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家賃と住人の質は比例する?'e


隣人ガチャの言葉通り、結局は運ゲー

 おいおい。今何時だと思ってんだよ。上の階が掃除機をかける音で目が覚めた。外が薄暗いため、明らかに私が昼時までガチ寝していた様子ではなく、iPhoneをタップしたら午前5時台だった。

 家賃が安い集合住宅の場合、支払い能力が多少怪しくても、そもそもの家賃の安さから審査がザルで、常識のない残念な隣人が居る割合が高いのか、よく家賃と住人の質(民度)は比例すると言われている。

 私は物心ついた頃から親元の時に1度、そこから離れて単身者となってからも2度転居しており、戸建て2軒と集合住宅3部屋、計5つの居住空間をプライベートで経験している。

 居住空間にプライベート以外ないやろ。とツッコミたくなった方は鋭いが、私は鉄道員という職業柄、駅や乗務員の宿泊所で仮眠をとることから、かつては駅前物件ならぬ、駅そのもので寝食していた。

 レアケースでは駅舎の改修工事期間で、何ヶ月にも渡り宿泊設備が使えない状況となった際に、鉄道会社の経費で駅近の物件を借り上げ、そこで宿泊した経験もある。

 一時的とはいえ、場所が東京都区部の駅近ということもあり、20代の安月給リーマンなら、まず借りようとも思わない賃料だったのは記すまでもない。

 つまり、典型的な9時17時(日勤)のサラリーマンならまず経験しないであろうディープな宿泊場所まで含めると、高卒で鉄道会社に就いてから、今に至るまで、案外いろんな場所を生活拠点にしていたことになる。

 そのため、今で言うところの多拠点生活に近いスタイルをプライベートとパブリックの双方で行っていたため、地域や物件ごとの住環境を比較する材料の多さは、いわゆる子供部屋おじさんとは比にならない。

 そんな経験上、家賃が高いからと言って、必ずしも民度が高い訳でもなければ、家賃が低くとも、隣人が意外とマトモだったりするため、一概には言えないと、ありきたりな経験則にならざるを得ない。隣人ガチャの言葉にもあるように、結局は運要素に左右される運ゲーそのものである。

賃料が安いと試行回数は増やせる

 価値観は人それぞれのため、住環境の快適さを人生の最重要項目と捉えるか、単なるコストと捉えるかによって、最適解は180度異なるだろう。

 私の場合は限りなく後者の考え方で、多少居住空間の快適さが犠牲になっても、コスパに見合うと判断すれば安い方を選ぶため、住み替える度に家賃の名目値は下がっている。

 コロナ前に不動産屋に来店した際、予算の物件よりも2ランクほどグレードの高い物件を、(嘘だと思うが)希望物件の内見準備が整うまでの時間稼ぎと言う名目で、勝手に内見させられたことがあった。

 先にハイグレードの物件(松)を見せることで、心理学で言うところのアンカリングが働き、希望予算の物件(梅)が想定的に見劣りするような錯覚を覚えさせることで、結果的に手の届く範囲で1ランクほどグレードの高い物件(竹)を契約させる、営業の常套手段である。

 案の定、予算オーバーの竹物件ばかりプッシュしてきて嫌気がさしたため、比較の当て馬同然で案内された、当初提示した賃料よりも1ランク安い梅のボロ物件で即決して、営業マンがマジかよって顔をした程度に、私は家賃をコストとしか認識していない。

 というのも、賃貸選びの鉄板ネタではあるが、掲載画像や内見で、共用部やポスト、ゴミ集積場の状態を確認すれば、最低限スラム化しているのか否かは判別できるため、そのフィルターさえ通ってしまえば、あとはガチャを回してみる他ないのである。

 予算オーバーの物件で、隣人ガチャハズレを引くと目も当てられないが、予算よりも安い物件でハズレても、まぁそんなもんだと思って許容できる場合がほとんどである。

 本当に耐え難いハズレ具合だったら、賃料が安さ故に自ずと初期費用も安く、引越し資金は貯めらる筈で、試行回数は増やし易い。いつでも引越しできる経済的余裕を持つことが、自然に黒字家計へのインセンティブにもなるはずである。因みに騒音対策にMOLDEXメテオ(耳栓)は便利である。

セキュリティ物件、中途半端問題

 私が住んだ物件で起きた出来事として、前居住人の郵便や宅急便が転送されずに届き、何らかの滞納通知や支払い催促だったり、社労士とか弁護士事務所の封筒だったりする。こんな奴でも生きていけるんだと、ある意味小学校の社会科見学よりも生々しくて感心した。

