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【男性育休コラム第4回】共働きの家庭でないと、育休は取れない?      ~男性の育休にまつわる誤解 その3 ~

男性育休に関するこのコラムも4回目となりました。

これまで読み進めていただいて、どのような感想をお持ちでしょうか。「もっとこういうことが知りたい」、「このことについて詳しく教えてほしい」などのご要望がありましたら、コメント欄からお寄せくださいね。
さて、今回は育休を取ることのできる家庭は共働きだけなのか?それとも専業主婦家庭も夫は取れるのか?という点をお伝えしたいと思います。

配偶者が専業主婦(夫)でも育休は取得できる

結論から言うと、「とれます」

なぜこのような疑問があるのかというと、育児・介護休業法が2009年改正されるまで、労使協定により「専業主婦の夫など育児休業の対象外にできる」という除外規定を付けることが出来たためです。現行の法律では配偶者の性別や就業の有無に関係なく、育休を取得できるようになっています。


とはいえ「(法律上は取得可能だが)妻が専業主婦で家にいるのに、なぜ夫が育休を取る必要があるのか」と疑問の声をよく聞きます。しかし、妻が会社員の場合は、出産前6週間と産後8週間は法律で働くことが禁止されています。つまり、出産前後の妻は専業主婦も含めて「安静にしている」ことが大切なのです。
当然の事ながら、出産前後の家事育児タスクの量も両者に差はありません。さらに言えば、産後うつのリスクも同じです。

産後一年以内に死亡した妊産婦の死因1位「自殺」

産後一年までに死亡した妊産婦の死因で最も多いのが「自殺」です。
子供が生まれたばかりの幸せな時期に何故?」と意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。その要因と言われているのが「産後うつ」で、その発症リスクは産後2週間~1ヶ月がピークです。

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産後うつを防ぐには「十分な睡眠を取る」ことと「朝日を浴びて散歩する」ことが重要です。睡眠はもちろん、日光に当たる事で「セロトニン」というホルモンが分泌され、気持ちが明るく元気になるためです。しかし、産後の女性にとってはこの二つはとても難しいことです。なぜなら2時間おきの授乳やおむつ替えや夜泣き対応があり、ブツ切れの睡眠となり、気が付けば朝の時間は終わっているケースが多いからです。
また、生後1か月の期間は赤ちゃんを外に連れ出すことができません。自宅でたった一人、慣れない育児をしながら過ごす母親が思いつめてしまうことは容易に想像できます。
まずは2 週間~1か月でもいいですから、産後間もない期間に夫が育休を取って昼夜を問わない育児を一緒に支え、乗り切り、妻が休める時間を作ることが大切です。

今思えば私は(妻は)産後うつだった


筆者は多くの男女に育休に関してヒアリングを実施しましたが「今思えば私は(妻は)あの時、産後うつだった」とよく耳にします。
例えば、20代に妊娠・出産を経験した派遣社員の女性は、妊娠を機に退職し、専業主婦となりました。実家の両親も共働きで甘える事が出来ず、出産・子育てへの不安があっても、周囲に思いを分かち合える人が少ない中、夫も仕事が多忙で不在がち。女性は次第に孤独感を深めていったと言います。夜中に「赤ちゃんが息をしているか」急に不安が襲ってきて、何度も呼吸を確認するため睡眠時間が減り、不安な気持ちを共感してくれない夫に対する不信感も強まり、子育てがいち段落した後、彼女は離婚を選択しました。
現在の彼女は離婚に後悔はないようですが「今思うとあの時は産後うつだった」と言います。もちろん、様々なケースがありますが、専業主婦家庭においても、男性育休が浸透することの意義は大きく、産後の不安な時期に、パートナーが寄り添うことは本当に重要だということを感じたエピソードでした。

産後の恨みは一生の恨み?

前述のエピソードだけではなく、この時期を夫婦共に乗り越える事が、その後の夫婦関係にも大きく影響すると言われています。
下図の様に、産後の妻の愛情は、夫から子供にシフトしますが、夫への愛情が回復するグループ低迷するグループの二極化が始まると言われています。

その分岐点となるのが出産直後~乳幼児期、まさに育休取得期間なのです。この時期に、子育ての喜びや苦労を分かち合って乗り越える事が、その後の夫婦関係にも大きく影響をしてくるのです。

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また、育休を通して家事・育児スキルを身につけることは、妻に頼らずとも1人で身の回りの事ができるようになり、育児を通じて地域社会との繋がりができることは、その後の男性自身のQOL(人生のクオリティ)の向上にも大きく寄与すると言われています。

一生のうち数度しかない育休の機会。パートナーや子供のためだけでなく、自分自身の豊かな人生のためにも是非育休を取得してくださいね。

 次回は、「男性が育休を取れるのは、大企業だけだよね?」という誤解についてお話したいと思います。

合同会社リスペクトイーチアザー(Reo)では、男性育休推進、DEI推進、女性活躍推進のコンサルティング・研修・セミナーを手がけております。
ヒアリングを通して各社の課題に即したカスタマイズを行い、ソリューションを提供致します。是非お気軽にご相談ください。

Respect each other(リスペクト イーチ アザー)

弊社代表 天野妙 共著 
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