Supremeの歴史と転機: スケーターカルチャーのアイコンが迎える新たな時代
・はじめに
Supremeは2018年ごろまでは新作アパレルは即完売し、高額転売を繰り返されるようなまさに世界屈指のスケーターブランドであり、常にストリートシーンの最前線を進むようなブランドであった。しかし、昨今の状況はthe north faceやnikeといった人気ブランドとのコラボレーションアイテムを発表しても在庫が速完売せずに余るような状況が続いている。supremeの親会社である「VF Corporation」の年次報告書には2023年3月期の売上高は目標の6億ドルには届かず、5億2,310万ドルとなり、前年から3,840万ドル減少という結果になった。近年のファッションシーンにおけるストリートブームの衰退などがこういった結果を招いていると考えられ、現在のsupremeは全盛期のような勢いを失いつつあるといえるだろう。しかし、このような状況であるからこそあえて今supremeの創設と歴史について迫ってみようと思う。
・ブランド創設の流れ
Supremeの創設者はJames Jebbia(ジェームス・ジェビア)という人物です。彼はアメリカで生まれ、1歳の時にイギリスに移り住みました。彼は19歳の時に「Parachute(パラシュート)」というスケボーグッズやアパレルを取り扱う店で働いていました。そして1989年にニューヨークにsupremeファンの間では伝説のショップとなっている「Union NYC(ユニオンニューヨークシティ)」というショップを開店します。Union NYCではスケーターブランドの商品とともに、自身がデザインしたオリジナルブランドであるSupremeの取り扱いを始めました。これがsupremeのはじまりです。supremeという名前の由来はJames Jebbiaが当時付き合っていた彼女が、紙にいろんな言葉を書き出している際に「supreme」という言葉を見つけて気に入ったことでsupremeというブランド名に決まりました。
James Jabbieは1994年にラフィエット・ストリートにsupremeの第一号店をオープンします。James Jabbieはかっこいいと思うスケートショップがないという理由から、真のスケーターの為のショップを作りたいと考えました。スケボーショップにありがちな、小さな空間に商品をたくさん置くというスタイルに反し、広い店内に高い天井、そして真っ白い壁に明るいライトという高級ブティックのようなレイアウトにし、店舗の壁際に洋服を配置し、調整してすぐに試乗できるようにとスケートの出来るエリアまでありました。
・独自の販売方法
supremeはほかのアパレルブランドとは違った独自の販売形態をとっており、それは「Drop」と呼ばれる形態で、毎週新しい商品が店頭とオンラインで販売されるという形態です。毎週新しい商品がリリースされるのでファンは毎週土曜日を心待ちにしています。また、James Jebbieは「誰も欲しがらないものに手を出したくない」という理由で製品の小ロット生産を行っています。supremeがこのような小ロットで生産を行うことで、
ファンが増えるにつれてアイテムを欲しがる人が増える➡
競争倍率があがることでさらに手に入りずらくなる➡
手に入りずらい希少価値の高いものは余計に欲しくなってしまう
という構造を作り出し、爆発的な人気を生んだのかもしれません。
・賛否を呼ぶプロモーション
James Jebbiaがsupremeを創業して1年目の1995年、インターネットも広く普及していない当時、James Jebbiaはどのようにしてプロモーションを行うか考えた結果、ケイト・モスをモデルに起用したカルバン・クラインのモノクロ広告にSupremeロゴのステッカーを貼るという行動に出ます。このプロモーションは当然カルバン・クライン側に許可を取っておらず、猛抗議を受けます。日本のブランドがこういったプロモーションをおこなえば、総叩きにされ大炎上すると思うのですが、この方法が結果的に話題を呼び、supremeはニューヨーク中に人気が出ることになりました。こういったプロモーションは、supremeがスケートボードというカウンターカルチャーと深いつながりのあるブランドであるからこそ成り立つのかもしれません。
・supremeはなぜここまで人気になったのか
では、なぜsupremeは他のブランドとは一線を画すブランドにまで成長したのでしょうか?それはsupremeが他のブランドとのコラボレーションアイテムを積極的にリリースしているという点にあるかもしれません。supremeは1996年のvansとのコラボから始まり、多くのコラボレーションアイテムをリリースしてきました。
このようにsupremeはvansなどのスケーターブランドをはじめ、Louis Vuittonといったラグジュアリーブランドまで幅広いジャンルのブランドとほぼ毎年コラボレーションを行っています。このような販売戦略が結果的にブランドのファン層を大きく広げることにつながったのかもしれません。
・最後に
ファッションシーンにおけるストリートブームが落ち着きをみせ、ストリートファッションが衰退していますが、流行とは繰り返されるものなのでまた数年後にsupremedをはじめとしたストリートブランドも脚光を浴びる日がくるでしょう。supremeが熱狂的な盛り上がりを見せていた当時、「周りがみんな着ているから、、、」という理由でsupremeを敬遠していた方は、盛り上がりが落ち着いてきた今、あえてsupremeの洋服を購入してみるというのもアリなんじゃないでしょうか?