61. わたし、言葉とともに。
この頃を振り返りふと思う。
表現において、言葉というのは
時に邪魔になることがある。
そこにあるものを説明しすぎるから。
けれど何かを書いたり
声で朗読したりするわたしは
言葉なしではそこにいられない。
言葉とともに、
表現を模索するしかないのだ。
言葉というのは、面倒だ。
記号的なくせに伝わりすぎるから。
わたしはとても口下手で
心で思っていることが
すぐに言葉として出てこない。
思っていることが、
ぱっと言葉にできる人が羨ましい。
そうやって楽しそうに
知らない誰かともどんどん繋がっていける
空気を作れる人が羨ましい。
蚊帳の外で笑っているだけのわたしは
まるでいつも透明人間。
言葉が出ないからこそ
それ以外で語る世界に憧れる。
例えば、絵画、音楽。身体表現。
だからわたし、
即興で、自分で言葉を紡ぎ作り上げていくことが
苦手なの。
言葉に頼らない、
空気感というものをとても重視する。
無言の中に漂う人物同士の見えない心のやりとりを見たい。
けれど、インターネットという場所で
絵も描けない、音楽も創れない
映像として自らを映す勇気も技術もないわたしは
やはり、言葉に頼るしかないのです。
文字で、声で。
言葉というものを通して
何かを伝えるしかないのです。
言葉が苦手なわたしが
それしか手段をもちえないのは
なんだか、とても、矛盾してるけど
それしかないから。
だから、大切に、大切に。
わたし、言葉とともに。
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