
絵本の世界は素晴らしい①

林明子作 「こんとあき」
作者の林明子さんはたくさんの絵本の挿絵も書き、作家として活躍されている方です。
この「こんとあき」は「超」がつくほどのロングセラーで親はもちろん、子供にも人気の絵本です。

「こん」はおばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみ
「こん」は「あき」のおばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみです。
おばあちゃんに「あき」のおもりをたのまれて、遠く離れた「さきゅうまち」からやってきました。
「こん」は「あき」が生まれると、ずっとそばにいて遊んでいました。
「あき」の成長とともに「こん」は古くなり、ほころびが出てきてしまいます。
「さきゅうまちのおばあちゃんのところでなおしてもらってくる」
「こん」が言うと、「あき」も一緒に行くと言い出し、二人でさきゅうまちに向かいました。

「こん」が帰ってこなくて泣き出してしまう「あき」
お弁当を買いにホームに行ってしまった「こん」が戻らなくて「あき」は泣き出してしまいます。
車掌さんや周りの大人たちが心配そうに「あき」に話を聞きます。
「きつねくんなら、むこうのドアのところでみかけましたよ」
安心した「あき」は急いでドアに向かうと、ドアにしっぽを挟まれた「こん」がお弁当を持ってそこにいました。
挟まれてしまった「こん」のしっぽはぺちゃんこになっていましたが、車掌さんが包帯を巻いてくれました。

また訪れた困難
やっとさきゅうまちについた「こんとあき」ですが、こんどは大きな犬が「あき」の前に立ちふさがります。
「こん」は「あき」を守るために前にでて、犬から「あき」を守ります。
すると犬は「こん」を加えて走って行ってしまいました。
「あき」は必至で探して犬の足跡を見つけました。
砂を掘ると、そこには「こん」が埋まっていて、「あき」が「だいじょうぶ?」と声をかけると、「だいじょうぶ」と返事をするのですが、その声がどんどん小さくなっていきました。
「あき」は急いでおばあちゃんのところへ向かうと、おばあちゃんは「しんぱいいらないよ」と言って、「こん」を直してくれました。

子供の好奇心と勇気を理解する
ほころびを直してもらった「こん」は元気になりました。
「こんとあき」はおばあちゃんと三人でお風呂にはいります。
潰れたしっぽのもとのふあふあのしっぽにもどり、「こん」は出来たてのようにきれいなきつねに戻りました。
大人はつい子供に手を出しがちです。
それは「好奇心」と「勇気」をつぶしてしまう行動にもなりかねません。
「それをやるところぶ」と親が言うと、本当に転んでしまうというご経験はないでしょうか?
親は心配のあまり先回りをしてなんでもやってしまいますが、子供には解決能力がちゃんとあります。
窮地に陥ったときでも自分の言葉で伝えることができるのです。
この絵本では子供の「好奇心」「解決能力」「相手を思いやる心」が描かれていると思います。

忘れていた心を取り戻す
短い物語の中にたくさんの伝えたいことを詰め込んだのが絵本です。
あっという間に読めますので、ぜひ絵本を読んでいただきたいです。
「忘れていたな」と思うようなことが書いてあり、時には涙することもある絵本。
これからも絵本をご紹介していきたいと思います!
お読みいただきありがとうございました。