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SCAJ展示会から連想して活動した2題

[1]
高円寺メーヴェコーヒー訪問。
そこは、きちんとした味覚をもっているコーヒー店。
きちんとした味覚というのは、技術上「味香りが悪くなる要素」をていねいに排除した結果、残ったものが、自分を含めた「人が口にする」食品である、ということがわかっている感覚です。
コーヒーの焙煎で言えば、素材の特徴を引き出す個性的香りを最高潮にコントロールしたとき、後味に渋みが残り胸焼けするようなら、最高潮の個性を潔く諦めます。

さらには、その店が提供する味香りについて、明確な目的意識があることです。素晴らしい石材や木材から目的のイメージを、まるで埋まっていたものを掘り出す彫刻家のような視点、いや見抜くセンスでしょう。
しかし、石には斑模様の特徴、木には木目の特徴があり、シルエットとして見た時のイメージとは違います。それでいて円空仏のような量産の側面、統一感の側面もあります。
想像するに、根付のようなものかもしれません。また日本刀のようなものかもしれません。

高円寺ブレンド、ブラジル、カプチーノ、3杯で2000円。知人たちと3時間も談笑して、楽しい時間を過ごしました。

そして、個人経営の小規模なコーヒー店であること。
「独立自営」が「孤立」にならず、「鎖国」や「アジール」でなく、出入りが自由なのにオーナーによる結界の中の秩序が維持されていること。
事業規模が拡大し、人を使うようになると組織の中の経営者の孤立化が進み、同等の同志としてパートナーを迎え入れることが、事業そのものの売買につながったり、独立自営の成功例をパッケージとして販売するようになったり。
独立自営を守りつつ、長く事業を継続している事例はあまり多くありません。


[2]
蕪木イベントで自由学園明日館訪問
蔵前で自家焙煎コーヒーとチョコの店を経営する蕪木氏が輸入元のひとつエチオピアのモプラコ社代表を招聘してトークイベントを開催しました。

3つのエチオピアコーヒーにペアリングボンボンを楽しむ会、参加費5000円でした。

コーヒーはモプラコ社が焙煎して持参した3点。ボンボンはコーヒーに合わせた蕪木製。表記は覚えている限りなので、いい加減なところもあります。

コーヒー1
エチオピア・イルガチェフ・ナチュラル精製
モプラココメント「エレガント、ライト、ジャスミンティー」
蕪木ボンボン「ラズベリーマダガスカルチョコ」

コーヒー2
エチオピア・シダモ・水洗式精製
コメント「フルボディ、アシディティ、レモン」
ボンボン「レモンクリームホワイトベネズエラチョコとヘーゼルナッツ」

コーヒー3
エチオピア・ナンセボ(グジとシダモの間地域との説明)・水洗式精製
ボンボン「ジャスミンティーライクエクアドルチョコ」

素晴らしいイベントでした。惜しむらくはスピーカー氏が、業界向けプレゼンから脱しておらず、一般のお客様には難易度が高いものに。あらかじめコーヒーというものの概要や、専門用語の理解が要求されるものでした。もちろん、エチオピアの基本情報もお客様の教養に委ねられていました。
学研「コーヒーのひみつ」くらいの情報をもっている人々向けという体になっていました。
蕪木氏は、利き珈琲選手権を制した実績あるSCAJコーヒーマイスターです。お客様にコーヒーマイスター受講済程度を要求する企画では、せっかくの生産地とお客様の距離を縮めるものにならない可能性があります。

以前から感じていたのですが、コーヒー関係の方々は、仲間うちに話しかけるようにお客様に話してしまうことが多く見受けられます。お客様に伝えるというより、仲間うちの知識情報量を自慢しあうかのような話ぶりになることがあります。新しい世代のコーヒー店を訪問すると、当店には今様コーヒー通がわざわざ通うコーヒー店なので、ホット!ブレンド!で済ませようとするお客様には向いていません、といわんばかりの高敷居にめぐり逢うことがあります。

実際の提供方法は、コーヒーは、デミタスカップソーサー1客の使い回しで、3種。飲み終わったカップに30~40ccをポットからサービスしてくださいました。コーヒーを楽しむのに支障は感じませんでした。
ただ、望めるなら、別カップで並置して比較試飲できると、もっとよかったかと思います。この場合、ワイン試飲用のプラカップでも、眼前に並べて行き来できる試飲の方がわかりやすかったかと思います。

モプラコ社の代表は自社のPR動画を流しながらプレゼンしました。コーヒーの森が減っていることを残念がり、保全に努めていると。コーヒーに限らず森は伐採され、成長がはやく燃料になる木に変えられている、成長がはやい分土地を痩せさせサバンナ化が進むだろう、それを止めたいと広報活動をしている。人口が増加している若い国にとって、コーヒーと燃料木材や食料農産物は背に腹は代えられない問題です。
精製方法への言及について、水洗式精製の排水処理の改善に努力していること、ナチュラル精製について網棚を使った乾燥方式を広めている、その上で昨今話題になっているハニー精製や嫌気醗酵の導入も進めている。ただこうした新商品開発の競争は、加熱すると持続可能性と相反すると懸念もいだきます。

エチオピアは遠い国のまま、で終わった印象です。

アジスアベバは新しい花でした。エチオピアは、日本に対して生花の輸出が多かったのではないでしょうか。

アジスアベバの標高ではコーヒーは栽培できません。
ソマリアの海賊問題までいかなくとも、エチオピアの歴史地理の概要を理解してもらわないと、コーヒーの現状まで話が進みません。
SDGsの取り組みや、女性の活躍など、話題性があっても、なかなか想像が追いつきません。

以前、パナマ、ゲイシャの父、ドンパチ農園オーナーのプレゼンを聞いたことがありますが、たいへん小さな農園のオーナーでしたので、一般のお客様が近寄れるストーリーを語ることができました。
パナマ・ドンパチ農園のティピカ、ゲイシャ水洗式、ゲイシャナチュラルの3点を並置し比較試飲できる量をサービスしました。






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