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【文字起こし】そららぼワクワク対談「本がみちびく にぎわい創出」@山形県庁16階ミーティングスペース「そららぼ」(2023年9月8日開催)

開催案内
〔左:加藤啓太さん、右奥:逸見諒太さん、右手前:山本泰弘〕

【AI要約】
 この記事は、山形県庁の「そららぼ」という空間で行われた対談番組の様子を収録したものです。県庁職員の山本泰弘さんと、ゲストの加藤啓太さん、逸見さん、嶋村さんが、本を介した人と人とのつながりについて対話しています。
 加藤さんは仙台で「ビブリオバトル」という本の紹介イベントを主催しており、そのコンセプトや魅力を語っています。一方、山本さんは山形で開かれている「山形読書会」について解説し、逸見さんは県庁の取り組みとして、職員から寄贈された本を展示する「そららぼ文庫」の立ち上げを紹介しています。さらに、ベルギーからZoomで参加した嶋村さんが、筑波大学で行われた「コミュニティブックシェルフ」の事例を紹介しています。
 本を介した人々のつながりの形や、そのような取り組みの意義について対話が交わされています。

NottaによるAI要約

【導入】

山本:時刻は午後5時45分を少し回りました。お集まりのみなさま、1週間お仕事おつかれさまでした。今回MCを務めます山本泰弘です。どうぞよろしく。

 今回の「そららぼワクワクセミナー」は、ラジオ番組のイメージで、視聴者・参加者のみなさんからのコメントを拾いながらの進行にトライしていきたいと思います。ゲスト加藤啓太さんに聞きたいことでも、今回のテーマに関するエピソードでも、人助けのつもりで気軽に書き込んでください。みなさんのコメントが頼りです。


【「そららぼ」紹介】

山本:さて私たちが配信スタジオとしているのは、山形県庁最上階のおしゃれ空間「そららぼ」です。この場所は、2021(令和3)年度に職員有志のアイディアをもとにして作られたところです。
 ここは元々は印刷室として使われていた単なる作業空間だったんですけれども――。他の県庁とか市役所でも、おしゃれなスペースを作るとか、または建て替えちゃうというような動きがあったことに刺激を受けて、「ここをもっといい使い方ができるんじゃないか」と、当時の幹部が呼びかけて、若手中心に有志の職員を集めて、こういったデザインにしたら、こういうものを置いたら、こういう使い方できちゃうよね――とアイディアを出して、一部壁紙貼ったりとか自ら作業もしてできた場所です。

 ここは日中は仕事の話し合いやWeb会議の場として使われてまして。この山形県庁、会議室の数がなかなか足りなくて、それで職員が場所を探すのに苦労してきたんですけど、ここだと、ふらっと三々五々――特に職場のスペースが狭い部署の人が――「ここだったら集まれるね」ということで集まってくるというようなスペースです。

 それから、昼休みはお昼ご飯をここで食べる人も多いんですよね。山形県庁はお昼ご飯を食べる場所がなかなかない。食堂はあるにしても、買ってきた食べ物や持ってきたお弁当を、仕事のデスクで、照明を落としてる中で食べてるという人がけっこう多いんですね。そうすると、こういったおしゃれ空間があって、そばにはちょっといい自販機があったりして、それで気軽に喋れるというような、そんな空間がありがたがられているようです。

 ただ業務時間が終わって、放課後、仕事終わりになりますと、この時間帯、人がほぼいなくてなかなかもったいないので、ここを活用しようという職員有志のプロジェクトが「オフィつく」〔もともとは「オフィス空間を作ろう」というプロジェクトだった〕です。この名前のもとに職員有志が集まっていろいろと企画をしてます。
 例えば、他の県庁とオンラインで繋いで話し合いをする「日本列島オフィスの旅」。あとはゲストセミナー。この「そららぼワクワクセミナー」っていう名前は昨年も1回やったことがあって、それを引き継いでます。あとはボードゲームを持ってきて、みんなでやろうじゃないかとか。あとはドローンを飛ばしてみる会をしたこともあるんですよね。
 これからも活用アイディアや仲間を募集して、面白くやっていきたいなと思ってます。


【ゲスト呼び込み】

山本:ちょっと前置きが長くなりましたが、今回は「そららぼワクワクセミナー」と題して、ゲストをお招きしてお話を聞いていきます。
ゲストの加藤啓太さん、よろしくお願いします。

加藤:みなさんこんにちは。宮城県で「ビブリオバトル」っていうのをやっております加藤と申します。どうぞよろしくお願いします。

山本:仙台からはるばる山を越えて来てくれたわけですけど、これまで山形に遊びに行くなんてことは、なかった……?

加藤:山形市にはなかなかなかったですね。蔵王とか、東根市のほうには行ったことあったんですけど、山形市というか山形県庁に来るのはそもそも初めてなんでちょっと緊張してます。

山本:そうですよね、ここのスペースはおしゃれ感が出てますけど、実は県庁入ってくるとすごい古いオフィスビルです。廊下が暗くてひびが入ってるようなところをエレベーターで上がって、そしてまた暗い廊下を抜けて倉庫みたいな重い扉を開けると一部だけこんな空間になってるという形なんで――。
 そっか、山形市内の街なかじゃなくて蔵王とか東根には行ったことが。

加藤:そうですね。あと、中学生のとき、山寺に登って、玉こんにゃくを食べて――ということはしたことがあったんですけど、それぐらいですね。山形はあんまり来ることがなかった。

山本:なんかそうだろうなと思って。仙台の人がなかなかこっちに来てくれることもないかなと思って、ちょっと「You来ちゃいなよ」――これはちょっと時事的にアレですけど(笑)――そういう感じで健全にお招きしたということになります。


