アイソレイト(短編小説/371字)

 三十歳の私が、私を切り分けた。十三年分若くなった私と、十三歳の私に切り分けられる。十七歳になった私は高校に行って、十三歳の私は中学に行く。

 十七歳の私は現代の高校に馴染めず、小学校からやり直そうと思う。七歳になった私は小学校へ行こうとするけれど、十歳の私が先に小学校へ行ってしまった。七歳の私の居場所がない。

 じゃあ、幼稚園に行こう。五歳になった私は、二歳の私を置いて出かけようとする。二歳の私が泣きわめく。五歳の私はなんだかつられて悲しくなって泣いてしまう。

 十三歳の私と十歳の私が帰ってきて、泣きつかれて眠っている私たちを見つける。

 私たちにはお母さんが必要だと思った二人は、実家に電話するけれど出てきたのは年老いた父で、母はもう病死していると伝えられる。私たちはまた泣いてしまう。もうあんなに泣いたのに、四人になってまで泣いてしまう。

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