パープルゼリー(短編小説/209字)

 郵便受けを覗いたら、差し出し人の記載がない小包が届いていた。

 封を開けて中を見ると、ゼリーがぽつんとしまってある。

 ラッピングがされてるわけでもなく、未包装のままの、紫色に透けたゼリーだ。

 ゼリーの横には、湿りでふにゃふにゃになっているカードが添えられていて、『この実は恋らない』と書いてある。

 ゼリーの中にはブドウの実が入っていた。

 まあ、恋らないよねと思う。

 ゼリーは花壇に埋めてみたけど、たぶんきっと実らない。

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