グラウンの楽曲分類記号、オーボエ協奏曲集なのですが

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輸入元の資料
クセニア・レフラーによるグラウン兄弟のオーボエ協奏曲集
兄ヨハン・ゴットリープ・グラウンと弟カール・ハインリヒ・グラウンは、共に1732年にプロセイン皇太子フリードリヒの宮廷楽団に迎えられ、1740年にフリードリヒ大王が即位すると、ヴァイオリンの名手として知られていた兄ヨハンは王立ベルリン歌劇場のコンサートマスターに、弟カールは宮廷楽長に就任しました。グラウン兄弟は、初期古典派の主要な作曲家であり、2人ともベルリンの宮廷楽団で活躍し、ギャラント様式による作品を残しており、兄ヨハンは交響曲、管弦楽曲、特に器楽曲でその本領を発揮しています。そして弟カールはフリードリヒ大王の宮廷のために多くのオペラを作曲、『モンテツーマ』、オラトリオ『イエスの死』は有名です。このアルバムには、2人が作曲したオーボエ協奏曲を中心に、同時代の作曲家J.C.F.フェルスター、J.B.G.ネルーダの作品を収録しています。演奏はベルリン古楽アカデミーのメンバーでバロック・オーボエの名手クセニア・レフラー。前古典派の北ドイツ楽派の作曲家を専門的に演奏する音楽家として『ドレスデン宮廷の作品集』(ACC24202)でもその素晴らしい演奏を聴かせていました。録音:2012年10月 ドイツ、ポルディッツ

スリーブ解説には2006年にクリストフ・ヘンツェルが編纂したグラウンのカタログについて言及があります。
近い範囲で活躍した兄弟で、現存する自筆譜が少なく、コピー譜とパート譜は周辺の弟子や同僚たちが作成し、サインが「Graun」とだけの場合が多い。経歴も筆跡も作曲スタイルも似通っていて、役職上の区分けから、片方がオケのコンマスだから器楽、片方が宮廷オペラの楽長だから声楽を中心に作曲したと分けられやすい。バッハの息子たちの違いと比較すると区別しづらい似ている兄弟とのことです。
そこでヘンツェルは、楽曲に分類記号をつけました。

A ヨハン・ゴットリープ作
Av ヨハン・ゴットリープ作として確証がない
B カール・ハインリヒ作
Bv カール・ハインリヒ作として確証がない
C 兄弟どちらかの作
Cv 兄弟どちらかの作として確証がない
D 兄弟の作ではない(前述の理由から名前の綴りが似ている他の作曲家の作品が混じることになったとのこと。グラウエルとかグラップナーあたりまで間違われています)

この作品集は、全体がC1、Cv3、D3で構成されています。うち肝心のオーボエ協奏曲は、Cv2、D2という具合です。Cvのト短調は過去にホリガーも録音したものです。ホリガー盤には規模が大きいハ短調協奏曲がはいっていますが、ヘンツェルの分類記号はわかりません。このホリガー録音の2作品を比較してもわかるのですが、特にヨハン・ゴットリープの協奏曲には規模の大小がはっきりしています。小規模はテレマンのようなバロック的作品。大規模はハイドンよりなギャラントでビルトーゾな作品。過渡的時代を生きた人で職人的作曲家の側面がまだたくさん残っていて、ビルトーゾな器楽奏者がいればそれに合わせて技巧的な曲も書く、ガンバのヘッセのような名人がいればそれ用に協奏曲を書きます。音楽が、誰が書いたかでなく、誰が聞くかで作られた時代です。あまりに消費者(聴き手)本位なので、CPEのように鍵盤作品に偏ったり、グルックのように声楽に偏ったりしますが、この後、聴き手がいなくても書く、という時代が来ることを考えると、そんなに悪い時代とは思えません。

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