【ビブリオバトルとは】

山本:今回加藤啓太さんは、「ビブリオバトル」の人ということでお招きしたんですけど、その「ビブリオバトル」っていうのが何か教えていただけますか。

加藤:はい。ビブリオバトルっていうのは、簡単に説明しますと――自分が今まで読んだ中でこれがおすすめだと思った本を、5分間で紹介し、そして2、3分ディスカッションをする、っていうのを何人かで繰り返して、全員の発表を聞いた後に、聞き手がどの本が一番読みたくなったか投票し、トップの本「チャンプ本」というのを決める――というものです。「知的書評合戦」なんて言ったりもします。人と人とが、本を通してつながって、人を通して本も知っていくという。そういった感じのゲームでありイベントですね。

山本:自分がこれぞと思う本をプレゼンするわけですね。何人か「我こそは」という人が出てきて、みんなが周りで聞いてる。それで、誰がいちばんよかったですか――という。

加藤:そうですね。ただ、発表の善し悪しよりも、どの本が読みたくなったか、興味をそそられたかっていうところがすごく重要になるゲームなので――。「この人プレゼンうまかったね。でも本は面白そうじゃなかった」なんていうパターンもありますし、「この人のプレゼンは全然緊張してたけど、でも本はすごく読みたくなった」みたいなパターンもあって、人間性も見えて面白いゲームです。

山本:そうですね。実は山形でもやってるところがあって、さっきの東根市の図書館ですとか、寒河江市の図書館――。図書館のイベントとして開かれたものに僕が参加したことがあるんですよ。やっぱりみんなが参加しやすいイベントをやるということが、図書館でも必要とされてるようで。

加藤:盛り上がるんですよね。


【ノキシタビブリオとは】

山本:そこのエピソードも話したいんですが――、まずは加藤さんがやっているのが「ノキシタビブリオ」。これはどういった特徴があるんですか。

加藤:「ノキシタビブリオ」は、仙台市宮城野区にある「Open Village ノキシタ」というところでやっている、割と小規模なイベントなんですね。小規模ならではのゆるさがあって、例えば「食べ物に関する本」というテーマを設けることがあるんですけど、そこにあえて「裏テーマ『麺』」を加えたりとか。そういうちょっと遊び心のある会にしています。

山本:食べ物に関わる本だったら――例えば旅行雑誌みたいなのも出るかもしれないし、あとは小説、食堂小説とかよくありますよね。

加藤:そうです。そうすると例えばラーメンの出てくるマンガが紹介されて、それには勝ち負けに関係なく「ラーメンで賞」をあげるという――、発表者にちょっと嬉しい余興ですかね。

山本:おもしろそうですね。いろいろとアレンジのしがいがある。

加藤:毎回常連さんみたいな人もいたり、あとはふらっと初めて参加してくれる人がいたりっていう感じです。
 第6回からずっと来てくださってる大学生の方とか、あと、たまに飛び入りで大人の方が入ってきたりとかいうこともあって。
 年齢高めの方もいますが、最近来てくださるのは比較的若い学生さんとか高校生とか大学生とかになります。

山本:それは休日ですか。

加藤:基本は土曜日ですね。平日は仕事とか学校とかあって難しいのでやっぱり土曜日っていうことで。
 頻度は毎月を目指しているんですけど、人が集まらなかったりとかで、なかなか毎月は厳しいので、だいたい2ヶ月に1回ぐらいですね。

山本:だったら山形から応援して参加したい気もしますよね。

加藤:ぜひ来てください。ノキシタに。


【「オープンビレッジ ノキシタ」とは】

山本:ここで、会場の「Open Village ノキシタ」っていうのがどんなところか気になってくるんですけど――。
 加藤さんの印象としてはどんなところですか。

加藤:HPにも書いてあるんですけど、高齢者から若い人から、障害のある方、ない方も、どんな人でもみんなが自分の居場所にできるような、そんな場所だと思います。

山本:僕が手元に用意してたのが、HPの説明で――みなさんもお手元のスマホ・PCで「ノキシタ 仙台」で調べてもらいたいんですけれど――このノキシタは2019年に仙台市宮城野区田子西地区にオープンした、「コレクティブスペース エンガワ」、障害者就労支援カフェ、保育園、障害者サポートセンターの四つが一つになった交流施設です。

加藤:何でもありますね。

山本:これは役所が作ったっていうわけではなく――?

加藤:そうなんですよ。国際航業という会社の子会社〔㈱AiNest〕が設立・運営してます。
 このカフェのスープカレーは特に美味しいのでぜひ。野菜がすごい盛りだくさんで――。

山本:スープカレーってなかなか山形では聞かないですね~。
 加藤さんたちは、「コレクティブスペース エンガワ」を使ってる。

加藤:そうですね。活動はそこでやっています。

山本:加藤さんのような「こういうことをやりたい」というネタを持ってる人が使える場所がまちにあるって大事だなと。特に役所の人たちって、そういうのをなんとか作りたいって思いますからね。なので、「オープンビレッジ ノキシタ」っていう場所も注目だなと思ったんでした。


【ビブリオバトルエピソード】

山本:ビブリオバトルに話を戻して――。あとお聞きしたかったのが、ビブリオバトルやってきて印象的なエピソードはありましたか。

加藤:たくさんありますよ(笑)
そうですね、「こういう本は紹介していいのか」って聞かれることが多いですね。以前あったのが「辞書を紹介してもいいか」という質問。「紹介できればいいんです」と答えて、全国大会でも認められていることを言ったり。あと面白かったのは、「仮面ライダーに変身してもいいですか」という――。

山本:それは本物……?

