【11月レポート】家でお味噌汁やカレーを作るように、石鹸や化粧水も自分で作れる。
11/26(土)はサーキュラーシトラスクラブ(CCC)特別編として、
南大隅町に工場・会社を設けるボタニカルファクトリーの代表黒木さんが、はるばる薩摩川内まで出張ワークショップにお越しくださいました!
▼イベント概要と黒木さんのプロフィールはこちら▼
最初は黒木さんのお話からスタート。
今から26年ほど前に大阪で化粧品会社を設立してOEMや輸入販売をされていた黒木さんですが、
18年前にヨーロッパで見たオーガニックコスメ作りの現場は、すぐそこの畑で育てた材料をその場で化粧品にするような、農業と隣り合うもので衝撃を受けたそうです。
ご自身の出身地でもある南大隅町は
50年間で1/3に人口が減り、現在6500人弱。半数が高齢者という町です。
ただ同時に4,000種類もの植物が自生し、食料自給率推定400パーセントと言われる南大隅町の可能性を感じ、地元に戻りボタニカルファクトリーの立ち上げに至りました。
食べ物のようなコスメを目指す
化粧水やローションも「家庭料理のように自分で作れる」し、
WSのメインとなった石鹸も
「カレーよりちょっと難しいくらいですよ☺️🍛」
と言っていたのがとても印象的でした。
エシカルなコスメとは
人種のバリエーションがまだまだ少ない日本では実感が湧きにくいですが、
欧米では「白い肌を美しいとする=美白」という概念も単一的で差別を含むものとして認識され、
より多様性のある「健康な肌」を目指す意識にすでに変化をしています。
また、ボタニカルファクトリーが「地産地消で自然由来成分100%」であることも、無農薬の原料を作り使うことも、その地域の中で循環する環境配慮型のバリューになっています。
🍊規格外のフルーツをアップサイクル🥭
作物の生産が盛んな地域だからこそ、その過程では食べれるけれども商品にならない規格外品や、間引きにより未熟のまま摘まれた果実などが廃棄として出てしまっているのが現状です。
そのようなものを原料に使った商品を化粧品に生まれ変わらせる商品開発も行われています。
たとえば
南大隅町の特産品である
・パッションフルーツの規格外品
・摘果剪定されたシラヌヒの若い果実
・規格外のたんかん
がすでにシャンプーやローション、石鹸などに生まれ変わっています。
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オリジナルブレンドのフレグランス作り
30種類の精油から、調香をするレクチャーです。
目の前に並んだ精油は、3種類に分けられています。
・トップノート・・・最初に香る
・ミドルノート・・・中間
・ラストノート・・・最後まで残る
まずは30種類を全て嗅いで、直感で○△×をつけていきます。
人によって香りの好みが出ますね。
直感で好きだったものをベースに、全部で50滴分のレシピを組み立てます。まずは数字をメモしながら設計をし、エタノールが入った器に入れて混ぜていきます。
トップノートから入れていき、最後にラストノートを入れるのがコツです。
ラストノートは主張が強いものもあるので慎重に、香りながら滴数を調節していきます。
ボトルに移せばフレグランスの完成!
香水の種類はその香りの濃度によって名前が分かれていて、強い順に
パルファム・・・濃度:15%~30%
オーデパルファム・・・濃度:10%~15%
オードトワレ・・・濃度:5%~10%
オーデコロン・・・濃度:1~5%
となり、今回はオーデコロンを作りました。上の3つはヨーロッパなどでは主流ですが、湿度が高い日本では香りを強く感じやすいため、コロンくらいがちょうど良いと教えていただきました!
洗顔石鹸作り🧼
石鹸作りに必要な基本材料は、
油、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水(お湯)
です。水酸化ナトリウムは目に入ると失明の恐れがあるため必ず保護メガネ、そして手にもゴム手袋を着用します。
油と水酸化ナトリウムが混ざり鹸化(けんか)すると、無毒状態になります。科学実験ですね!
水酸化ナトリウムをお湯に溶かした後、ブレンダーでしっかり混ぜていきます。ここでの混ぜ具合で石鹸の質が変わるそうです。
ちょうど良いくらいまで固まってきたら、それぞれが持参した牛乳パックに注いで完成です!
廃油石鹸ってどうなの?
化粧品のプロである黒木さんに聞いてみたかった、
「廃油石鹸って実際肌にどうなのか?」という質問を投げかけてみました。
「油の種類によって、鹸化率(けんかりつ)が変わるんです。
今回のレシピも、2種類の油を使っていますが、どの油がいくら入っているかで水酸化ナトリウムを入れる比率を計算しています。
廃油の中に複数の種類の油が、どのくらいの比率で混ざっているかわからない状態で石鹸を作ると、水酸化ナトリウムが多かったり少なかったりしてしまい
うまく鹸化がされない場合があり、強アルカリになってしまうと肌にとても危険です。」
というお話をしていただきました。
油の質、ということよりも正しい鹸化率が守れるかどうかが大切とのことです。
自分の手で生活を作っていくライフスタイル
今回のワークショップは、まさに、自分の手で生活を作っていくライフスタイルを思い出させてくれた時間だったのではないでしょうか。
欲しいものは買う、ことが当たり前になっている時代。
それが何でできていて、どこからきて、どんなふうに作られて、という情報を開示する「トレーザビリティ」は進んでいますが、それでも大量生産・大量消費で動いてきた産業が一気に変わることは容易ではありません。
ただ、一度自分で作れることがわかると、自分のくらしの解像度が上がるのではないでしょうか?
消費者として盲目にならないこと、身の回りでできることをやってみること、
それだけでもサーキュラーな暮らしの一歩が始まると思います。
自然資源に恵まれた鹿児島だからこそ、ぜひ身の回りの自然の恩恵を受けながら、暮らしをつくってみてください。🍊🌿✨✨