2024年ポーランドの古楽祭Muzyka w Rajuの収穫(3) 古楽YOASOBI
ポーランドの古楽祭 Muzyka w Raju (ミュージック・イン・パラダイスのポーランド語のよう)。
綴っていたプレクラシック周辺から外れますが、音楽祭の感想の続き。
「ラ・ネビュルーズのカブスベルガー」
どこで拍手していいか聴衆が戸惑ってしまう、初期バロックを中心にした低音楽器のグループ。デジャブの源は「トラジコメディア」ではありませんか。
リズムがわかりにくい、あまり歌わない、自由なトッカータからラテンがかった舞曲や、オスティナートの利いた舞曲。
アンコールのトッカータ・アルペジャータは即興のようなアトモスフェールな感じ、煙に巻かれた感じかしら。
わたしは、1990年ころNHK-FMの古楽祭の録音かなにかで、ジェズアルド・コンソートと共闘するトラジコメディアの演奏を体験しました。
この音楽祭に参加してグラウンのソロを弾くアンドレの父ロルフ・リスレヴァンのカプスベルガーアンサンブルも同傾向か、聴いた当時、なんだかわけのわからない新しいバロック音楽の演奏がでてきたものだ、と。カナリとかパッサメッツォとか、ちょっとYOASOBIのようにも連想。
〈デコーロ〉は飾り立て、それが無意識に高貴さ〈スプレッツァトゥーラ〉を放ち、聖なる狂気〈グラーツィア〉の境地にいたる----「内なるオルフェウスの歌」が成立するかどうか、を目安にするなら、ラ・ネビュルーズは〈スプレッツァトゥーラ〉に昇る途上の若さが、やや意識が過剰気味だったかもしれません。
グループのサイトを観たところ、デュメストルのポエム・アルモニクやドゥセのコレポンダンスなどに続く可変編成グループのようです。
いずれフランスのルソンやイタリアの哀歌をレパートリにしそうではないかしら。どうかよい歌手と出会ってください。