加藤:どうやらベルトを持ってきて、仮面ライダーのマンガを紹介したい、と。

山本:藤岡弘、さんとかではなかった(笑)

加藤:中身はただの高校生だったんですけど、でも、「小道具としていいんじゃない」ということに。そういう面白い系エピソードもありますし、あとは、発表者が0人とか、十分に集まらなくて解散、みたいな悲しいエピソードもいっぱいあります。

山本:いや~、でもそれは企画して開催することに意義があるんですからね。

加藤:ありがとうございます。

山本:こういう自由なプレゼン――いわゆる「布教」かもしれない――、ができるっていうのは、いいですよね。

加藤:そうですね。やっぱり、自分の考えを言っていうのは。自由に話していい場所って――Twitterとかはあるかもしれないですけど――、なかなかないですしね。ビブリオバトルって5分間何言ってもいいんですよ。そこで本についての話はもちろん、自分の経験を語るもよし。そういう場所・チャンスがあるっていうのがいいことだなと思います。

山本:そうですよね。それは発信する方も楽しいし、みなさんいろんな個性的なチョイスの本を出すだろうし、いろんな人生が出てくるだろうし、そういうのを見聞きしてる側も楽しいですよね。

加藤:そういうのがビブリオバトル。

山本:僕もう一つ補足があって――、ビブリオバトルっていうのは、加藤さんの発明したものというわけではなくて、――十数年前に京都大学が発祥だと言われてたりもしますけど――もともと有志の人が考えたアイディアがいろんなところで脈々と進化して、いろんな場所でやられてる。そういうコンテンツなんですよね。

加藤:そうですね。ビブリオバトル自体は2007年に、京都大学の「谷忠先生」こと谷口忠大さんが発案して、そこからだんだんルールができていったんですね。今は学校とかでもやるところはあるみたいです。

山本:そうやって自然発生的にいろんな進化を遂げて、仙台では加藤さんがやってる。もちろん加藤さんだけじゃないと思いますし――。
 せっかくなので僕からも印象的なエピソードを。これは何年か前、東根市の図書館で――山形のみなさんには「まなびあテラス」と言ったほうがいいですかね――、そこでのイベントとして行われたビブリオバトルでのことで。僕と、読書仲間の友人同士でバトルしたんですけど、そのうちの1人が、「暗号で書かれた本」を持ってきたという。

加藤:暗号って何語ですか(笑)

山本:ですよね。それは大判の分厚い本で、開くと日本語の文字が一見でたらめに書いてあったんですよ。それで「これは暗号で書かれたミステリー本なんです」とプレゼンすると、「どんなの?!」ってみんなその本に注目して、発表者は「ぜひどうぞどうぞ」って眺めてもらって、そうやってお客さんを椅子から立ち上がらせて動かしちゃう。

加藤:すごいですね。

山本:それはそういう戦い方というか――、一つのエンタメですからね。
そのときのビブリオバトル、僕は日本人指揮者が書いたノンフィクションの体験記〔柳澤寿男『戦場のタクト』〕を持っていってけっこう自信あったんですけど、チャンプではなかったですね。
 でもその回はいろんな個性があって、僕が紹介したのはリアルな人物のドキュメンタリー。別のもう一人はいろんな国の本屋さんを旅した紀行写真エッセイ〔『世界の本屋さんめぐり』〕を紹介したり――、示し合わせたわけではないですけどふたを開けてみればいい感じで多様になりましたね。お客さんにとっても楽しいし。

加藤:いいですねそれは。

山本:これから加藤さんが開いていくビブリオバトルでも、どんな会になるかその時になるまでわからないし、その時々の出会いがあると。楽しみにしたいですね。

加藤:そうですね。ありがとうございます。


【山形読書会とは】

山本:ちょっとまた僕から話題提供で喋ってしまうんですけど――、山形にはビブリオバトルとちょっと共通する「山形読書会」という会があるんです。これは、おすすめの本や最近読んだ本を、みんなが持ち寄って、それで紹介し合う。

加藤:バトル抜きのビブリオバトルみたいなイメージですか。

山本:確かにそうですね。
これが面白いのが、山形市の内外のおしゃれな場所を会場にして、いろんな場所を巡りながらやってるんです。だいたい月1回、土曜とか日曜ですね。
例えば「遊学館」という、県立図書館が入った公共の施設の中の会議室――大きな窓があってそこから山並みが見えたり、下には庭園が見えたり――。あとは「文翔館」という、昔県庁だった大正ロマン風のレトロな建物の中の会議室とか――。あとはカフェとか喫茶店の一角でということも――。この夏には、街の中の仏壇屋さんが蔵をイベントスペースとして貸してたりするのでそこでとか――。あとこれもお役所関係になっちゃうんですが、「LINK MURAYAMA」といって、高校が別の場所に新設されて空き校舎になったところを改装した施設とか――。そういった雰囲気のいいところを会場に設定して、休日の午前中に集まる。そんな感じでもうかれこれ10年近くになる会です。回数もまもなく100回なんですよ。

加藤:そんなにやってるんですか。すごいですね。

山本:ブログとかフェイスブックに、毎回のレポートが載ってますので見てみてください。毎回、みんなが持ってきた本を並べて記念写真撮りましょう、っていうのがお決まりになってて、それを見ると、みなさん持ってくるのはほんといろんな本なんですよね。マンガもあれば、小説もあれば、写真集とか雑誌もあれば――。

