気になる箱根駅伝④ 全日本8区との関係性
おそらくこれが今年の箱根駅伝にまつわる話としては最後になるだろうが、どうしても確かめておきたいことがある。全日本大学駅伝の8区を走った選手が箱根でどんな走りをしたか?ということである。どうして全日本の8区かというと、全日本で最も長い区間(19.7km)であり箱根に最も距離が近い区間であるからである。と同時にアンカーでもあるので、チームでも長い距離を安心して任せられる選手に託すはず。そんな選ばれし人たちが箱根ではどんな戦いをしたのか、とても気になった。
まず、全日本の8区を走った選手の成績を振り返ってみる。区間順位で並べると以下の通りである。
関東勢が上位を占める中、松浦選手と守屋選手が割って入っている。二人とも素晴らしいパフォーマンスだったわけだ。59分を切ればすごいし、60分切りでも十分な仕事を果たしている。数秒違えば、区間順位が入れ替わってしまうところもあり、争いの熾烈さが見て取れる。さて、ここに箱根での成績を加えると、以下のようになる。
面白いことに、全日本の上位8名は往路の2, 4, 5区のいずれかを走っている。これは先に挙げた記事で過去のデータとも整合性が取れており、8区のコースに対応した選手は箱根でも往路を担うという流れなのだろう。その中でも特筆すべきは、やはり細谷選手である。なんといっても5区区間賞、第93回大会の大塚祥平選手(当時駒澤4年)以来の快挙である。全日本8区は平たんな場所が多いが、山登りでは真価を発揮したということだ。卒業後は市民ランナーとして走るとのことなので、これからもどこかの大会で見ることができそうだ。
全日本の上位5名もそれぞれの区間で役割を果たしたといってよい。花尾選手はもう少し走れたかなという印象だが、タイムを見れば立派なものである。前半から突っ込む走りができれば、さらに区間上位にいける力は十分に持っている。そういえば駒澤大学の箱根での区間配置について、当初は花尾選手が3区、安原選手が4区という案もあったそうだが、結局、3区が安原選手、4区が花尾選手にしたと聞く。大八木監督の頭の中で全日本の8区のことが頭によぎったのかなと考えるのも、ちょっと面白い。
往路を走らなかった選手たちも、復路の9, 10区という長い区間を任されている。それだけ信頼されている証とも取れるし、彼らの持っていた力からすると、すこし物足りない結果とも取れる。2ヶ月足らずでピークをもう一度持ってくるのは本当に大変な作業であるなと改めて実感する。
さて、各大学、来季に向けて新体制ですでに始動している。主将も交代し、新たなチームで新年度を迎えることであろう。春夏のトラックシーズン、夏合宿を経て、秋にはどんな姿を見せてくれるのだろうか。