マジック・現象に感じる質量?
毎度おなじみ、小林です。
基本的に僕の主戦場はクロースアップのサイズであり
お客さんが手を伸ばせば、僕の体に触れられるくらいの
距離感です。
もちろん、もっと大きなサイズ感で演じることもありますが
それは少ない状況です。
なので、自分のレパートリーにするものは
大抵は至近距離で効果を発揮するものになってきます。
これ、扱うアイテムのサイズ感だけではなく
現象の重さのような部分も関わってくると思っています。
確か、ポン太 the スミス氏がスピーカーズの中で
ちょっと触れていたと思います。
現象や扱うアイテムからの、質量のようなモノ。
例えば、ステージマジックで輪ゴムのトリックを演じても
たとえ見えたとしても、恐らく見ている人はそんなに驚いて
くれなかったりでしょう。
ステージマジックで、スケッチブックからボーリングボールを
出す物がありますが
(ケビンジェームス氏のBowl-A-Ramaですね)
これ、クロースアップでやられたら、やかましすぎるので
逆に現象のインパクトは減るでしょう。
クロースアップサイズなら、ジャンボコイン程度で
十分ですし、それで同じくらいのインパクトや不思議さに
なると思います。
これ、小林がレストランでやっているときに実感したことがあり
手順の最後に「チャイニーズコインルーティーン」を演じていたのです。
通常は7インチのマンモスコインで終わるのですが
10インチのコインも持っていたので、それをとどめのオチとして
出してみていたのです。
ちなみに、さすがに10インチになると、そのホルダーも
面倒なサイズになり、体に仕込んでおくと
重さの反動で体が揺れてしまいます(笑)。
ちなみに、スタンドアップの状態で、レストランで
普通にテーブルアプローチをした状態のままで
10インチまで、出せます。
さて、7インチのマンモスで、お客さんはびっくりします。
その上で超マンモスまでだしたら?
もっとびっくりすると思うじゃないですか?
でも、こちらの負担の割に、全然なんですよ(笑)。
正直、効率が悪いんですね。
こちらとしては、最大限の効果を狙い
最大限頑張って現象を起こしているつもりなのですが
簡単に言ったら「蛇足」な空気になります。
テーブル横で10インチのコインを出しても、見た目は
ほぼお盆を出したような感じになります。
観客を観察してみて肌感覚としては
「諸々のサイズがマッチしてない」
という感じです。
レストランでのホッピング位の空気感では
7インチくらいまでが認識の最大値なのではないか?と。
もう少し、じっくりと見てくれる場の場合には
もう少し大きなものも認識してくれるのでは?
とは思います。
この時に
デカけりゃいいってものではない
というのを学んだ感じです。
逆に、ステージなどの場合には
10インチくらいを出しても
十分に効果を生んでくれるような気がします。
マイザースドリームなどの手順を行い
最後にデカいコインを出す、というのでしたら
10インチでも効果を発揮してくれると思います。
マテリアルによっても、現象の重さというか質感のようなモノが
違うために、比較的重めのパンチを入れたい場合には
マテリアルから考える必要もあるわけです。
輪ゴムのトリックはどこまで行っても、少々軽めに感じますし
コイントリックなどは重めに感じたりします。
カードの場合には、構成を色々とできるので、重たく感じるような
そんな手順にするのもできるでしょう。
これ、マジックの分量も、適切な分量があるような気がします。
沢山やったら不思議に感じるとか、相手が驚いてくれるか?
となると、違うでしょう、というのは何となくお分かりかと。
まあ、何事も適切な分量が心地いいわけです。
そういった事を考えると、単にマテリアルを大きくして
ステージからサロンサイズに合わせるというのも
もちろん1つの方法だと思うのですが
逆もまた然り、という事です。
つまり、サイズを小さくしてステージトリックを
クロースアップで、というのもできるわけです。
もちろん、それが良いのか悪いのか、というのは別で(笑)。
とにかくやってみる価値があるとは思います。
で、最初に戻りますが
小林の主戦場はテーブル横なわけで
その場での適切なサイズ感ってあるわけです。
シルクとかだと、テーブル横なら30角や22角で十分な
サイズ感になって、それ以上だとちょっと大きいか?
位のものになります。
なので、カメレオンシルクも、ステージやサロンなら
30~45角がいいのでしょうが、テーブル横なら
22~30角で十分ってことで。
そこで生まれたのが、小林のイージーシルクです。
元々、タマリッツシルクってゲイズクロスの説明のための
トリックのような気がしています。
ただ、非常にシンプルで(観客から見て)
アヤシイ部分もないのですが、演者のスキルは必要なわけでして。
なので、日本だとあまり演じている人は多くなく
ふじいあきらさんのような手練れが演じている印象です。
小林もやってみたい、と思ったのですが
45センチのシルクは案外大きく、またそこで使われるテクニックも
難しいわけです。怠惰な僕はもう少しどうにかならんもんか?
なんて考えていたわけです。
そんな中で、面白いパースのようなモノを手に入れて
演じ始めたのが、イージーシルクでした。
このパースが特殊なものだったので
(試作品のようなモノで、数量に限りがあるという意味で)
元々、数量限定で販売していたモノでした。
後輩で、少々大人数を相手にした場で演技をしないと
いけない状況になって、たまたま
「これ、どう?」と教えて
いい感じに演じてくれたようで、本人も
このトリックに手ごたえを感じてくれていました。
(演じた本人に才があったから、という部分もありますが)
そんなこんなで、自分でも演じる便利なトリックなのですが
実は大事なポイントとしては、シルクのサイズ感だと
思っております。
22角のシルクなんて、ステージだと
ほとんど使われないサイズだと思うんです。
でも、クロースアップなら、これくらいがちょうどいい
サイズ感になりますし、ステージなら45角を使ったのと
インパクトは変わらないと思います。
2.0になって、実は変更になりつつ
そのマテリアルを考えてある部分もあるのですが
今回の記事としてはサイズ感の所がポイントで。
クロースアップでタマリッツシルクをそのままやっても
少々大きいんですね。
なんというか、かなり精密にしないとノイズが大きくなる
感じでしょうか?
正確に行ったとしても、それなりに大きな動作に
なってくるじゃないですか?
なので、ブレなく、スマートに演じる必要がステージ以上に
あるわけです。
手練れならいいのですが、僕位の普通のマジシャンなら
もう少しノイズが発生しにくい手法やサイズ感の方が
全体としてインパクトを与えられると思っております。
お客さんに楽しんでもらおうと
どっかんどっかん沢山手品をやるのって、結果的に
「うるせーなあ(鬼越トマホーク風)」
になることもありますし、実はなりやすいわけです。
また、不思議の度合いをあげたくってとか
インパクトを強くしたくってとかで
サイズ感を無駄に大きくすると、なんというか
「視界に全部が入らないから、よく分からない」
的な感じになって、結局大した効果を生まないというのも
よくある気がします。
適切なサイズ感、現象の重さなどを意識してみて
扱うマテリアルなどのサイズ感や質量感のようなモノを
変えてみると、思った以上に簡単にウケが変わる
という事もありますので、ご研究くださいな。
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