むにリスト、語る(短編小説/575字)

「むにってかわいいよねー」
「むに?」
「むに。しゃにむに、ゆいいつむに、しんめんむに」
「最後のわかんないんだけど」
「宮本武蔵の父だよ。いい名前だよね。武蔵よりかわいい」
「かわいい言われるなんて思わなかっただろうね。むにさんも武蔵さんも」
「私は世の中のありとあらゆる「むに」を愛してやまないよ」
「ありとあらゆるってほどないでしょそれ」
「ふ……おまえはまだ、むにの奥深さを知らないのだ。ムニエル、ショムニはまだまだ初級! 真のむにリストは隠されたむにをも暴き出す!」
「なに隠されたむにって」
「コラムニスト! オムニバス! インソムニア!」
「あー。なるほどね」
「これはまだ中級。上級を教えてあげましょうか?」
「いやいい。全力でいい」
「そんなに言うなら教えてあげましょう。上級は一見、そうとは知らないところに隠れているのです。たとえば、ランチタイムニュース!」
「……うん」
「ミゲル・ムニョス賞!」
「……うん?」
「レムニスケート周率!」
「…………」
「ポッチェイモ!」
「……待て待て」
「何ですか」
「最後のやつ、どこにもないよ、むに」
「ありますよ。ポッチェイモは、別名「ムニニモ」「ムニニモシト」とも言うんです!」
「えええ、それは反則だろー」
「むにの愛らしさと奥深さ、わかっていただきましたか」
「どっちもわからないけど、君がちょっとだめな子だっていうのはわかったよ」

ここから先は

223字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?