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[中級] 動詞 vorstellen

この記事では動詞 vorstellen を紹介します。
分離動詞なので過去分詞は vorgestelltzu不定詞の場合は vorzustellen という形になります。
再帰動詞として使うケースがほとんどで、4格の再帰代名詞といっしょに用いる場合と、3格の再帰代名詞+4格の目的語といっしょに使う場合とがありますので、そのあたりを説明していきます。


1. 基本的な意味:「前に置く」

vorstellen は vor「前に」と stellen 「立てる、置く」からできているので、普通に4格の目的語のものを「前に置く、前方へ出す」というのが基本的な意味です。

 Er hat den Tisch noch etwas vorgestellt.「彼は机をさらに少し前に出した」

また「時計を前に進ませる」という意味もあります(逆に遅らせる場合は nachstellen)。

 Sie stellte die Uhr um 10 Minuten vor.「彼女は時計を10分進めた」
 Sie stellte den Zeiger um 5 Minuten nach.「彼女は時計の針を5分遅らせた」

2. 「紹介する」

4格の目的語の人・物を、3格の誰かの前に立たせるということから「紹介する」という意味もあります。

 Sie stellte mir ihren Freund vor.「彼女は私に恋人を紹介してくれた」
 Darf ich dir meinen Sohn vorstellen?「君にうちの息子を紹介していい?」

また、再帰動詞としての使い方の一つ目ですが、4格目的語を主語と同じ人称にする(再帰)と、自分で自分を紹介するということで「自己紹介する」という意味になります。

 Darf ich mich kurz vorstellen?「手短に自己紹介させてもらえますか?」
 Sie stellte sich mit Maria vor.「彼女はマリアと名乗った」

3. 「想像する」

再帰動詞としての使い方の二つ目ですが、4格の目的語の物を、自分(3格の再帰代名詞)の前に置く、ということから「想像する」という意味になります。漫画やアニメなどで、登場人物が何かを思い浮かべている場面で、その人物の前にイメージが浮かんでいる描写がよくありますが、そのような感じですね。

 Er konnte sich seine Zukunft nicht vorstellen.
 「彼は自分の将来を想像することができなかった」

上の文の場合は sich が3格の再帰代名詞、seine Zukunft が4格の目的語になっています。
また、4格の目的語の部分が従属接続詞 dass で始まる副文になるケースもよくあります。

 Ich kann mir nicht vorstellen, dass er daran teilnimmt.
「彼がそれに参加するなんて想像できない」

あとは直前に話題になったことや相手が言ったことを das で受けて、

 Das kann ich mir nicht vorstellen.「そんなことは考えられない」
 Das hatte ich mir anders vorgestellt.「私はそれを違うふうに想像していた」

というような言い回しもよく見かけます。

4. 関連語(名詞、形容詞)

最後に関連語ですが、まず vorstellen の名詞は Vorstellung という形になります。一番よく使われる意味は「想像、イメージ、観念」です。ドイツの哲学者ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』の原題は "Die Welt als Wille und Vorstellung" で、ここでは Vorstellung は「表象」と訳されています。 Kraft「力」を付けると Vorstellungskraft「想像力」という意味になります。
他には「紹介」という意味もありますし、演劇などの「上演、公演」という意味で使われることもありますが、これはまれです。

形容詞としては 動詞の語幹に「受動+可能」を表す接尾辞 "-bar" をつけた  vorstellbar「想像できる、考えうる」 / unvorstellbar「想像できない」といったものがあります。

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