投資で伸び悩みを感じたら。
同じ過ちは繰り返さない。
個別株投資を行っていると、上がると思って買っているにも関わらず、思い描いたシナリオと異なる値動きをする銘柄に当たることが稀にある。体感としては買いを入れた銘柄数のうち、1割程度は2割以上の損失を出して、不本意ながら逆指値が機能して損切りすると言った具合である。
昔なら生涯保有が前提で買いを入れているため、何が何でも絶対に売らないと決め込んでいた。しかし、疫病で前提条件が変わったことを境に、買った時よりも20%下落している時点で、それを取り戻すには25%上昇しなければならないことを痛感した。
30%下落なら43%の上昇、40%下落なら66%の上昇、50%下落なら100%の上昇。考えれば考えるほど、何ら材料がない時に20%下落した時点で、挽回するのは現実的ではないことを学び、暴落時でもない時に20%マイナスになりそうな銘柄は、傷口を広げない為に逆指値を保険として利用するようになってから、時々機械的な損切りが発生している。
とはいえ、逆指値発動しちゃった!てへぺろ☆(・ω<)で終わることはなく、買い注文を入れた経過を思い出しては、なぜ結果として誤った判断に至ったのか、同じ過ちを繰り返さない為の教訓は何かと、内省をしては次の取引で注意しなければならない要素が増える。
と言うよりも、似たような状況が出現したときに、かつて損切りした銘柄の損失額がフラッシュバックすることで、二の舞にならないかと疑心暗鬼になり始め、結局のところ静観に留まる。と表現した方が適切かもしれない。いわゆるタジタジ病である。
プラスになった銘柄を取りにいけなかった機会損失と、触れなかったことで損失回避が出来る側面の両方があるため、一長一短ではあるものの、損切りライン自体は明確に定めているため、過去に損切りしたケースに類似する事象ではなければ、1単元は軽い気持ちで買い注文を入れられる性分であるため、失敗したケースと類似している時くらい、慎重になるのがちょうど良いのかもしれない。
損をしなければ、ゼロかプラスにしかならない。勝つことよりも、負けないことを重要視するのが、私の投資哲学である。
口座の含み損益で性格が出る。
投資をする上で負けないことが重要なのは、頭でも体感値としても分かってはいるものの、投資の世界に絶対はなく、下落する時は下落する。だからこそ傷口が大きくなる前にポジションを手放す損切りは時として有効な手段となる。
とはいえ、ただ単に損切りするのはあまり良い気分ではないため、私はこれ以上株価が上昇する余地がないような、今が天井だと感じている利確したい銘柄と合わせて売る様に心掛けている。そうすることで、損益通算で若干のプラスで推移出来れば、ポートフォリオをリバランスしつつ、暦年で税金を調節することができるからだ。
今年も10万円単位で利確を行っているが、同じくらいの額の損切りをぶつけているため、課税所得は1万円に満たず、源泉徴収される所得税と住民税は毎年数千円の状態が続いている。
とはいえ、売買スキルは向上しているのか、単に地合いが良いだけなのか、真相は定かではないが、含み損を抱えている銘柄や、逆指値による損切りが発動する機会が少なくなっている傾向にあることは事実で、既に利益を相殺させる玉が殆どなくなっている。
節税の観点では悩ましいが、税金が発生しないと言うことは、利益が出ていない。すなわち儲かっていない訳だから、マイナスの玉がなくなれば、暦年のリターンは自ずとプラスに転じるしかない。
現にポートフォリオは、昨今の世界情勢下で決して好況とは言い難い日本株ですら、含み益ばかりで利確するとそれなりの税金が徴収される状況にある。損切りの玉がない以上、税金を取られたくなければ、売却せず保有し続ける他ない。
簿記、会計の知識はあるに越したことはない。
ここに暦年の利益だけでは、投資家としての実力を測れない真理がある。私のように暦年で1万円程度の利益しか出していない人でも、ポートフォリオの含み益の割合が高い人も居れば、反対に投資界隈のインフルエンサーで、今年はいくらの利益と証券口座の譲渡益税徴収画面をスクショしたところで、実はポートフォリオが含み損まみれな可能性がある。
簿記で言うところのP/Lだけ見ても、その会社の実力は分からないのと同じで、本来ならB/SとP/Lセットで判断しなければ、個人の金融リテラシーや投資家としての実力を判断することは難しいのではないだろうか。
それにも関わらず、婚活市場で年収は重要な指標のひとつとなっている。年間の収益だけ提示したところで、費用が分からなければ当期純利益も分からず、個人の純資産額など知る由もない。保有している現金があっても、奨学金、借金、住宅ローン、連帯保証人など、純資産がマイナスになる要素を挙げ出したらキリがないが、年収で判断すること自体が不毛でナンセンスだと感じてしまう。
職業ひとつとっても、失業して誰かにぶら下がっているような無職と、まとまった資産所得があって、生活のために無理に働く必要のない無職とでは意味合いが全く異なるが、賃金労働者の常識に囚われると前者だと思い込みがちである。
会計学は我々が生きる資本主義社会の根幹となる技術なのだから、知っておいて損はない。日商簿記3級は資格として役立つかは微妙だが、時間とお金、労力を掛けても、人生100年時代を生き抜くのに見合うだけの知識が得られる、コスパの良い自己投資であることには間違いない。投資初心者で限界を感じている人は、無駄玉で損失を被る前に、簿記を学んでみると個人投資家として成長できるかも知れない。