経緯を辿る、なぜお店をしているのか
初めまして。ご覧いただきありがとうございます。
遡ると子供の頃、父の影響を強く感じます。
父は建具屋職人、50年以上の経験を持ち
1人でお店を経営していました。
子供の頃は工場が遊び場のような感じで、
カンナで木を削った木の屑や切られた木の端材を
使ってままごとをしていたり、
辺りにずっと漂う木の香りが
強く印象に残っています。
少し大きくなってからは、障子の紙や襖の唐紙を貼ったり
一緒に現場に着いていくこともよくありました。
襖を運ぶこと、まだ誰も踏み入れていない
真新しい新居は特別感があり、よく覚えています。
父の背中をずっと見てきて
職人であることに憧れていました。
そして、学生の頃ロンドンへ留学し、
初めて編み機で作るニットと出会います。
最初、なんてクリエイティブな作業なんだろうと
感動したのを覚えています
1本の糸から編み立てるとそれが唯一無二の生地になります
自分で好きな糸、色を選び生地が作れることが楽しくて
たくさん試しました。
そして、イギリスでは編み機を持っている人もまだ多く残っていて
中古を購入し、さらにハマっていきました
同じ芸術大学の仲間も国も人種もさまざまで
一人一人が個性的でした
それぞれが編み立てた生地を見せ合ったり、
褒めあったり、教えあったりととても貴重な時間を過ごしました
たくさんの優しい仲間が支えてくれました。
ある課題ではファッション雑誌を作ることになったとき
学校のフォトスタジオを使い、スタイリングしたり、
モデルに来てもらい写真を撮り、許可を求めて
街で働く人の写真を撮って掲載したり、
記事を書いたり、手作りの雑誌を作って完成させました。
とても忙しくて大変な日々でしたが、
それ以上に楽しくて、刺激的で輝いてた日々です。
そのリーダーを決めるときは、6人みんなの視線が一致して
外国人である私に任せてくれました。
一番しっかりしているから!と即答でした。
課題をこなすにあたり、他5人は母国語も英語なので
私でない方がいいかもとも感じていましたが
任せてくれたのが嬉しかったです。
特に仲の良くなった黒人の彼女とは、意外にも
シックで落ち着いたものが好みで
意気投合して、将来一緒にブランドを持ってやりたいねと
話していたこともありました。
ビザの関係から3年の留学期間を終えて、帰国。
東京で働くと決めて、就職。
アパレル会社のデザイナーとして始めました。
デザイナーの意味もまだわからない中、
必死で仕事を与えられる作業をこなしていました。
紙に絵型を描く日々、サンプルを検寸し修正する作業。
生地を切ったり、自分で素材を作ることは一切なく
生地屋さんにある生地から選んで作る工程。
デザイナーでも、私の周りには編み機を
触ったことのある人がいませんでした。
イギリスで感じたワクワク感、ものを手作りしていた感覚
が遠のいていく気がしました
後に結婚、出産を経て、復帰もしますが
2人目、3人目の出産のあとは、待機児童問題にぶつかります
公立の保育園には到底入れなく、私立でも認証保育所すらも
入れませんでした。ようやく面接までいっても
今年は無理なのでもう一度来年応募すするように言われました。
35歳になる頃、キャリアが繋がらないことに焦りを感じました。
主婦になりたいわけではなく、仕事がしたかったのですが
そのきっかけが掴めないのです。
そして、夫の実家の近く長野市に住むこと、
自分でお店を始めたいと決めて移住しました。
慣れない土地、地方に住むことの大変さより
挑戦することをこれまでも何度も経験し
この時もなんとかなる!と思って引っ越しました。
お店を始めて6年、この長野市に住み始めても6年です。
振り返ると、三女が1歳になる前でした、お店を始めた頃は
子供が小さいのでベビーカーに乗せながら店舗探しをしたり、
その頃は3姉妹の誰かが毎月熱を出したり、
保育園、幼稚園、小学校とバラバラに送迎をする日々。
なかなか仕事に打ち込むのも大変な時期でした。
1日が嵐のように過ぎ去る日々を過ごしてきて
振り返ることもないほど、バタバタしていました。
こうして、やっと今、自分のお店に対して深く想いを
注ぐ時間を取れるようになりました。
手編機ニットで世界とつながっていきたいという想いもあり
いつも発信しています。
国内の編み手の高齢化、後継者不足から
毎年国内の工場が無くなっている話を聞きます。
手横編機が貴重な存在だからこそ、残していきたい文化として
これからも伝えていきたいと思っています。
日本の家庭用の編み機は世界中で愛用されていて、
世界からみる日本製品は高品質で信頼できる編み機を作る国として見ています。
その素晴らしい技術を持っている国であることを
もっと認識されると嬉しいですね。
では今後とも温かい目で見守っていただけますと光栄です。
長文になりましたが、ここまで
お読みくださりありがとうございました。
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Retrospective(レトロスペクティブ)の想い
未来に残っていくブランドとして
素材へのこだわり、本物志向、
丁寧な物作りの全てに向き合って
続けていきたい
手仕事のすばらしさは
どんな時代になっても
なくならないものです
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