夏イチゴ試験栽培2023 準備② 栽培環境の選択肢を考える
伊東・伊豆高原の地域特性から、家庭菜園、副業型就農のための栽培環境・方法を考えた。
参照試験データが豊富なトマト、イチゴ等の施設園芸産品
いちごは果菜類の中で出荷金額では、トマトに次いで2番目に大きな農産品である。 1990年代から、自治体・JA等で品種開発が進み、各自治体(県単位が多い)が、差異化のために独自品種を商品化し、自治体内のいちご生産者に「栽培ガイドライン」資料と共に、営農指導・産地ブランド強化を図っている。
静岡県では、「紅ほっぺ」の特性と栽培技術 ~試験データから読み取る栽培管理~ 静岡県農林技術研究所著を発表し、様々な栽培管理パラメーターと参照栽培データを示して、いちご生産者の営農経営にとって貴重なデータを提供している。
夏イチゴ試験栽培2023では、品種開発者である信州大学が発表した
「信大 BS8-9ʼの品種特性と栽培指針」信州大学農学部 蔬菜花卉園芸学研究室著が公開されている。
本活動報告の筆者は、冬春いちご「紅ほっぺ」の栽培に2011年から係わり、2017年より伊豆高原でいちご生産者として「紅ほっぺ」のいちご栽培を行って来た。 夏いちごの信州大品種を導入している関係者よりは、冬春いちごと夏いちごの品種特性、栽培管理方法は大きく異なるとの指摘されているが、以下の公開情報等を参考にし、地域特性に沿った栽培環境・方法を実施することとした。
夏イチゴ試験栽培の検証結果の利用シーンは、「家庭菜園での屋外プランター栽培」、「施設園芸ビニールハウス内の高設栽培」
本試験栽培の結果の利用シーンは以下を想定した。
① 施設園芸ビニールハウス内の高設栽培への適用
出荷を前提とするいちご生産者(伊東・伊豆高原地域への移住・新規就農者含む)が活用できる栽培管理方法の検証栽培を行う。
② 家庭菜園での屋外プランター栽培への適用
培土種類/量、液肥資材等の選定、栽培管理方法については、施設園芸/高設栽培と同様(いちご生産者仕様)に出来るだけ近い栽培環境の下で検証栽培を行う。
夏イチゴ試験栽培での最大の検証項目は、異なる「温度環境」、「屋外プランター栽培環境」での収量生産性
① 温度環境の違いを考慮に入れた栽培管理方法の検証
温暖な伊東・伊豆高原の定植時・栽培初期(4-5月)の温度環境
信州大学の栽培指針では明記されていないが、伊東・伊豆高原地域より遥かに低温環境を前提としていると思料される。従い栽培管理方法についても温度環境の違い(特に、定植後初期の4-5月)を考慮に入れた試験栽培を実施した。
② 「屋外プランター栽培」でいちご生産者・施設園芸相当の収量生産性が上がるかの検証
冬春いちごについては、県別の単収(単位面積あたりの収量)および、単収から試算できる1株あたりの収量生産性が、様々な組織より公表されている。夏いちごについては、冬春いちごと比較して、単収が相当量小さい、および、1粒平均果重が小さいと言う特性が示唆されている。 夏いちごが、伊東・伊豆高原の家庭菜園(または自給的農家)に定着するためには、「屋外プランター栽培」でも相当量の収量生産性が必要との認識の下で、本試験栽培を実施した。
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