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タイパ⇔カウンセリング


 私はRe:treatのお仕事以外にも、様々な相談支援に関わらせていただいているのですが、最近思うのは、世の中がとても便利になって、コロナも経験したことで、出かけずに済むことが増えたなぁ、と。ネットスーパーとか、オンラインショッピングとか、アプリでの婚活もどんどん一般化してきたし、「ネッ友」「オフ会」(古い?)での交流もメンタルヘルスにとても重要なようです。
 様々なことが簡略化され(了解を「り」で表現すると知った時は衝撃でした(笑))、タイパという言葉が生まれ、SNSも短くわかりやすい情報がどんどん入ってくるし、ハッシュタグや数行の文章、編集された短い動画がどんどん主流になっていますよね。

 何か、じっくりと長文を読み込む、とか、思考や感情にじっくり向き合って文章や会話で言語化する、とか映画や長編ドラマなどをエンドロールまで鑑賞する、とかそういう機会に触れることって減ってきたのでしょうか。

 私のホームページにたどりついている方は少なくとも、何かきっと片づけたい苦しさをお持ちだと思うのですが、カウンセリングは、「タイパ」とかスワイプしたらすぐ答えの動画が出てくる世界とは真逆にあるかもしれません。だからこそ、一度体験してみてほしいなぁと思います。
 
 「やばい」「えぐい」以外の言葉で表現しうる感情があること、「それな」以外の反応があること、知ってると思っていた自己像をじっくり深く観察していくプロセスがそこにはあります。苦しさ、弱点ばかり出てきそうで嫌だ~!、と思う方もいますが、今のあなたを形成してきたものが何なのか、「そうせざるを得なかった」のはどんな事情があったのか。それを知るだけでも見方が変わっていきますよ。

 「自分を変えたい」という願いをよく耳にしますが、今の自分を変えることは、「これまでの自分を否定すること」ではないと思うのです。そうやって生き延びてきた自分をこれでもかというほど十分に労い、今はもう必要なくなったクセや思考やスキルたちをこころの倉庫に大事に収めて、新しいものを身に着けていく。これまでの土台あってこそ、ではないかと思うのです。

                       Re:treatこころの相談室 
               臨床心理士 公認心理師 たけもとさちこ


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