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【記事紹介】不動産流通実務検定“スコア”を仕事にどう生かす?2020年全国3位の石野正行様

企画推進課の奥田です。

千葉県宅地建物取引業協会 千葉支部様の会報誌「鳩笛」vol.40をお送りいただきました。
有限会社エデュポート 代表取締役 石野 正行様の執筆された記事の中で、不動産業務の学習に当センターの研修・検定を活用いただいた旨をご紹介いただいております。許可を得て転載するとともに、会報誌の石野様の記事のPDFリンクをお知らせします。

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■問題意識を持つ

突然ですが、問題です。

設問. 【重要事項説明:土砂災害警戒区域 津波警戒区域】
下記地域のうち、宅地建物取引業者が売買または賃貸借の媒介を行うに当たり、説明義務があるもの、 実務上説明が望ましいとされているものの組合せを一つ選びなさい。
A. 都道府県の基礎調査の結果、土砂災害警戒区域等に相当する地域
B. 現時点では未指定であるが、将来津波災害警戒区域として指定される可能性が強い海岸付近の地域
C. 都道府県のハザードマップにおいて、液状化の可能性が高い地域

1:全て
2:AとB
3:BとC
4:AとC

この問題は、不動産流通推進センター「フォローアッププログラムサイト」内、「スコア道場」に掲載されている2016/4/25公開 初級編の問題の一つです。正解は、1番です。宅建業に従事する諸氏にとっては、難なく正答に至ったことと思います。

2019年の豪雨災害によって、私の会社のある千葉市緑区誉田町の住宅地において、傾斜地に土砂崩れがあり、2名の方が犠牲になる痛ましい出来事がありました。災害当時は、県の「土砂災害管戒区域」指定対象外とされていたわけですが、リスクを予見するという意味も含め、取引にかかわるプレイヤーとしては、イエローゾーン、レッドゾーンにかかわらず注意喚起を怠ってはならないという警鐘です。千葉県は山あり海ありと自然の宝庫ですが、裏返せば災害につながる要素もあちらこちらに存在するということです。2020年には、重説による水害リスクの説明が義務化されたのは周知のことですが、今後も法改正等を含めて、取引における重要な事柄にはしっかりとアンテナを張り、知識の研鑽に努めなければなりません。

■不動産流通実務検定“スコア”とは

不動産流通実務検定“スコア”」は、(公財)不動産流通推進センター(旧不動産流通近代化センター)が実施する「検定」です。
「検定」といっても、合否判定をするものではなく、8科目【「重説」「契約」「査定」「賃貸」「建築」「税金」「相続」「その他(証券化、海外不動産など)」】から出題される、冒頭問題のような4肢択一方式の100問を150分ノンストップで解答して、自身の“不動産実務知識”の実力を測るものです。1000点満点中の自身の取得スコアは、待つことなく検定終了時に即時反映、表示がなされ、科目別正答率で得手不得手を明確に知ることが可能です。
ノンストップで思考をフル回転する150分は脳みそが疲れます。終了時には、戦闘時に活発化したアドレナリンが、身体から空中に放出される“錯覚”で、一種の解放感を味わうことができます。そして、すぐに 結果を知って、悲喜こもごも・・・。受検期間終了後には「解答と解説」を元に復習を行い、正しい知識をァップデートする作業で完結です。このアップデート作業こそが、本当は重要です!

■得点UPへ

私は、第7回不動産流通実務検定“スコア”から参加いたしました。
第7回は、739点 23位、そして昨年の第8回は、727点 第3位という成績でした。
航空業界、IT業界と渡り歩いてきた私が、満を持して不動産業界へ参入したのが7年前。30年前に取得した宅建資格はペーパーライセンス、実務経験はゼロでしたので、まずは業務に役立ちそうな関連本やネット記事には、なるべく目を通し、不動産関連の各種実務講習の受講などを積み重ねていきました。その過程でふと目にしたのは、不動産流通推進センターHPの「5年間スキルアップ計画表」パンフレットです。計画表の「右肩上がりのベクトル」を見た時、腑に落ちました。そう、5年後の目標がはっきりとしたわけです。

