
一票よりタダ乗り
一票より一発?バカ言うな
無敵の人事件が起きる度に、世の中を変えるには、やはり”一票より一発”が効果的だとネット上で物議を醸す。確かに日本は大統領制ではなく、議会制民主主義を採用していることで、国民が総理大臣を直接選ぶことができない間接的な民主主義となっている。
直接民主主義でないことで、衆愚政治を防げるメリットこそあるものの、当事者意識が希薄化するため、民衆の大多数が政治的無関心に陥ると、監視による自浄作用が働かなくなり、権力による腐敗が加速する。
結果として、権力者が血税で今だけ、金だけ、自分だけのやりたい放題な状況を手助けすることになるため、どこが政権政党を取っても変わらない。どうせ選挙じゃ何も変わらないと、どうしようもない淀んだ空気感が醸成されているのが、この国の実情ではないだろうか。大多数のパンピーは選挙如きに期待してなんかいない。
しかし、だからと言って物理的な一発と言う名の暴力革命、テロリズムによる恐怖で世の中を変えていくのは、テロである以上、最終的には支持されない。極刑が科されるリスクと表裏一体である以上、この案は却下だ。
では、いかに合法的に権力者に対して圧力をかけていくべきなのか。そこで私が考えるのは、”一票よりタダ乗り”である。
フリーライダーまみれの共同体は破綻する
”タダ乗り”とは、経済学でフリーライダーとも呼ばれている。学術的には公共財などで経済的便益を受けるが、それに見合う対価を支払わない者として用いられる。
平たく記せば、アリの中で必ず2割は居る”働かないアリ”のように、時間や労力などのコストを支払わず、利益や恩恵だけを得ようとする者のことだ。
社会に出ると、所得税、住民税、健康保険税、年金保険料と支払いを拒否することができない、事実上の税金が手をかえ品をかえ徴収されるようになる。
国や地方自治体に税を納めることで、日頃恩恵を受けているであろう、街のインフラや公共事業が維持されている。健康保険税を支払うことで、現役世代は保険適用の医療は窓口負担が3割となる。年金保険料を支払うことで、老後の備えを全額自前で用意する必要がなくなる(筈…)。
しかし、これらの利益や恩恵は、低所得世帯や生活保護となることにより、殆どコストを支払わず享受することができる意味で、”タダ乗り”している者が相当数居る。
著書「働かないアリに意義がある」の中に、”フリーライダーにまみれた共同体は破綻する”とあるが、今の日本社会は一億総貧困化により、公的サービスや社会保障制度にタダ乗りする者の割合が多く、その皺寄せが現役世代に重くのしかかっている意味で、破綻寸前とも捉えられる。
一発は最悪極刑、タダ乗りは合法
昨今、国民民主党の躍進で”103万円の壁”が注目されている。憲法の健康で文化的な最低限度の生活を営む”生存権”に則り、給与所得者が生きる上で最低限必要な103万円には所得税をかけない仕組みだ。
上記は所得税に関してだが、課税の仕組みを理解すると、生存権の基準値を満たさない低所得世帯であれば、国民年金保険料は全額免除。住民税非課税世帯。国民健康保険税7割減免となるため、この国は経済弱者に優しい仕組みとなっている。
裏を返せば、年収200〜300万円前後で、生かさず殺さずな状態で消耗している方は、いっそのこと年収100万円程度に落とすことにより、合法的に公的サービスや社会保障制度にタダ乗りすることが可能だ。生活保護が受けられるなら、それでも良い。
結果として、単身者であれば月8万円生活orナマポを強いられるものの、そもそも物質的豊かさを求めていない、失われた30年に育った世代なら、やってできなくなはい現実的な水準だろう。
現に私は年収400万円台の鉄道員として消耗した結果、20代半ばで内臓を悪くして入院、手術、ドロップアウトと、トントン拍子で名実ともに弱者男性となった結果、合法的なタダ乗りライフを謳歌する運びとなった。
生まれてから社会に出るまでの間、18年もの歳月と多額のコストを掛けて、家庭や教育機関で育てた人間を、ものの数年で使い潰したこの社会がどう考えてもおかしいのだから、それにより時間、労力、金銭的コストを支払わず、利益や恩恵だけを得るフリーライダーとなっても因果応報とやらだろう。
ちょうど良い塩梅で、生かさず殺さず定年まで働かせれば、相当な税収や社会保険料を納付して、これまで公教育等で掛けて来たコストがペイ出来ていた筈だが、これまでブラック労働で散々安くこき使ってきた結果、急激に摩耗して死にかけた意味で、健康に働き続けられない社会が悪い。
20代にして生存本能的に”働きたくないでござる”を植え付けられ、内臓が足りないハンディキャップを抱えた人間が、そう簡単に社会復帰すると思ったら大間違いであり、それを権力者に知らしめるためには、コロニーが破綻するその時まで、タダ乗りし続けるのが最も効果的な復讐だと考える。
私のように潰れるまで我慢せずとも、社会全体で労働がクソだと思う人がタダ乗り側にまわるムーブメントが加速すれば、国家は歳入減に苦しめられ、一票を投じるよりも効果的に、政治改革せざるを得ない状況に追い込める。
その可能性を考えると、近未来は「一票より一発」ではなく、「一票よりタダ乗り」となることを期待したい。一発は最悪極刑だが、タダ乗りは合法である以上、どちらがスマートかは記すまでもない。
いいなと思ったら応援しよう!