加藤:いろんな本が集まる場所なんですね。

山本:ビブリオバトルと同じように、いろんな人のセンスというかチョイスというか――、人生経験、読書経験みたいなものが味わえる場でもありますね。
 そしてこの会は、たまに、移住してきた人がつながりを求めて参加してくれることがあるんですよね。例えば山形にお嫁に来た方とか、転勤で引っ越してきた方とか――。とりあえず働いたり学校通ったりして暮らすことはできるけど、そのほかのつながりがないという人でも受け入れてくれるような場所やコミュニティを検索すると、この山形読書会が出てきて――。

加藤:新しく大学に来たとかいう大学生もいたりしますか。

山本:そういう人もいましたね。
 これは社会学用語で「弱いつながり」というやつかなと思うんですけど――、仕事の同僚とか、近所に住んでる人というわけじゃないけど、本という共通点があって、その話をたまにする、そういう場があるとこれは豊かな人生であり豊かな地域だということになると聞いたことがあります。
 それは加藤さんのビブリオバトルもそうでしょうし。


【本で人はつながれるのか】

山本:ここでちょっと深いテーマとして、「本で人はつながれるのか」という問いを用意してたんですよ。
 ここまでの話の流れからすると、「なんかつながってるよね」ということにはなりますけど。でも――。僕が気に入った本のことを発信するのは楽しい。そして聞いてる人が楽しいと感じてくれるように話してる。でもそれは「つながった」ということになるのか?、と。

加藤:なるほど。どうなんでしょうね……。

山本:加藤さんには「いやいやそんな心配はないですよ」と言ってほしいような、

加藤:そんな心配はないですよ(笑)。
 ビブリオバトルに話を戻しますけど、同じ本を紹介してた人を見つけると「その本私も知ってます。いい本ですよね」って言ってそこでつながりができますね。私、高校生のときにビブリオバトルの全国大会に行ってるんですけど、その時も、とある憧れの作家さんが来ていて話す機会があって、そこで一緒になった他の参加者と話すと、実はその人は同じ本が好きで、予選会でそれを紹介していた――なんていうこともあって。そういう面白いつながりができます。

山本:その一瞬でつながりが感じられたっていうことですね。
 その作家と作品があってのつながり――、それはいわば「推し活」ってやつの縁かなとも思いますし。

加藤:そうですね。「推し活」、すごいいい言葉だと思います。的を射てる。

山本:僕がさっき「布教」と言ったのも、相手が実際に読んでくれたりするかどうかとは別に、発信する楽しさってのがあるんだろうなと。
 むしろ、布教が実際に効いたことありますか?本をプレゼンとかでおすすめしたら、本当に「読みました」って言ってくれる人がいたりとか。

加藤:私何度かそういう経験あって――。
 去年の9月に京都で「若者ビブリオバトル」っていうのがあって、30人ぐらいの前でとある有名作家の本を「超おすすめです」って推したんですけど、そしたら後日LINEが来て、「読みました。もうめちゃくちゃ涙しました」みたいな、私よりも熱いぐらいのメッセージが来た――ということもあるので。

山本:それは感動的ですね。

加藤:そうなんですよ。すごい嬉しかった。

山本:僕も県庁の職場で布教されたことがあって――。
 僕「SLUM DANK」読んだことがなくって。職場のみんなが「それ読まなきゃ」みたいに言ってくれまして、そのうちの一人がスラムダンク特装版全巻を貸してくれたんですよ。

加藤:すごい。熱心な。

山本:僕はそれをしばーらく「積読」、寝かせておいてしまったんですけれど(笑)、でも結局読み通しまして。それで僕なりのスラムダンク観が持てるようになりました。みんなが知ってる作品だとその話に乗れるというのもあるし、これだけの力がある作品・ストーリーなんだということもわかりますし。
 でも、自分の本当に芯に刺さった、青春時代の「座右の書」みたいなものは教えたくない気持ちもないですか?

加藤:わかります。「この本は、自分だけの宝物であってほしい」みたいな気持ちはありつつ、でも私は「やっぱりみんなに知ってほしい」っていうのが強かったので、それがきっかけでビブリオバトルやったのかな。

山本:いや僕もそれはあったな~。
 実際、僕が今思い浮かんだのが、2000年過ぎに出たあるマンガ作品で、それを学生の頃に仲良かった友達に布教したら読んでくれましたね。

加藤:とても嬉しいですよね。

山本:ただ、どれくらい刺さったのか。。。
 その友人は「普通に面白かったよ」とか言ってたんで、そんなにざくっと刺さってはいないはずです。


【コメント紹介】

山本:ここでちょうど半分ぐらい経ちましたので、コメント紹介しちゃいましょうか。

嶋村コメント:「筑波大学図書館に、いらない本を入れたり、欲しい本を持っていったりしていいという本棚があるのですが、そこにみんなのコメントを書き込むノートがあるのです。そのコメントを読んだとき、本でゆるくつながる関係っていいなと思いました」

山本:これは何かイメージつきますか。

加藤:ちょうどノキシタにもそんな感じのスペースがありますね。
 持ってっていいわけではないですけど、自分の好きな本を置いて、コメントを書いておく、みたいな。

山本:なるほど。。。実はこれはこの後のテーマとして用意していたんですよ。

嶋村コメント:「ベルギーでは本離れが問題になって久しいですが、それでもブックカフェはいつも人気で、必ずコーヒーを飲みながら本を読んでいる人たちがたくさんいます。彼らと特別話をすることはないけれど、隣の席で本を読みながらコーヒーを飲むとき、勝手に本仲間みたいな感覚を覚えます」

