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コーヒー店訪問 知人のフェイスブック投稿を活用して指差し注文

コーヒー訪問ヘルパーとしての目下の街場調査テーマは、「高級店」「高価格店」です。2020年4月訪問。

学生時以来、40年ぶりの健康診断を受けました。健診センターを出て、千代田通りを渡ったところにあるコーヒー店に立ち寄りました。
スマホで知人のFacebook投稿を見せて、指差し注文してみました。アッと、すぐ理解してくれたけれど、同時に名古屋店の写真と察知して名古屋から来たおのぼりさんと勘違いされました。
若いサービスマンの感じの良さに感心し、最後はつい美味しかったご馳走様と店を出ました。若い方があのコーヒーで独立しようとしているとしたら、ちょっと不安になってきました。
その店のこだわりは、ほぼ全てお金があれば乗り越えられてしまうものばかりです。
立地優先設備節約のお店をまねぶのは、いかがでしょう。産地偏重のスペシャルティしかしらない、としたら複雑。
ふと、フランスで修行した料理人の例え話を想起。渡仏修行初期のころの若い料理人が飲めるのは当時のリシャールくらい。その味を覚えて帰国しても、という話。
ふとふと、ブラジルやコロンビアに住んで生産者のところで飲んだコーヒーは----確かに本場のものですが、換金作物にとっては生産地が必ずしも最高のものとは限らず。その反省から発展したスペシャルティは、この20年で他とは違う変わったものを押し付けるように。
鎮座プロバット12キロかしら。ダクトは1階の外壁を通りまで這わせただけ。ライトロースト専門とはいえ。もしかすると1回の焙煎量は上限があるかもしれません。

指差し注文したのは、コスタリカ・ナランホ・シンリミテス・ケニア種の嫌気発酵を使ったもの。普通のコーヒー好きを翻弄します。
テイスティングノートの表現。ハズレてはいません。
グレープフルーツ、ブラッドオレンジ。カシスとクランベリーはいまひとつピンときませんが。フレーバー、アシティティ、アフターが9ポイントで強調。
その時のコーヒーはグレープフルーツの皮の渋さの方が目立ち、未熟な柑橘のカタイ酸みが引立ち。冷めてくると後味に微か麻袋の香り。(いずれワインのように欠点の香りがしたら提供しないという時代がやってくるのかしら)
胸焼けまではしませんでしたが、多分に抽出の仕方によるところも大きいような気がします。
名前にあるケニアの雰囲気を望むと裏切られます。むしろ優良な高地産コスタリカの雰囲気の方が当たっていると思います。どうも嫌気醗酵とやらは産地特性を相殺するような気がします。おしなべてコスタリカは高地産アラビカの量産国から、付加価値のためにあの手この手を繰り出す小ロット実験国になっています。そのせいか、完成された製品というより、開発途上の珍品先物で競うよう。
ケニアが飲みたければケニアを飲めばよいし、嫌気醗酵は、コスタリカのハニー製法以来のプロセスバリエーションのひとつと考えてみます。
記憶の中の、あえてワインに例えると、リヨンあたりでポットでたのむ白ワインみたい。マコンだったかしら。この想像だと、早く飲める辛口の普通のものとなり、それがコーヒーだとマグカップ1杯分900円はコスパが悪く感じます。以前から、ワインに例えるのは無理があると感じていました。表現するコーヒー屋さんたちが適切にワインを味わっていないと感じます。高いワインも飲んだ方がよいと感じますが、何よりワインの適切な指導者とともに質の良し悪しから、基本的な味わいの表現が共有されるような飲み方をしっかりするべきかと思います。
コーヒーも同様です。十分に火が通っていない生焼けの味を甘いと言ったり、渋い味を強い酸みと言ったり、抜けの悪いこもった風味をスパイシーと言ったりしていないでしょうか。
飲み干すと胸焼けを起こすようなコーヒーを1杯で飲みごたえのあるスペシャルティと言ったり。設備費用を節約して浅煎りに特化していると言ったりしていないでしょうか。
しかし、それでも、プイイフュメのようなちょっと個性的な雰囲気を出すコーヒーは飲んだことがあります。素晴らしいコーヒーのひとつはニュイサンジョルジュのようだと感じたこともあります。ただ、この数か月で飲み歩いた中には、残念ながら良好な出会いはありませんでした。コーヒーに関しては安いワインのように感じるものがやけに高価に売られ、1杯飲みきるのに胸焼け必至なものが多かったのです。
もちろん、すべてのお店がきちんと考えて提供されていると思います。それでも、わたしがもう一杯お替りはいかがですか、と薦められた「ごめんなさい。もうたくさんです」と答えるでしょう。


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