 そんなネタが複数の物件で起きるものだから、いかに低空飛行とはいえ、安定したサラリーを得ている正規雇用側の人間なら、まず住まないであろう次元の安い物件であるかは、読者の想像にお任せする。

 そんな安い物件で隣が夜逃げしたかと思ったら、もう片方の隣にはポストにKKRの封筒が投函されていたりするものだから、世の中は私が考えているよりも複雑怪奇で、ワケガワカラナイものである。

 とはいえ、いかんせん中学で上の世代が覚醒剤所持や使用で捕まったとか、反社と連んでる俺カッケー的な勘違い中坊が突然蒸発するような、未成年飲酒やら喫煙やらがお飯事レベルに見える程度にお察しなガラの悪い地域の出自である。

 その影響を多分に受けているのか、文字通り致命的な事態でなければ、掃除機の音で目が醒める程度の神経質さは持ち合わせながらも、現場猫もとい仕事猫のように、とりあえず「ヨシ!」で大抵のことは済ませてしまう性ではある。

 ヒューマンエラーつながりで、JR社内の安全教育用映像教材で使われているらしい、通称股尾前科の「まあいいか」も気楽に生きる観点で便利な言葉ではある。

 そもそも日本の住宅は、玄関に鍵をかけたところで、窓ガラスを割れば簡単に侵入できる造りのものが大半で、タワマンのように高層階で、エントランスがオートロックでも、配達員に成り済ますなど、やりようはいくらでも考えられ、セキュリティと呼べるものはないに等しい。

 本気でセキュリティを確保したいなら、軽井沢にビルゲイツが建てたと噂されている別荘のように、厳重なゲートで物理的に破壊や侵入が困難な造りにする他ない。

 そこにコストをかけられないのなら、中途半端なセキュリティもどきに高い賃料を支払うよりも、いっそのこと割り切って住宅にはコストをかけない方が、パンピーの最適解ではないかと思うし、それによって今のところ実害は生じていない。

[増補]相場との差額を”我慢料”と考える

 地方移住で相場よりも安い集合住宅を借りた結果、掃除機をかける時間すら考えないアタオカな隣人が居住する物件に住む運びとなったが、いつの間にか居なくなっていた。

 肌感覚として、家賃の安い物件の方が、住人の訳あり率が高い分、入れ替わりも激しく、1〜2年も住めば不穏分子が勝手に消えては、当初よりも住みやすくなることは往々にしてある。ほっ…法律的にグレーな陰湿な嫌がらせで追い出すなんて、実力行使はしてないんだから!

 因みに、例に漏れず前居住人の郵便が転送されずに届く上、何らかの滞納通知や支払い催促と、こんな奴でも生きていけるんだと、生きるのが楽になる意味では感心する、相変わらずのクソ野郎っぷりで、催促がタイムオーバーになるであろう1週間くらい寝かせてから、郵便物に「殺すぞ!」的な雰囲気で「誤配」と赤ペンで殴り書きして、毎週まとまった量をポストに投函し続けたら郵便局側が察したのか、いつの間にか届かなくなった。

 神経症的傾向の強い私が、こうした小さなストレス要因を「まぁいいか」で片付けられるのは、ビル・ゲイツ氏の都市伝説のひとつである旅客機のエコノミークラス理論と同じで、タワマンのペントハウスだろうが、安い物件だろうが、雨風凌げるという同じ結果が得られるなら、安い方が良いに決まっている。

 見方を変えると、相場より安い物件を選ぶことで、相場との差額分だけ、経済的には毎月得している訳だから、多少の不便や不快感を強いられても、その我慢料として経済的便益(お金)を受け取っているのと同義と割り切れば、大抵の不便や不快感は「まぁいいか」で済ませられるものである。

 不快感と経済的便益(金銭)を天秤にかける感覚が身に付くと、例えば騒音であったり、水平が取れていないことで、健康被害が出るレベルなら、治療費の方が高く付くため住むべきではないと、定量的に居住を判断する切り口が得られる。

 その意味で、相場より家賃が安くても、納得感のある住まいが借りられる可能性が高まり、浮いた固定費で資産形成できれば、行く行くは金融資産所得という名の不労所得で、身銭を切らずに今よりも良い物件に住める可能性がある意味で、夢がある考え方だと個人的には思うが、いかがだろうか。


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