加藤:いいですね~。ブックカフェっていうと、「TSUTAYA図書館」みたいな感じで、隣接してるってことですかね。

山本:それはベルギーのカフェの本をひもといてみるしかなさそうですが。。。(笑)
 でもその「TSUTAYA図書館」も憧れですよね~。仙台にありましたっけ。

加藤:仙台市の隣、多賀城市ですね。何回か行ったことあります。

山本:TSUTAYA図書館とか蔦屋書店、あれは感動しますよね。

加藤:そうですね、見上げると上まで本が並んでるっていうのは、斬新というか。
 賛否分かれてるっていうのは聞いたことあるんですけど、それでもやっぱりああいうところ、欲しいなとは思います。

山本:今いろんな地域で、立派なおしゃれな図書館が造られているのは、やっぱりそういう願いというか期待があるんですよ。
――実はサプライズゲストとしてこのあと登場する嶋村さん、コメントありがとうございました。


【そららぼ文庫】

山本:ではこの流れで、逸見さんに登場してもらいましょう。
 初めに言いました「オフィつく」、この場所を活用していこうというメンバーの一人、逸見諒太さんです。
 ここ「そららぼ」の中に、「そららぼ文庫」というものが最近できまして、逸見さんにはその紹介をお願いしてたんでした。

逸見:この仕掛人は、前総務部長(小林剛也さん)――東京の財務省から異動して来られた方――で、今年の夏に財務省に戻る際に多くの図書を県職員のためにと寄付してくださいました。それをきっかけにこの「そららぼ」でも、本を使った活動ができないか、いただいた図書をどう活かすか、今後どうここからつながりを増やすか――と考えてこのコーナーを始めたという流れになります。

山本:ちょっとユニークな幹部がいたんですよね。ここの場所をもっとどんどん使おうとか、あとあそこの観葉植物連れてきたりとか、クリエイティビティを発揮して――。その一環として、山形を離れるときに、県庁の人たちに「みんなで読んでくださいよ」ということでいただいた本が20冊ぐらいあるんですよね。それをとりあえずオフィスによくある棚に並べて、「ご自由に見てください」ということにしてある。これを「そららぼ文庫」と言ってます。
 今度は、交換の仕組みも作るんですよね。

逸見:そういうつながりとか、動きがあったら面白いなっていうのがありまして。
 ちょっと気に入った本があったら自分の本と交換しながら、ちょっとずつ本が循環していくような仕組みを作れないかなと。
 ノートも置いて、匿名で感想をシェアしたりとか、そういった形で広がりができないかなというふうに模索してるところです。

山本:その「そららぼ文庫」の中から、例として、ここに持ってきたのが、「山形ワイン」の雑誌(ムック本)。山形特集なんです。果物の生産が強いということは、ワインも豊かな土壌があるよという――。これはパラパラと眺められる本ですかね。
 もう一つ、これは加茂水族館――クラゲの水族館として有名になったところ――のクラゲの写真の本。日々すさんだ県庁生活の中に癒しを、ということで(笑)。
 あとは、これは僕が寄贈しました。今テレビドラマになって、人気が出たマンガ「ばらかもん」。これは、東京の書道家の青年が、あるきっかけから、長崎の離島に飛ばされちゃうというお話。地元の人とのドタバタ暮らしが始まり、自分のペースを乱してくる地元のガキんちょたちとかじいちゃんばあちゃんたちとの出会いから、書道家として大切なものをちょっとずつ見つけていく。でも大体はドタバタ劇、という――。そんな地方移住、地方創生ものだと思って。だからこれを県庁に布教したいなということで持ってきました。
――あとはなんか、じわじわ、自然発生的に増えてる本があるんですよね。

逸見:それはそれで面白い。こういうコーナーがあると勝手に増えたりするんだなって。

山本:「持ってきてください」みたいな募集をしてるわけじゃないのに。(笑)
 さっき加藤さんからは、「ノキシタ」でも似たようなところがあると聞いたんですけども、もうちょっと詳しくお聞きしていいですか。

加藤:あそこは元々は「まちライブラリー」みたいなところにしようとしたらしいんですけど。訳あって図書スペースという形で、絵本だったり、児童書だったり、写真集だったり、あと仙台の古い地図だったり――、みんなが置いていったいろんな本が、いっぱい壁一面にあるんですね。

山本:それは自然増殖的にみんなが持ってきて、それで本棚になっていると。

加藤:最初は本棚はガラガラだったんですけど、でも半年ぐらい経って行ってみたらなんか増えてる。今ではもうびっしりと。
 面白かったのは「あんぱんまん」が置いてあったり。やなせたかしの古い絵本で。「これは貴重なのでは?」みたいな感じのタッチで……。
 そういう本がいろいろありました。

山本:子どもたちもみんな見てる「アンパンマン」の昔はこうだったんだよ――と。
 それも本の空間の価値という感じでいいですね。


【筑波大学「コミュニティブックシェルフ」】

山本:この流れで、さっきコメントで登場してくれたサプライズゲストの嶋村さんに登場してもらいましょう。

嶋村:こんにちは。あっこんばんは。

山本:そっちはこんにちはですか。

嶋村:はい。こっちの時刻は11時43分、お昼前ですね。7時間遅れてますので。

山本:嶋村さんは今、ベルギーから繋いでくれてます。

嶋村:Zoomさまさまです。

〔右画面:嶋村江莉奈さん(ベルギー在住)〕


山本:さっきのコメントで、「筑波大学図書館で~」という話がありましたが、これがこの嶋村さんと仲間たち、プラス僕もちょっと関わって作った「コミュニティブックシェルフ」という仕掛けだったんですよね。それをここの「そららぼ文庫」のヒントにしようかと思っているので、しゃべってもらえますか。

