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[中級] 前つづり"be-"で始まる動詞の過去分詞から作られた形容詞
この記事では "be-" で始まる形容詞を扱います。説明するとちょっとややこしくなるのですが、前つづり "be-" で始まる動詞の、もともと過去分詞だったものが、現在ではほぼ形容詞・副詞として用いられているものです。
見出し前に★が付いたもの、文中の太字は比較的重要な単語です。
★bekannt 「知られた、有名な、周知の、既知の、なじみの」
元となっている動詞は bekennen ですが、この動詞は「認める、告白する」といった意味なので、bekannt は意味的には kennen 「知っている」から来ていると考えた方がいいかもしれません。まあ bekennen という動詞より、形容詞 bekannt の方が断然よく使われるので、元の形がどうとかあまり考えず、はじめから「形容詞 bekannt」として覚える方がよさそうです。
名詞化すると「知人、知り合い」という意味になります(形容詞変化)。
Er ist nicht mein Freund, sondern nur ein Bekannter.
「彼は私のボーイフレンドではなくて、ただの知り合いです」
Sie ist nicht meine Freundin, sondern nur eine Bekannte.
「彼女は私のガールフレンドではなくて、ただの知り合いです。」
★berühmt 「名高い、有名な、著名な」
元の動詞は辞書には載っていません。Ruhm 「名声、名誉」という名詞を含んでいるので、「名声を与えられた」というような意味なのだと思います。
berüchtigt 「悪名高い、評判が悪い」
上の berühmt の反対語です。これも元になる動詞はありません。Gerücht 「うわさ、風評」という語の一部を含んでいます。
★beliebt 「人気のある、好かれている」
belieben の過去分詞です。Beliebtheit 「人気、人望」という名詞形もあります。
berechtigt 「正当な、権利のある、資格のある」
berechtigen「権利・資格を付与する」の過去分詞です。Recht「権利、正義」という名詞が含まれています。
begabt 「才能のある」
begaben「付与する」の過去分詞です。Gabe 「贈り物」という語を含んでいます。Begabung 「才能」という名詞もあります。英語だと gifted がこれにあたります。
befreundet「親しい、友好関係になる」
Freund「友人」を含んでいます。
Mit ihm bin ich schon lange befreundet.「彼とはもう長い間友だちだ」
★bestimmt 「ある種の、特定の、既定の、きっと(副詞)」
元となっている動詞は bestimmen 「決める、指定する」です。まあまあ使われる動詞です。
形容詞としては英語の "certain" のような意味です。反対語は unbestimmt 「不確かな、決まっていない」で、 "ein bestimmter Artikel" というと「定冠詞」、 "ein unbestimmter Artikel" は「不定冠詞」です。
「きっと、確かに」という意味で、副詞としてもよく使われます。
★bewusst 「意識的な、自覚した」
こちらも元となる動詞はありません。正書法改革以前は "bewußt" という綴りでした。反対語として unbewusst 「無意識の、無自覚の」、また関連語として unterbewusst 「意識下の、潜在意識の」といったものがあります。
名詞形は Bewusstsein 「意識」で、心理学などでよく出てくる単語です。
★bewölkt 「曇った」
元の動詞は bewölken で、Wolke 「雲」という名詞を含んでいます。動詞として使われることはまれで、形容詞 bewölkt は天気予報などでよく見かけます。
曇りの度合いが低い場合は "leicht bewölkt" 、高い場合は "stark bewölkt" といいます。
bewaffnet 「武装した」
元の動詞は bewaffnen 「武装させる」です。 Waffe 「武器、兵器」という単語を含んだ動詞です。
"schwer bewaffnet" というと「重装備の」という意味になります。 Bewaffnung 「武装」という名詞形もあります。
★beschäftigt 「忙しい、雇われている」
beschäftigen「働かせる、雇う」という動詞の過去分詞です。再帰動詞としてもよく使われます。
★betrunken 「酔った」 / besoffen 「泥酔した」
それぞれ betrinken, besaufen の過去分詞ですが、動詞としてはほとんど使われません。意味はほぼ同じですが、 besoffen の方が口語的です。
"der Betrunkene", " der Besoffene" のように名詞化(形容詞変化)すると「酔っ払い」という意味になります。
beleibt 「ふくよかな」
動詞はありません。 Leib 「体」という名詞を含んでいます。辞書には「太った、肥満した」という訳が載っていますが、同じ意味の形容詞 dick にくらべて婉曲的な表現です。
belebt 「活気のある」 / beseelt 「いきいきとした」
それぞれ beleben 「生命を与える」、 beseelen 「魂を吹き込む」という意味の動詞で、Leben 「生命」、 Seele 「心、魂」という名詞を含んでいます。
bekleidet 「服を着た」
bekleiden「服を着せる」の過去分詞です。"leicht bekleidet" だと「軽装の」という意味になります。
behindert「障害のある」
behindern「妨げる、困難にする」の過去分詞です。"ein Behinderter" のように名詞化すると「障害者」という意味になります。
begrenzt 「制限された、限定された」
begrenzen「制限する」の過去分詞です。Grenze「境界、限界」という名詞を含みます。反対語 unbegrenzt は「無制限の、無限の」を意味します。
bedingt 「条件付きの」
bedingen「前提とする、約定する」の過去分詞です。反対語 unbedingt は「無条件の、絶対の」という意味でよく使われる単語です。
befangen 「とらわれた、不自然な、偏見を持った」
befangen 「取り囲む、とりこにする」の過去分詞です。反対語 unbefangen は「気取りのない、偏見にとらわれていない」という意味になります。
まとめ
元の動詞が今でも普通に使われているものもありますが、元の動詞がほぼ失われ、過去分詞だけが残っているようなものもあります。
前綴り "be-" で始まり、名詞を含んだ動詞の場合、その名詞のものを付与するという意味になります。なのでそれが過去分詞になると、その名詞のものが付与されたという意味になります(Seele「魂」→ beseelen「魂を吹き込む」→ beseelt「活気のある」)。