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88. 待ちぼうけ
わたしは待っていた
ただ、待っていた
宵闇の中、ただ静かに
一艘の手漕ぎボートに乗って
流れるまま 流されるまま
ぼんやりと宙を眺めながら
ただ、何かを待っていた
いつのまにか
暗く反射する水面の底に目を凝らすと
都会のビル群が
その間を忙しなく行き来する人波が
無数の街灯りが
透明な水の中に佇み それでいてうごめいていて
この世界には
なんてたくさんの人間が生き日々生活を営んでいるのだろう、
と思った。
まるでひとり浮いているわたしとは
時の流れが違うみたい
みんな何を目指して どこを目指して
どうやって、そこでいきをしているのだろう。
わたしは待っていた
ただ、待っていた
いつから待っているのか
何を待っているのか
誰かを待っているのか
何かを待っているのか
分からなくなってしまった
分からなくなってしまったから
心が漠然と寂しいのか 虚しいのか
それすらも分からない
ただ、待ちぼうけでは
わたしは何も変われないと 進めないと
それだけは分かっているのに
待ちぼうけ 待ちぼうけ
幸いの方から勝手に転がり込んでくれるのを
わたしはただ、待っている……。。。
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88/100 「待ちぼうけ」
滑稽でしょ、分かってはいるのよ。
「絵描きさんに100のお題」に文章で挑戦中。http://kuusouya.web.fc2.com/Story2/h_100.htm
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