嶋村:筑波大には、そちらの「そららぼ」に置いてあるようなサイズの本棚を二つ、「コミュニティブックシェルフ」として図書館のエントランスホールに置いてあるんです。

山本:まずは、デコレーションされた不思議な本棚が、図書館エントランスというみんなが通るところに突然現れた、っていうふうにして――。

嶋村:絵を描くのが好きな人たちで本棚をかわいらしくペイントして。それで中央図書館がいちばん人が集まるから、そこに置いておいたんです。

山本:通りがかった人に向けては、「ここにある本はご自由に持ってっていいですよ、あげたい本があったら持ってきていいですよ」と書いてある。

嶋村:そうなんです。だから完全に匿名の、勝手に誰かと誰かとの間でコミュニケーションが完結するシステムで。
 意外と、置いておいたノートのコメントが本当にたくさんあって、「本いただきました。ありがとうございます」、「新しくこんな本を持ってきました。よかったらもらってやってください」みたいな――。それを見ると、コメントは匿名だから誰が置いていったのかわからないんですけど、だけどなんかゆるいつながりみたいでいいなって。

山本:本当にみるみるうちに、ノートが埋まっていった気がする。

嶋村:そう、あと本もすごい勢いで増えたり減ったり、激しかったですね。最初は教授が退官するときとかに大量に処分する本をもらってきて本棚に入れたりしてたんですけど、そのうち我々が何もしなくても勝手に本が増えては減り、増えては減り……っていうふうに独立していきました。

山本:例えば、就活のガイド本とかも。先輩から後輩へ。

嶋村:そうそうそう。ありましたね。あと語学本とか。

山本:あったね~。そういう本棚が、まずは図書館に現れ、そして別な場所に現れ、また別の場所に現れ、そして図書館に戻って定着した、という。

嶋村:そういう経緯があります。

山本:数年前、10年前ぐらいかな。

嶋村:もうずいぶん前ですね。2013年とか14年とかじゃないです?

山本:その後かなりしばらく残ってたからね。(※2023年10月時点も健在)

嶋村:そうなんですよね。びっくりしました。

山本:やっぱりそういうのがあると、古本屋と比べて「こんな本がある」とかわかるし、コメントも見られるようになってるから、いろんな個性というかセンスが現れておもしろいよね。

嶋村:あとはやっぱりつくばの近くはブックオフとか古本売れる場所ってけっこうあるんですけど、多分それを使わないでわざわざこの本棚を使うっていうのはやっぱり「お店で売っておしまい」じゃなくて、ちょっとした繋がりもみんな楽しんでたのかなと思ったりしました。

山本:なるほどね。

嶋村:あと気軽ですしね。持ってきて入れてけばいいんだから。

山本:うん。何となくつくばの学生の仲間に、とか、先輩から後輩に、と思えるもんね。

嶋村:あとはやっぱりデコレーションもよかったんじゃないですか(笑)

山本:本当に。実は逸見さんには写真を見てもらったんですよ。惜しくも検索しても出てくるものじゃなかったので、加藤さんにはまた後でお見せします。

加藤:お願いします。

嶋村:県庁でも好きな絵を書くといいと思いますよ。山形っぽい絵。

山本:うん。いやほんとにここの本棚も、余った木材とか持ってきて自分たちでDIY、作ったらいいかも、みたいなアイディアもあったんだよ~。

嶋村:いいですね。これからのアイディアですね。その本棚が大きくなるときの。

山本:さっそく書き込みできるノートは置くつもりだし、

嶋村:はいそれは必須だと思います。楽しいですよ読んでて。
――すいませんこんな感じでいいんでしょうか?

山本:本当にありがとう。
こういうのをお二人に聞いてもらいたかった。お二人というか皆さんに。

嶋村:よかったです。


【そららぼ文庫活用アイディア】

山本:あれは本当にいろんなところに広げたいなということを当時から思っていて。だからこの県庁の「そららぼ文庫」には希望があるんですよね。
 ただ、まだ今のところ昼休みみんなが本を手に取ってるかというと、そうでもないのかなと。
 なので、この機会にどう活用しようかっていうのをみなさんから、アイディアをもらいたかったんでした。

嶋村:「お昼ブックカフェ」とかですか。ミニイベントとして。

山本:そっかそういうイベントを開くっていう手も。

嶋村:本棚と同じチームで、筑波大の文化祭でブックカフェをやったんです。いらない本を持ち寄ってそれをバーっと並べて。

山本:お客さんには「どうぞお土産に」って。

嶋村:そうそう実際にもらっていく人もいた。
 「そららぼ」のような部屋だったらそういうイベントをしてもいいかもしれないし。

山本:それこそビブリオバトルだったり、読書会っていうのをやるっていう手もあるんですよね。

嶋村:ビブリオバトル面白そうですよね。私まだ一度もやったことないけど、

加藤:ぜひ見に来てください。最近ハイブリッド開催しているので、ベルギーからでも。

嶋村:そうなんですか!

