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笑うバロック(685) ピアノでラモーを弾く人

猛暑の中で聴いた「コンセール・クラヴサン」があまりに印象的で、その後いろいろと検索しました。
ひとつは過去の録音で「クラヴサンが中心の曲」と聴こえるもの探索。

結論のひとつは、アルベルト・ラージのアッカデミア・ストゥルメンターレ・イタリアーナの演奏でした。パトリツィア・マリサルディが目立つ演奏でした。クラヴサン以外の楽器が「上手に控えめ」。クラヴサンが前に配置されているように感じました。写真では、ふつうのクラヴサンの左前方にフルート、バイオリン、右前方にガンバ。何が違うのかしら。
マイクの位置というのか、聴き手の位置設定がもっともクラヴサンに近いところなのでは、と聴こえました。

コンセール・クラヴサンのサンサーンス版を聴いて、「ピアノで弾くクラヴシニストの伝統」という惹句を思い出しました。
青柳いづみこの「やさしい訴え~ラモー作品集」のもの。1887年製スタンウェイを使用していました。「伝統」は、恩師安川加壽子の門下に受け継がれ、と。では源流は?もちろん安川の学んだピアノ演奏の伝統のことで、ラモー演奏の伝統とはニュアンスが違うでしょうけれど。
さっと聴けた録音はデュソーでした。このラモーは聴きとおせました。ラモーの鍵盤作品全集は、クープランより少ないので助かります。クープランは残念ながら聴きとおしたことはありません。ラモーは鍵盤作品でも「劇場的」に聴こえます。劇場作品に接する機会が増えた現代では余計。
クラヴサンでは、ルセの録音をよく聴きました。関根さんか船山さんが、踊ることを意識したテンポといっていたような。DVDで「優雅なインド」を観て「未開人」で歌っているのを聴くと舞踊を意識しすぎるとこじんまりした印象になるのではと思いました。ラモーは、歌と踊りがふたつの中心をもつ楕円を意識させます。

Thérèse Dussautテレーズ・デュソーのラモー(1977年~1980年)。
クラヴサン曲全曲。コンセールクラヴサンの独奏。オペラの編曲。
ウィキ検索によると、作曲家ロベール・デュソーと、パリ音楽院の音楽理論教授エレーヌ・コヴァッティの娘、音楽家一族の系譜です。
オペラ編曲を聴いてその対比で鍵盤曲を聴くとデュソーは、ラモーの全体像とあっているように思います。
すこし気になるのはラモーの不均等奏法の塩梅です。クラヴサンとピアノの違い、歌ととらえるか踊りととらえるかの違いで表情が変わってくるようです。

デュソー以前では、Marcelle Meyerマルセル・メイエの選集(1946年、1953年)。伝統的レパートリの支流のように聴こえました。
わたしのお気に入りカサドシュもいくつか弾いています。なんだか適当技巧任せに弾いているようなのですが、そこが余計な思惑なく身に着いたサロンの技芸という印象。「鳥のさえずり」!!いいね。

とても全部は聴けませんが。機会をみつけて触れてみたいと思います。

タロー選集(2001年)
青柳いづみこ選集(2005年)著作はいくつか拝読しましたが、演奏は聴いたことがありません。
ヒューイット選集(2006年)

Alexander Paleyアレクサンドル・パレイ(CD3枚、2006年~2014年)装飾というより後の時代の編曲版のような。「3本腕」「エジプトの女」
Stephen Gutmanスティーヴン・グートマン(CD3枚、2006年ころ)

ナターシャ・クドリツカヤ選集(2015年ころ)
Virginia Blackバージニア・ブラック選集(2018年)検索するとクラブサン盤とピアノ盤がでてきます。
Jean-Pierre Fereyジャン・ピエール・フェレー選集(2009年)ファツォリ使用。クラシックなピアノにちょっと聴こえません。

ピアノラモーといえば。これまた個人的お気に入りのソコロフのライブ。
よく取りあげます。ですが、そんなに説得的に聴こえません。

ラモーで弾いたラモーは、なさそうです。おそらく。



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