スクラップ カフェの役割を考えるヒント

あそび、ムリむだムラを楽しむ「ホモ・ルーデンス」

桃山晴衣版の「あそびをせんとや」から端を発し、いつしか小沢昭一へ。
2007年から2008年にかけての「小沢昭一的こころ」の「遊びをせんとや生まれけむについて考える」に。
遊びがなくなってきている。無駄に思えるけれど人間にとって大事な余裕。
あそびのないハンドルで車を運転しているようなもの。
そして、話題はホイジンガの「ホモ・ルーデンス」へ。
人間の本質は遊ぶということ。「遊ぶ人」を「ホモ・ルーデンス」と命名。「知恵ある人」「ホモサピエンス」でなく、「遊ぶ人」が人なんだと提案した人がホイジンガ。そうか遊ぶために生まれてきたのなら、出世なんかどうでもいいじゃないか。「遊び人」のあとに「働く人」「ホモ・ファーベル」が誕生した。遊びを忘れて、ずいぶん働いて、世の中ギスギスしてないか。何の役にも立たないことを楽しめるのが遊び。
とまあ、そんなおしゃべり。

ホイジンガで検索をかけると、松岡正剛氏に辿りつきました。

https://1000ya.isis.ne.jp/0772.html
772夜2003年5月13日

もとよりオリジナルを読む気力はありません。松岡氏の文を読むのも大変なのに。
松岡氏の千夜千冊には「ホイジンガが遊びに注目したのは、遊びが本来の生の形式ではないということにある。ありあまる生命力の過剰をどこかに放出するもの、それが遊びであった。」
「遊びは何かのイメージを心のなかで操ることに始まっているというべきなのだ。」「だからホイジンガもこう書いた、『遊びはものを結びつけ、また解き放つ』。」
「ついに『遊びの共同性』に言及し、そこで『遊び』と『クラブ性』とのあいだに何かの重要な関係がひそんでいるだろうことに向かっていった。」
「ただホイジンガは、そのことをうまくは説明しなかった。遊びとクラブの本来的な共鳴関係に気がついたままだった。ホイジンガは端的に遊びとクラブの関係を言ってのけもした。それは、こういう比喩である。『遊びとクラブの関係は、あたかも頭と帽子の関係のようなものなのではあるまいか』。」

さらに下記の3冊のこと。

「ヨーロッパのサロン」評。

https://1000ya.isis.ne.jp/0474.html
474夜2002年2月08日

「コーヒー・ハウス」評。

https://1000ya.isis.ne.jp/0491.html
491夜2002年3月06日

これに「クラブとサロン」評を加えて、「カフェの物語」になります。


https://1000ya.isis.ne.jp/1502.html
「松岡正剛の千夜千冊」
1502夜2013年3月31日


「ヨーロッパのサロン」評の中で松岡氏がふれたサロンが成立する条件。

第一、「この人が招いているんだ」と得心できる亭主やマダムないしは女将がいてもらわなくてはならない。
第二、どこでも見たことがない内装。質素でもかまわない書棚。暖炉やピアノや茶室や囲炉裏に代わる団欒装置。
第三、茶と酒と肴以外の趣向がほしい。談論風発は、たいてい主人やマダムが隠れたアジェンダをもっているからおこること。
第四、ときに一回「かぎり」というものがあっていい。一度でもいいから「忘れられないサロン」を開くべき。
第五、ツールやロールやルールめくものがあったほうがおもしろい。イギリスのコントラクト・ブリッジや江戸の俳諧や茶会はそのようにして生まれた。
第六、サロンには公式の場からは出てこない思想の雰囲気がほしい。サロンは「世界観の派出所」ではない。「世界観の苗床」なのである。

「世界観の苗床」という言葉には感心します。

ところで、小沢昭一ラジオの2004年には「一杯のコーヒーから考える」もありました。
不満をコーヒーに沈めて飲み干す、不満の解消法。
コーヒーすなわち恋愛。
最初の喫茶店。当時庶民にコーヒーの味などわかろうはずもありません、えらく評判の悪いまんまぽしゃっちゃった。
コーヒーなんてわけわかんないからお酒でも置こうかとカフェーがはじまり、ついでに女の子も置いちゃおうと、カフェーはピンク模様に。
これじゃいけないうちは純粋にコーヒーで勝負だと純喫茶が----。もうじき自家焙煎コーヒー店ですが、辿りつくまでの道すがらを忘れないようにしたいものです。

天日干しからやれ嫌気性醗酵だのなんだのと、だんだん閉じた空間の方へ移行するみたい。カフェからクラブやサロンに展開する中で、どんな要素を持たせたお店をつくるかが問われます。開放的なカフェから、安全性を保つためにクラブになり、閉鎖的だが安全なサロン空間から世界観の苗が育つ流れ。自家焙煎コーヒー店は、ディオゲネスクラブに対するベーカー街221Bのようなものかもしれません。


クラブとサロン —なぜ人びとは集うのか— •著者:小林章夫+笠井潔+長島伸一+川田靖子+長澤均+中条省平+杉藤雅子+秋田昌美+高橋秀元+守屋毅+田中優子+高山宏+松岡正剛 •発行所:NTT出版株式会社 •1991年1月22日 第一刷発行
目次情報 第1章|クラブへの招待 —人々が集う場所 •情報が価値をもったとき………小林章夫 •反共同体のトポス………笠井潔 第2章|メディアから消費へ —クラブとサロンの発生 •情報ステーションの誕生………長島伸一 •寝室に集まる人々………川田靖子 第3章|多様なメッセージ —細分化するクラブとサロン •狂乱の昼、歓喜の夜………長澤均 •カルナヴァル空間尾の拡散と解体………中条省平 •自由をもとめる女たち………杉藤雅子 •クラブ・ザ・アンダーグラウンド………秋田昌美 第4章|「数寄」から「連」まで —日本のクラブとサロン •寄合と会所………高橋秀元 •都市と密室………守屋毅 •連の場………田中優子 第5章|蘇るクラブ世界 —もうひとつの情報時代 •クラブ近代史異説………高山宏 •クラブ・サロンの編集史………松岡正剛

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