加藤:そうなんです。Zoomでも参加できます。

嶋村:じゃあ考えてみます。紹介したい本がいっぱいあります。

加藤:ぜひお願いします。

山本:ベルギーのご当地本でもいいし。

嶋村:ご当地本だったら、紹介したい料理本がありますよ。
 私の最推しのパティシエさんが書いたやつ。

山本:あ!ちょっとネタバレになっちゃったかも。

嶋村:どうかな~。本っていうよりレシピ本だから。

加藤:そこは当日のギャラリーの方次第ですね。

逸見:レシピ本でもいいんですか。

加藤:いいと思います。

山本:実はこの会でビブリオバトルのデモンストレーションをしちゃうっていう手もあったんですよね。
 僕と加藤さんがエキシビションマッチみたいにして戦うっていう。

逸見:見てみたかった。

嶋村:やらないんですか。

山本:さすがに加藤さんには勝てないかな~と(笑)
 逸見さんはやりたいこととかありますか。

逸見:こうやって本が集まるんだな~って、考えてはなかったですね。
 今は一人、二人の方が寄贈しただけですけど、どこかに眠っている本が集まってくると、いろんな背景が想像できておもしろそうですよね。あと「本棚が動いたら面白くない?」っていう発想が素敵だなと思ったので、そんな感じで本を集めてみたいなと思いました。

山本:「とりあえず持ってきてくださいみたい」にするっていう手も。

逸見:全然ありかなと。ノートに書いていってもらうことにして。

山本:県庁の人たちには、買ってでも布教したい本ってあるんじゃないかなと思うんですよね。
 実は僕が寄贈した「ばらかもん」、ブックオフで100円だったんですけど、そういうのがわらわら集まってきたらおもしろいし。

逸見:筑波大でコミュニティブックシェルフを実践したときは、本当に全く知らない人から本が集まってきたんですか。

嶋村:本を持ってきた人たちは知らない人同士です。
 もともと「どうやったら不特定多数の人が関わりたいと思えるかな」っていうのを考えるところからスタートしているので。筑波大の場合には、おそらく本がいちばん学生のみんなにとって身近で、卒業するときは教科書を誰かにあげたいっていう人は必ず出るし、課題で図書館に行かなくちゃいけない人も、必ずたくさんいるから。だから本はいいなと思って、そうやって始めたものなので。
 あとはもともとは私達「リサイクル」を扱いたかったんですよ。だけど例えば家具のリサイクルだったら「いらない冷蔵庫を持ってきてください」では大変じゃないですか。だけど本だったら手に取れる大きさだから、もし本を持ってきてもらうことで本を大切に回すっていう意識が根付けば、それは家具にも通じるだろうから、その人はいらない家具を捨てるんじゃなくて、「リサイクルショップを探そうかな」って思うかもしれない。本はそういう意味としても、選んだ題材でした。

山本:あとね、僕から言うと当時筑波大は、世の中の流れに先んじてツイッターがめっちゃ流行ってて。みんなツイッター上で匿名でやり取りをするのが当たり前だったんですよね。

嶋村:そうだ!それもありましたね確かに。

山本:そう、Twitter先進大学。だから本棚のノートはアナログ版のTwitterみたいなものだったかもしれない。
 本を置きに来た人が、後でこのノートを見に来て、自分があげた本が「ありがたくもらいました」みたいに書かれてるのかな~と。

嶋村:確かに。みんなもらった本の名前書きますからね。

山本:「その後どうだったかな」、「まだ残ってる」、「もう出ていったかな」というのが気になって、行くわけですよね。だからすごいいい仕掛けだったと思って。

逸見:どういうジャンルの本がよく集まったりするんですか。

嶋村:やっぱり筑波の学生が興味のあるものが集まるので、ある時期は就活本が多かったり、語学本は常にあったはず。TOEICとかTOEFLとか。それに、要らなくなった教科書がたまにちらほらあったり、あとは全然関係ないマンガがたまにあったりして「絶対この人引っ越したな」みたいな。

逸見:なるほど(笑)

嶋村:たまに貴重な教科書があってそれはだいたい教授からの寄付だったりします。

山本:でも四六時中見てたわけじゃないので、置かれてからすぐ持っていかれた本は目につかないんですよね。

嶋村:だからこれらはもしかしたら人気がなかったのかもしれませんね。確かに。

山本:そういう不思議があるという。「実はこういうやり取りがあったんじゃない?」っていうのがノートを見ると、わかってくる。

嶋村:ノートを見ると確かに、見かける本よりも大量の本の名前が書いてあって。「その本は私一度も見たことないわ~」みたいな。知らないうちに旅立ってしまったんだ。――だからジャンルはいろいろですね本当に。
 でも最初にマンガを置いておいたのはよかったと思います。多分あれでハードルが下がりました。

山本:余談だけど、初めは内海先生の研究室からもらった要らない筆記用具――学会でもらえるようなボールペンとか――をたくさん置いといて、「これもうあげるからこれで書いて」みたいにしてね。

逸見:なるほど。

嶋村:本当は本棚もそういう要らないもので作りたかったんですけど、さすがにそう都合よく学内のゴミ捨て場に本棚は落ちてなくて、仕方がないのでリサイクルショップで買ってきて。

山本:さっき嶋村さんからのコメントがもう一つありました。
嶋村コメント:「ブックカフェの例などは、ビブリオバトルのように能動的なコミュニケーションではないですが、このようなものもつながりかなと思っています。」

加藤:そのとおりだと思います。能動的とかそういうのをなしにしてやっぱつながりって人間必ず持つものだと思いますし。ブックカフェで、本を介してつながるっていうのはいいな~と。

嶋村:それは私も思います。

山本:常連さんとか、なんか仲間意識がある、みたいなことかな?

