90.わたし、茹で蛙にされる。
まるで見えない牢獄に閉じ込められたような生活に
ついに窒息しそうになって
逃げ出した先の井の頭公園で引いたおみくじ。
大吉のくせに
良いことはみんな「おそくくる」と書かれていた。
遅くって、いつですか。
いつまで待てば良いのですか。
そのうちによぼよぼの
おばあちゃんになっちゃっても
知らないんだから。
どこかに行きたいのに
どこにも行けない休日。
休みが来るたびにその息苦しさに
溺れそうになる。
明確に辛さがあるわけではないから
泣くこともできない。
まるで茹で蛙だわ。
横になりスマートフォンに囚われいるうちに
ほらもう出来上がりよ。
この頃まるでだめなの。
わくわくするセンサーがすっかり錆びついて
それでも意を決してなんとか部屋を出ても
あまりの人の多さに気持ち悪ささえ覚える。
ステイホーム。
それが正解だと分かってはいても。
ステイホーム。ステイホーム。
ステイ。ステイ。
…犬か。
いつまで待てをしつづければいいですかご主人様。
何も動けないうちに
心も動かなくなって
硬直してしまったら死んでいるのと同じね。
芝居だってまるでだめになっちゃう。
春はとっくに迎えたというのに
いったい何時この氷河期は終わりますか。
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