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[初級] 動詞の前つづり"miss-"

ドイツ語の動詞には、基本となる動詞の前に接頭辞を付けたもの(複合動詞)がたくさんあります。接頭辞(英:prefix、独:Präfix)はドイツ語学習の場合「前つづり」と呼ばれることの方が多いです。

前つづりのついた動詞は英語にも"for-get"、 "over-come"、"under-stand"など、たくさんあります。

この記事では"miss-"という前つづりをご紹介します。ドイツ語の前つづりの中でも一番意味がわかりやすいものの一つです。
英語でも”misunderstand"「誤解する」、”misbehave"「無作法にふるまう」といった動詞がありますが、ドイツ語でもそれと同じで「失敗、誤謬、反対の概念」などを表します。

前つづり"miss-"がつく動詞はそれほど多くありません。辞書を引けばある程度出てくるのですが、それらは、普通にドイツ語を学んだり、何かを読んだりしていてもまずお目にかからないものがほとんどです。というわけで今回は、比較的使用頻度の高いものだけをご紹介します。


missverstehen「誤解する」(verstehen「理解する」)
"missverstehen"の派生語としては、"Missverständnis"「n. 誤解」や、 "missverständlich"「誤解を招きやすい」といったものがあります。
前つづり"miss-"は「非分離の前つづり」ですので、過去分詞の場合、前つづりの後ろに"ge"が入ることはありません。"missverstehen"の過去分詞は"missverstanden"となります。
ただ、恥ずかしながら今回辞書を見て初めて知ったのですが、zu不定詞になる場合、非分離動詞は普通ならたとえば "zu unterschreiben" とか "zu übersetzen"となるのですが、"missverstehen"に関しては分離動詞のように"misszuverstehen" となるそうです。これはおそらく"verstehen"がすでに"ver-"という前つづりのついた動詞だからじゃないかと思います。

missbrauchen「乱用・悪用する、虐待する」(gebrauchen「使う」)
名詞は"Missbrauch"「m. 乱用、虐待」、形容詞は"missbräuchlich"「悪用の」です。

misstrauen「信用しない、疑う」(trauen「信用・信頼する」)
名詞は"Misstrauen"「n. 不信感、疑惑」、形容詞は"misstrauisch"「不信感に満ちた、疑い深い」となります。動詞よりも名詞と形容詞の方が目にする機会が多い気がします。

misslingen「失敗する」(gelingen「成功する」)
名詞は"Misslingen"「n. 不成功、失敗」です。


ちなみにドイツ語には「正書法」(die Rechtschreibung)というものが定められているのですが、1996年の正書法改革以前は"miss-"ではなく、エスツェット(ß)を使って"miß-"という綴りでした。ですので改革以前の本などでは "mißverstehen" とか "mißtrauisch"というように書かれています。

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