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移住と就業がセットな風潮。

働く気がないとアウェイな移住フェア。

 先日、有楽町駅前の東京交通会館で開催された暮らしゴト2022に立ち寄った。こちらは認定NPO法人 ふるさと回帰支援センターが主催するイベントであるが、同会館の8Fにはふるさと回帰支援センターが常設されている。

 そのため、事前予約を行うことで、全国の地方移住に関する相談を、都道府県別ではあるものの、無料で行えるようになっている。

 しかし、これらはあくまでも就労支援もしくは起業とセットで移住することが前提とされており、リタイア希望者が家賃という名の固定費を下げる目的で、なにか良い空き家バンクの情報でも無いか程度にふらっと参加するとアウェイ感が半端なかった。

 移住支援金も基本的には就業か起業前提で支給されるもので、移住先で働く気のない人間が、東京から出るだけで支援されることはない。

 それもそのはずで、行政機関としては、地方創生のためにちゃんと働いて納税してくれる若年層の移住者を歓迎しているのであって、表向きは低所得者を装い、行政支援の恩恵に預かる一方で、本人は金融資産所得によって無理に働く必要もなく、税金もロクに納めない畜生を招き入れたいわけではない。それは分かっている。

地方移住はあくまでも手段。

 それでも世代会計の試算から、生まれた時点で行政機関から4,000万円以上搾取されると想定されている世代からすれば、街中に溢れかえっている大多数の高齢者を生かすためだけに、何の罪もない若者が重い社会保険料を負担させられている構図が面白くない。

 税金や社会保険を取りっぱぐれない会社員や公務員として、身を粉にして支えたところで、自分たちが支えられる側になる頃には、同価値の年金を受け取れる訳でもなければ、医療費が1割負担で済むはずがないのは、相互扶助の仕組みと日本の人口ピラミッドを見れば明白である。面白いはずがない。

 良い大学を出て、良い企業に就職すれば、何ひとつ不自由の無いバラ色の人生が送れるなんて幻想を、信じて疑わなかった真っ当な大人たちが周囲に言われたとおりに働いた結果、30年以上も経済が停滞している日本社会となり、若者には過酷すぎるシルバーデモクラシーが構築されているのである。

 周囲の大人が言うことをまともに聞いていたら、みんなで没落していくだけなのだから、いっそのこと一種の開き直りにも近い、働かず、大して納税もせず、しかし行政支援も受けない、経済的に独立して生きるFIRE思想が持て囃されるのも頷ける。

 特にLeanFIREは私の理想で、社会的には低所得者として合法的に税金や社会保険料を納付しないで済む立場を装いながら、一般人でも形成可能な国民年金〜月10万円程度の金融資産所得から成り立つ悠々自適な暮らしは、目指すだけの価値はあると考えている。

 生活レベルを考えれば、2,000万円〜3,000万円の金融資産を有している割に、年金暮らしと大差なく、自分ひとりが生きるので手一杯で、決して裕福とは言えないだろう。持続させるためには質素倹約な生活を強いられるし、考え方によっては生活保護のほうが経済的に恵まれているかも知れない。

 それでも誰からの支援も受けずに独立して生きるのは、生活保護には無い自由がある。思い立ったら旅行などは経済的に独立していなければ不可能だ。それに、働かず大して税金も納めない畜生を対策しようにも、低所得者とお金持ちを盾にしているため、痛みを伴う改革を避けたがる行政機関は身動きが取れない、卑しい立場に居るとも言える。

 前提として、比較的少ない金融資産所得で経済的に独立するためには、生活コストを極限まで引き締める必要がある。そこで相性が良いのが、地方で供給過多となっている住宅や空き家に移住することで、家賃を圧倒的に抑える手法である。

 とは言え、空き家バンクや地方移住などは生活コストを下げるための手段でしかなく、例えば東京の奥多摩で家賃1万円以下の賃貸があるなら、別に地方に拘る必要はないと考えている。

 むしろ、下手な僻地よりもインフラが整っている分、トータルコストは抑えられるだろう。あくまでも自身のライフスタイルで、最も生活コストが低廉となる地域が重要なのであって、それが定番の移住先とは限らない。

 DIYが得意なら補修費用が入居者負担の空き家が最安かも知れないし、サバイバルオタクなら、インフラが整っていない僻地が最安かも知れない。価値観や持ち合わせているスキルは人それぞれなのだから、最適解もそれぞれ異なるのは当然である。

家賃が殆どかからない物件をどう探すか。

 ただ、空き家バンクや就業支援の情報は、基本的に都道府県別で管理されている。移住支援や移住フェアに関しても同様で、まずは移住したい地域を絞らなければ、適切な案内は受けられない。

 そのため、住みたい地域が絞れている方には有効かも知れないが、私のように憧れの地はあっても、バイアスが掛かっている可能性があるため、選択肢や視野を広げたいために、全国の中から条件に見合う地域や物件を探したいフワフワした要望の場合には、宙に浮いてしまう程度に不便である。

 それでも丁寧にまとめてくれているサイトは、根気よく探すと見つかる。運営者には頭が上がらない。今は全国にある賃料無料の空き家がないかを時折物色する程度であるものの、買い手も借り手も付かない相応な理由のある物件のワケが許容できる条件だったときは、お世話になるかも知れない。


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