2024年ポーランドの古楽祭Muzyka w Rajuの収穫(4) エキゾチック・ボヤージュ
ポーランドの古楽祭 Muzyka w Raju (ミュージック・イン・パラダイスのポーランド語のよう)。
アンドレ・リスレヴァンは、わたしのような古い聴き手には良くも悪くもサラブレットな若者という印象です。ですが、このプログラムは良い意味で冒険して聴こえました。
KOREオケもグレードアップして聴こえました。
これまた古い聴き手には手垢まみれのテレマンの組曲。サクサクと進めながらガンバの冒険を楽しく聴きました。オケはみなスプレツァトゥーラ顔で支えてくれます。そんな中アンドレくんはちょっと奮闘赤ら顔、あの手この手で盛り上げてくれました。----序曲のリピートのウネウネ装飾とか、ブーレだったかのパウゼとか。
ビバルディのモテット「私は嵐の真っただ中にいる」 RV 632を「海の嵐」協奏曲と組み合わせ、豪華に。フルートのジュリエッテ・ワグナー、ソプラノ、マルタ・クリシアクは安定して、いやちょっと無難に聴こえました。
コンサートのタイトルは「An exotic voyage between Paris, Venice, Dresden, Berlin and Żary」となっています。
聴いた印象では、ポーランド、ザクセンの旅、ベネチアの旅、ベルリンの旅という感じ。
グラウンのニ長調協奏曲 GraunWV A:XIII:4は、パンク以来かも。グラウンの協奏曲中ではソロが朗々さが目立たないので、難しく聴こえます。
2楽章でアンドレくんのカデンツァはバッハのハ短調無伴奏チェロのサラバンドを織り込んでいます。オリジナルなら、ライブならでは、評価します。(そういえばパンドルフォの編曲はニ短調でした。そこから引用したのかしら。無伴奏リサイタルではパンドルフォ編版を採用していましたし)
今回のニ長調協奏曲を聴いて、グラウンの時と場所の中でガンバは「異質」であった、という感想をもちました。テレマンの組曲のソロの融和性みたいなものとは全く違う印象。見当はずれかもしれないけれど、武満の「ノヴェンバーステップス」を連想しました。