうも、「Heth」「Caph」だけだった作品の、他の部分が発見されたらしい。フィレンツェはアルノ川の氾濫で写本が痛んだりなくなったり。散逸した写本だったのか埋もれていたのか。「Lamed」「Nun」「Gimel」が追加されました。
未踏氏のブログによると、下記。

ブリュメルは生涯を通じて作曲様式を発展させ、初期作品では、オケゲム世代の不規則な旋律線やリズムの複雑さを示しているのに対して、後期の作品では、ジョスカン・デ・プレの通模倣様式に加えて、当時のイタリア人作曲家の(例えば、ブリュメルと同時期にフェラーラ宮廷に仕えたバルトロメオ・トロンボンチーノの作品のように)ホモフォニックなテクスチュアを取り入れている。ブリュメルの作曲様式で特異な点は、時おり和弦的な書法の中で、非常に急速な、1音節1音による朗唱を用いており、後の16世紀のマドリガーレの流行を先取りしている点である。
ブリュメルの4声のための《レクイエム Missa pro defunctis》は後期の作品で、「怒りの日 Dies Irae」をポリフォニーで作曲した最初の例として知られる。

「怒りの日」はネット上で聴くことが可能ですが、なかなか個性的ですし、例の有名な聖歌もしっかり歌われます。元々器楽付きなのか、可なのかはわかりません。ウエルガス盤は12声のミサとディエス・イレ、ネーヴェルの選曲は全うです。
しかし、ゴシックバンド、エレンドの情報はなんとか検索で日本語情報が見つかりますが、ブリュメルというといかにも少なく感じます、仕方ないか。

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楽しみに。

闇の中に当てられた新たな光
ブリュメルの『哀歌』はこれまで、2節とリフレインからなる版が知られており演奏されてきました。このディスクでは、16世紀の写本から発見された新たな17節を追加した「完全版」が演奏されています。またディスクの後半は別の写本によるジョスカンらの作品を収録。修道院の空気が流れてくるような美しい声楽アルバムです。(輸入元情報)
● ブリュメル:聖金曜日のエレミアの哀歌(完全版)
● ジョスカン・デ・プレ、ロイゼ・コンペール、他:声楽作品集
ムジカ・セクレタ/デボラ・ロバーツ&ローリー・ストラス(指揮)録音時期:2019年

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