嶋村:そうですね、最初に山本さんが「つながれているのか不安である」みたいなことをおっしゃっていたので、どんな形であれ、本を介したつながりはそこら中に存在しているんだろうな~と思ったのを書きました。
 あとはビブリオバトルの場合、聞いている人は必ず興味があって集まるから、聞いてる側もエンターテイメントとしてみんなめちゃめちゃ楽しんでるんじゃないですかね。これは図書館に行くだけでは味わえない体験だから。

山本:「動」もあれば「静」もあるっていう。

加藤:だからいろいろな繋がりがたくさんあればいいんじゃないかななんて思いましたね。
 だから、ぜひビブリオバトルはどんどん広めていただいて、

山本:そういう企画を立ち上げてくれる人ってのは本当貴重だし、そういうのは乗っかって応援したいとも思うし。山形の「山形読書会」だってそうですし。あとは別の公務員の先輩で、「みんなでこの本を深く読もう」という読書会、「アクティブブックダイアログ」という企画をしてる人もいるんですよ。

嶋村:いいですね。

山本:図書館だったり、仙台の「ノキシタ」だったり、ここも「そららぼ文庫」という本が置いてあるということでインフラですよね。物や建物、施設があるっていうことと、あとはそこを活かす人。イベントというか、「企て・企み」がある。これがうまいバランスであるといいのかなと。
――なんかちょっと真面目な結論になっちゃったんじゃないですか(笑)

逸見:そういう企みが、県庁の16階でできると面白いかなと思いますけど。

山本:そうそう、だから「企み」をやる場としてはすごくいいんですよ、ここも。あと、仙台とかでもあると思うけど、街なかでおしゃれな公共施設ができて、「使えるよ」というのは、使いようによっては、面白いものがたくさん生まれるんですよね。
 さっきの東根の話に戻るけど、東根市立図書館が入ってる「まなびあテラス」という施設では、例えばレコードが好きな人が一日、スペースを借りて、「ここに来ればレコード何でも聞けるよ」ってやってたりするんですよ。

嶋村:それは素晴らしい。

山本:そういう「企て」の一つとして僕もこの配信をやってみたわけですし、また、加藤さんのビブリオバトルもいろんなパターンでこれから進化していくのかなと。


【エンディング】

山本:そろそろお時間も近づいてきたところですが、加藤さん、嶋村さん、逸見さん、ご案内ありがとうございました。

嶋村:お招きいただきありがとうございました。

山本:世界の向こうから(笑)

嶋村:地球の裏側ではないですよ(笑)

山本:加藤さんから、今後のノキシタビブリオの予告というか展開をお聞きできれば。――特製のチラシが出てきました。

加藤:これは大学生の大会なんですけど、「全国大学ビブリオバトル2023」というのが、今年の12月中旬にあるんですね。そのブロック予選というのをノキシタでやることになりました。これはZoomでも参加できますし、ノキシタに直接来ていただいての参加(要施設利用料)でもOKです。
 Googleフォームから簡単に申し込みできます。飛び入りでもいいですけど。X、旧Twitterとかインスタグラムとかから情報は見れるので、興味ある方、大学ビブリオの東北地区のページを見ていただければ出てくるので、参加していただければと思います。

山本:こういうのもテレビ中継とかやってほしいですよね。

加藤:確かに。コロナ前だと、中学・高校・大学のビブリオバトルは全国大会決勝まで行くとYouTube中継があったんですけど、最近予算の関係なのかやってもらえなくなっちゃって。。。

山本:仙台の配信会社さん知ってるんだけどな~。
 こういうのみんなで応援したり観戦したらいい気がしますよね。この前、「俳句甲子園」ってちょっとだけニュースに出たのがありましたけど、これも、「最後の決勝、こことここが対決してこうなりました」だけニュースでは出たんですけど、そこで山形東高校が決勝グループに残ってたらしいんですがあんまり地元ニュースで出てない。だから、文科系の戦いというか「知的何とか合戦」は、書評合戦だったり俳句合戦っていうことで、十分エンタメになるし応援したいなって思うんですよね。
――ちょっと脱線しましたが、10月7日の10時から13時。

加藤:はい。これは、大学生・大学院生以外の方――高校生だったり――が、ビブリオバトルをやりたいっていう声がちょこちょこあるんですね。そういう方がいれば、2回戦をしようかと思ってるので。なので、本を持ってきてもらえれば飛び入りできるかも――。

山本:花笠まつりみたいな話なんですか。
 これが「ブロック予選」っていうことは、東北の予選ですかね。

加藤:ブロック予選があって、その上にブロック決戦があるんですね。それが東北地区の代表決定になるんです。
 ブロック決戦を勝つと全国大会に行けるという。

山本:そっちはそっちの甲子園的なのがある、と。
 なんかレベルの高い人たちのプレゼンってすごそうですね。そういうのを視聴したら、Amazonとかで「ポチ」「ポチ」「ポチ」みたいに――。

加藤:そうですね。読みたい本がどんどん増えちゃって。

山本:それも読書の秋ということで楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
 それじゃ、あとご参加のみなさんで言い残したことはありませんか。
 あとは「この本そららぼ文庫に置いてほしい」みたいなものの受付は――

逸見:もう全然いつでも。

山本:いつでも寄贈は歓迎ということで。そららぼ文庫も、そららぼも盛り上げていこうと思います。
 本当にみなさん今回はお付き合いいただきましてありがとうございました。できればまとめ記事にして発信したいなとも思ってますので。お楽しみに。
 この「そららぼわくわくセミナー」はまたいつかっていうことで。このネタや要望もありましたら、お寄せください。
 それではここでお開きとします。

加藤・嶋村・逸見:ありがとうございました。

嶋村:ビブリオバトルがんばってくださいね。

加藤:頑張ります。

嶋村:応援しています。そして、私が参加する暁にはよろしくお願いします。

加藤:ぜひ、一戦交えましょう

山本:いいね。ワールドワイドマッチですかね。

嶋村:ですね。ではありがとうございました。楽しかったです。

【終】

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