笑うバロック(620) 平成「芸術祭賞」バロック

少し乱暴な言い方ですが、日本人にとってバッハはベートーベンやモーツァルトより圧倒的に「芸術」として捉えやすいようです。
サックスでバッハを演奏する、というのも何か因縁めいたものを感じます。
令和2年はサックスのバッハでしたが、平成の芸術祭賞もバッハから始まっています。

令和2年の芸術祭賞

大勢の人がとりあげると価値が上がっていきます。

平成元年の芸術祭賞

文化庁の芸術祭賞のリストを見て、気になる録音をスクラップしてみました。元年バッハ、5年テレマン、7年バッハ、12年バッハ----。
5年はデンオン・アリアーレのテレマン作曲パリ四重奏曲2枚組。
7年無伴奏チェロ組曲。12年は無伴奏バイオリン。

平成5年の芸術祭賞
平成7年の芸術祭賞

余談ですが、平成6年に次の盤も表彰されました。
これは貴重と思います。

平成6年の芸術祭賞

問題のバッハは、元年12年経て令和2年まで曲目も同じ。欧米の古楽の隆盛が伝わるようになるにつれて、奏者層も厚くなってきてヨーロッパでは日本の奏者の評価も高くなってきた、個性的で癖が強く感じる奏者でなく、また前世代を全否定するような過激な奏者でもなく、最初の選択としてモダン楽器ならこの奏者、古楽ならこの奏者と、ベイシックなリストにいれて過不足ない----。

平成12年の芸術祭賞

平成20年代、バッハのあの曲しか候補がないというのはアンバランス、といわんばかりブクステフーデが。活発化した活動の中でバランスのとれた公平な選抜としたい。翌テレマン。そしてランゼッティというマイナー作曲家。

平成22年の芸術祭賞
平成23年の芸術祭賞
平成24年の芸術祭賞

そして平成25年はバッハが2種。

平成25年の芸術祭賞
平成25年の芸術祭賞
平成26年の芸術祭賞

姉妹で1曲だけルクレールを。それでもバロックは注目度が上がっています。
余談として。テレマン、ランゼッティ、バッハと並んで表彰されたのは、次のような盤。

平成23年の芸術祭賞
平成24年の芸術祭賞
平成25年の芸術祭賞

平成25年総決算のように、バッハ、バッハ、イタコ。この3点の記録がどこか共通点にあふれたものに感じられます。
ちょうどテレビでは「ワルイコあつまれ」が。




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