その後も、不動産流通推進センターのフォローアップカレッジに参加したり、法改正事例の他、経済、金融、税金など 不動産に少しでも役立ちそうな情報記事に目を通したり、意識を持って街並みを観察したりと、一歩一歩、知識を吸収して、それらを実務に落とし込むという作業の繰り返し。
目標を持っても、努力を継続するのはしんどいわけですが、私の場合は、同じ目標を持った不動産プレイヤーとの交流も楽しんでいましたので、まるで「苦」はありません。積み重ねは、必ず得点UPにつながります。
今はまだ、「六十の手習い」ですが、「八十の手習い 九十の間に合う」まで続けば本望です。

■問題意識を持つ PART2

さて、ここでもう一つ問題です。

設問.【心理的瑕疵】
売買における次の記述のうち、最も心理的瑕疵に当たらないと判断されるのを一つ選びなさい。
1.ベランダで綸首自殺があった後も、家族で平穏に居住していたマンションを、事件の6年経過後に買主が居住目的で購入した売買。
2. 競売許可決定の2年半前、住宅の共有者の一人が借金苦により、物件から200~300m先の隣接する山林で自殺した場合の当該住宅の売買。
3. 農山村地帯における約50年前に本物件上の建物で凄惨な殺人事件が発生したが、その後建物は取り壊され40数年にわたり放置されていた土地の売買。
4.マンションの専有部分において前所有者の賃借人が、相当長期間にわたり性風俗特殊営業を営んでおり、管理組合からの求めに応じて退去した。その後、売主は、居室の内部改装工事を行ったが、クロスの貼り替え、床シートの貼り替え、床フロアーの重ね貼り等であり、浴室、台所などは従前のままであった当該専有部分の売買。

この問題は、不動産流通推進センター「フォローアッププログラムサイト」内、「スコア道場」に掲載されている2018/11/8公開 中級編の問題の一つです。正解は、2番です。

先日、地方の知人居住マンション内の、ある専有部分で孤独死があった旨のお話しを聞きました。1か月程、放置の状態だったらしく、その後は特殊清掃を行ったということです。人の死は身近に存在します。
現在、国交省から宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)が発表されていますが、ぜひ参考にしたいところです。

■「巣ごもり」でも、やることたくさん!

『不動産という一生に一度の大きな買物に携わる不動産流通業界では、世の中から安心安全なプレイヤーと認められるための研鑽が必要です。』と、「不動産流通実務検定“スコア”」サイトでは謳っています。
リスク極小化から得る「安全」、高い人間力から得る「信頼」、その安全 信頼から得る「安心」、この3つの輪の集合体を大きくすることは、不動産プレイヤーに求められる「使命」なのかも知れません。この記事を書いているのは、6月です。オリンピック開催の是非も国民の意見が割れている状態(最近、世間では、「安心・安全」という言葉にとても敏感・・)ですが、コロナの収束はもう少し先になりそうです。
この間において、世間ではネットを活用したテレワークが盛んに行われ、不動産業においても、つい先だってまで実験段階であった「IT重説」が個人間売買も含めて、あっという間に解禁となりました。
「脱ハンコ」を実現するデジタル改革関連法施行後は、書面交付の電子化も始まり、非対面が当たり前のようになってくることでしょう。
不動産業者としても、いろいろな対応に迫られるわけですが、「巣ごもり」でもやるべきことは、枚挙にいとまがありません。しっかりと、そして楽しみながら、準備や研鑽に努めることができるものだと、前向きに捉えていきたいものです。

■さあ、チャレンジ!

第9回不動産流通実務検定“スコア”は11月18日~11月25日の開催です。
(募集期間:9/1~11/11、受検料:税込5,000円)
千葉市宅建業の若人の皆さん!ぜひ“スコア”にチャレンジしてみませんか。楽しいですよ!

▼第9回不動産流通実務検定“スコア”
https://www.retpc.jp/score-kentei/

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