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アイスブレイク ~反応と方法~

レストランなどで、知らない人が自分たちのテーブルの横にきます。
何かと思ったら
「マジシャンなのですが、マジック見ますか?」

テーブルホッピングというものを知っているマジシャンからすると
まあ、普通な事なのかもしれませんが
よくよく考えてみて下さいね。

特に僕は知らない人に対しての心の壁が分厚いので(笑)
そんなことされたら身構えますよ。程度の差こそあれ、それが普通。
なので、そのテーブルのお客さんに、マジシャンとして多少なりとも
受け入れてもらえるようにすること、それがアイスブレイク。

もちろん、これはホッピングに限った事ではなく
知らない人同士が出会って、話をするとなると
アイスブレイクは少なからず必要でしょう。

まず分かっておかないといけない事がいくつかありまして
人間というものは、目の前にいる人間の
理解というか分析にかなりのエネルギーを使っているってことです。

服装、表情、言葉、態度などなど
そういった部分から
「目の前の存在は大丈夫か?」
という事を必死に分析します。

動物の本能としては、理解できる範囲の事だと思います。

そして、そういった事に対して、脳のCPUが消費されてしまうと
IQが下がった状態になるわけです。
(論理的に考えるのではなく、感情の反射が大きくなるって感じで)
人がとる行動は大きく2つになりやすくなります。

ファイトORフライト
つまり「闘争」か「逃走」です。

コレ、ホッピングとかで考えれば
「マジシャンに対して対決してくる」パターン、と
「あ、結構です」というパターンですね。

よくありませんか、こんなこと?
つまりは、アイスブレイクが十分に行われてない
って可能性があるってことですね。

もちろん、適切にアイスブレイクしたとしても
上記のようになる可能性はあるのですが
相手に理解してもらえて、危害を加えるような
存在ではない事が分かった上で
「結構です」は、まだ分かりますが、対決してくる人からは
とっとと離れた方がいいような気はしますね。

この辺のことは「人の行動」ってものに対して
多少勉強した人なら、この辺の事は知っている事柄でしょう。

ではでは、どうやってアイスブレイクしましょう?
僕はコミュニケーション下手なので、なんとも言えませんが
1つは「敵ではない」という事を伝える事ですね。

コレ、言葉で言うだけではなく、非言語の部分でも
それを相手に伝えないと(相手がキャッチしてくれないと)
いけないでしょう。

ではどのようにして??
もちろん、100%で上手く行くとは思いませんが
確率を上げていける方法はあると思っておりまして。

何かと言えば、こちらが緊張感を持たない事。

人の感情、思考には作用反作用の法則が起こると思っておりまして
こちらが緊張感とか、何かの強い意志があると
それに対して相手も無意識で反応すると思います。

「絶対にマジック見てもらうんだ!」とか
こっちが思いっきりアイドリングをふかして行くと
相手はその動きを止めようとして、距離を取ったり壁を
作ったりって事も起こりやすくなると思います。

さて、そうならば
相手を受け入れる余裕をこちらが持っていれば
相手もそれに反応して少なからず受け入れてもらえるように
なるのではないか?という事です。

自分のマジックを見せる!
の前に、自分の目の前の人に興味を持ってみたら?
ってことです。

当たり前の事なのですが、当たり前だから忘れてしまうんですよね。

こちらの身体に緊張感が走っているなら、それを目の前にしている
相手の身体にも、作用が起こって緊張が走る可能性が高いわけで。

とはいえ、緊張を無くすのって難しいと思うんです。
基本的には勝手に起こるものですからね。

コレ、以前に故スピリット百瀬師匠に聞いたことがあって
技法の際の脱力に関してうかがったことがあって
「脱力しているのか?、しているように見えるのか?」
という事なのですが。

百瀬師匠は、したように見えるようにする
と答えてくれました。

恐らくは、緊張に関しても同じことになると思います。

緊張してないように見える事、がまずで
心因的な部分はそれについていくような気がします。
こっちの緊張が相手に伝わるというのは感覚として
お持ちの方も多いでしょう。

なので、緊張してないようにすることを研究?してみるのが
有効な手になります。

間違ってはいけないのは「緊張してないふりをする」のではなく
「緊張してない人のまねをする」という事ですね。
前者は自分にうそをつくことになり、かなりの負担ですが
後者はあくまで行動レベルの問題であり、最終的には
脳のCPUをほとんど使わなくなります。

では、緊張してない人って?
要は普通の人、って事なんじゃないですかね。

普通の人って、手品見せたいと思って
レストランのお客さんに近づきます?(笑)
まずはそのテーブルの人に興味を持って近づいてみて
可能だったら手品を見せればよくって。

もし、お話だけで相手が面白がってくれたりしたら
それはそれで、お店的には何ら問題なく
でも楽しい時間を提供できたので、プラスなわけです。

いつのころからか
「現場で一番強いマジシャンは?」という質問に
「マジックを捨てられる人」と答えるようになったのですが
こういった事がベースにあるような気がします。

ホッピングなどで一番難しいのは、テーブルアプローチだと思っておりますが、そんな悩みに対しての1つの判断基準になれば幸いです。

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