「木琴デイズ・平岡養一天衣無縫の音楽人生」は第36回サントリー学芸賞と第24回吉田秀和賞のダブル受賞作ということ。しかし、わたしは一気に読めるほど夢中になれませんでした、なぜかしら?
サントリーのサイトに川本三郎の選評がありました。(下に採録)
「きちんと木琴の歴史を辿りたい」「評伝は、何よりもまず対象への敬愛がもとにならなければ」全くその通りだと思います。
文章から楽器そのものや演奏に対する想像が及ばず、ノレない感じ。平岡という人物もちょっと健康的に過ぎるような気がします。元々が裕福な家柄なので余計平板に感じます。評伝によくある比較対抗する人物(鶴田先生の評伝が1/3水藤錦城に費やされるように)の紹介がお飾り的かも。
タイのラナート映画ほどエンタメにする必要はないと思いますが。
林光は語りかける態度が現れる文だったと思います。黒沼さんはジャーナリスティックに長けて読めます。ふたりは演奏も聴いてみたくなります。
紘子ちゃんはユーモアがあるエッセイスト。青柳いずみこ氏はペダンティックかしら。ふたりとも文が上手すぎて、演奏家だということは忘れてしまいます。
その意味では通崎さんは----歴史社会的な訴えかけは強くなく、テーマの人と楽器の音が鳴ってくる文としても弱く、失礼なのだけれどなぜだかやや自己宣伝っぽく読めてしまいます。紘子ちゃんはコンクールについて宣伝しているのだけれど客観化が過ぎ、青柳に至っては自分の演奏のテーマについて書いているのに難しすぎて宣伝になっていないような。そういえば、原千恵子の評伝を書いた人は未熟なところが散見されましたが、記録を残そうとする情熱が半端でなかったと思います。
2005年のタイ映画「風の前奏曲」はタイの木琴スポ根アクション。