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【男性育休コラム第5回】 育休取れるのは一部の企業だけだよね? ~育休にまつわる誤解 その4 ~
久しぶりの更新です!
この期間、男性育休を取りたい方からのお問合せ・ご相談や、男性育休啓蒙セミナーのご依頼などが多くあり、日々男性育休への関心の高まりを感じております。
さて5回目のテーマは
「男性が育休を取れるのは、一部の恵まれた企業だけだよね?」という誤解を取り上げたいと思います。
育休を利用しなかった理由は?
育休を利用しなかった理由アンケートには、様々な調査がありますが、どの調査でも上位を占めるのは、「会社で制度が整備されていなかったら」です。実際、「上司に「ウチには育休制度がない」から無理と言われた」
「育休取れるのは一部の優良企業だけの話だからと言われた」
などといった話は、法律が変わった今でも度々に耳にします。
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このコラムで何度もお伝えしている通り、育児休業は年齢、性別、企業の規模問わず、全ての従業員が取得できる法律で定められた 「権利」です。
会社は労働者の申し出を拒むことはできません。(※1)
しかし、この誤解が発生してしまう原因の一つに、会社の規程やルールブックに「育休に関する記載が無い」ことが挙げられます。
書いていないので、自分の会社は育休が取れないのだと本人も上司も、誤解したまま断念してしまうケースが多いのです。
未だに高い、職場の雰囲気の壁
そして、育休を取らなかった理由の上位にあがってくるもう一つは
「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だったから」
です。今回の法改正によって、育休取得しやすい環境整備・個別周知義務が企業へ課せられていますが、積水ハウスの2022年の調査によると
『法改正後の勤務先の対応は?』の設問に「法改正に関するアナウンスがあった」と回答した人は21.8%で、「特に何もなかった」と55%の人が答えており、法改正後の企業対応の浸透はまだこれからと言ったところです。
また、別の調査(※1)によれば「育休が取得しやすい雰囲気か?」と言った設問に対し「(男性育休は取得しやすい雰囲気かどうかも)わからない・前例がない」と30%以上に上ります(※従業員300名以下)。
日本の社会に『男性育休』そのものに馴染みがない。ということの証左ではないでしょうか。
育休は感染する!?
「これは浸透に時間がかかりそうだ・・・」と感じられた方もいらっしゃるかと思いますが、落胆しないでください。
現在、男性の育休取得率が7割を超えるノルウェーですが、実は制度開始当初はこんなに高かったわけでありませんでした。
男性が育休を取れるようになり推進する法律が1993年にできたものの、育休取得したのは一部の勇気ある男性だけだったと言います。
しかし、その一部の勇気ある男性の周囲で働く同僚や兄弟が育休を取得するようになり、他と比べて取得率が11~15%ポイントも上昇したそうです。更に、会社の上司が男性育休をとったときの部下に与える影響は、同僚同士の影響よりも更に2.5倍も高いうことがわかりました。
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弊社でもクライアント様との会議の中で
「なぜか地方の●●支社で男性育休取得者が急激に増えたんです」と、
勇気を持ってファーストペンギンになった一人の育休取得者から始まり、周囲が影響され、局所的に広がった。という現象を度々お伺いすることがあります。
つまり、多くの人が恐れている職場の雰囲気=「空気」はそこにいる社員自身が作ってるのです。
なので、「職場の雰囲気が・・・・」と『空気』を理由に育休取得を諦めている人が居たら、是非「自分が職場の空気を変えよう」という気持ちで一歩を踏み出してほしいものです。
中小企業こそ、男性育休を促進するメリットが大きい
最後に「わかるけど、中小企業は人手不足でとても無理です!」「少ない人数でやっているのに育休を取られたら業務が滞る」というお声もよく耳にします。
実際、2022年7月に日本商工会議所・東京商工会議所が実施した、全国中小企業を対象とした調査によると、今回の法改正で「何も変わらない」と4割が答えました。
しかし、就職人気ランキング上位の大手企業の人事の方から「全然採用できないんです!!」と言ったお話しを耳にする中、社会の状況を見れば少子高齢化が加速している訳ですから、中小企業は現状より人材確保が難しくなるのは間違いありません。
そのような実態を踏まえ、新潟にあるサカタ製作所という中小企業では、代表が危機感を抱き、働き方改革と共に、男性の育休取得を100%を達成した結果、地元で人気企業となり「採用に全く困ってない」と坂田代表は言います。
つまり、育休取得を促進する会社は、今いる従業員の満足度を上げるだけでなく、若手人材の確保にもプラスに働くことから、中小企業こそ、他に先んじて取り組むことが人材獲得において大きなメリットにつながるのです。
次回は、「育児休業給付金って会社が負担するの?」という誤解についてお話したいと思います。
合同会社リスペクトイーチアザー(Reo)では、男性育休推進、DEI推進、女性活躍推進のコンサルティング・研修・セミナーを手がけております。
ヒアリングを通して各社の課題に即したカスタマイズを行い、ソリューションを提供致します。是非お気軽にご相談ください。
※1、育休取得は権利ですが、以下の方は注意が必要です。
・入社、転職して間もない方(転職・退職が近い方)
・契約社員やパート、アルバイト等 有期雇用の方
というのも、法律では「子供が1歳6ヶ月になるまでに、退職することがあきらかでない場合を除いて取得が可能」と定められているからです。また、会社毎に「入社1年未満」を育休取得対象者から除外することが可能ですので、入社、転職して1年未満の方はお勤めの会社に確認が必要です。
※参考文献・記事
(※1:東京都「男性の育児休業等の取得状況」(令和3年度))
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00422/051700005/
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/13327.pdf
Respect each other(リスペクト イーチ アザー)
弊社代表 天野妙 共著
「男性の育休 ~家族・企業・経済はこう変わる~」PHP出版も好評発売中