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とある複利の一方通行


債務.zip-圧縮、圧縮、債務を圧縮!

 大河出演の元俳優が逮捕とのニュースが少し前に話題となったが、衝撃を受けたのは遺体処理で受け取った報酬がたったの250万円であり、実行役のひとりが子役とはいえ大河出演の元俳優という、弱者男性とは程遠いご立派な出自だった点だ。

 若者に冷酷なシルバー民主主義社会によって、現役世代の負担は重く、可処分所得は低下。よって、お金の若者離れを引き起こし、真っ当に働いても重責と低賃金でほぼほぼ報われない構造となっていることで、いわゆる闇バイトに手を染めて人生を棒に振ってしまう若者が、最近の報道を見ていると目立つ印象がある。

 そんなことを思いながら、友人と飲んだ際に「日本も金利のある世界に変わりつつあるから、今年の夏ボは債務の圧縮に消えるかな〜」と、無借金経営の私には縁のない話をしていた。

 年間非課税枠にして、旧つみたてNISA以上、ジュニアNISA未満の負債を多額と捉えるか、少額と捉えるかは読者の置かれている環境によるとしか記せないものの、中央値的な賃金の20代サラリーマンのボーナスが、手取りにして30万円前後だと考えれば、負債の償還に3〜5ヶ月分の賃金が消えていくのはなんだか虚しい気はする。

 ただ、友人の場合は社会的信用諸々を駆使して、限りなくゼロに近い金利で、手持ちのキャッシュを厚くして運用に回す的な、レバレッジを掛ける意味合いが強い借金であることが不幸中の幸いで、最悪、保有資産を現金化すれば返済に窮することはない。

 とはいえ、日商簿記、FP共に2級持ちであり、無類の金好きでもある私は、相手の保有銘柄やリスク資産の割合から、概算で貸借対照表(以下、B/S)を類推できるため、「恐ろしくレバレッジが効いてないB/S、オレでなきゃ見逃しちゃうね」と、ぐうの音もでない痛いところを突いては、飲みの場の勢いで、「レバレッジ効かせていないなら、最初から借りなければ手続きも支払利息も払う必要ないのに…」と、無借金教に誘導している。

 景気が良い時ほど、レバレッジを効かせるための借金は善で、資金効率の悪い無借金経営は悪だ的な風潮になるが、レバレッジを効かせた不動産を担保にして、更に不動産を買っていた人たちが、1989年を境にどんな末路を迎えたのか、歴史を振り返れば、明白である。

 確かに無借金経営は資金効率の観点で最適解とは言い難い。しかし、金利という名の歯車が逆回転した時に、その影響を受けない意味で、地に足をついているのだから、投資には付き物であるリスクを排除する観点では有用だと考えるが、いかがだろうか。

借金暮らしのケーワイティ(KYT)

 そんな、B/Sが資産≒純資産と支払期日が到来していないクレカを除いて無借金で、保有資産の9割超が株式でアクセル全開の私と、資産=負債+純資産でアクセルとブレーキを同時に踏んでいる友人だが、異常なのは紛れもなく私であり、中央値的な20代像で考えれば、友人も上位何割かには位置する程度の優良家計である。

 現に共通の同級生で借金地獄に陥っている奴は、負債額としては友人と同程度であっても、B/Sの純資産ベースで考えるとおそらくは債務超過で、利率もサラ金の上限値に近いだろうから、利子ばかり返していて元金が減らず、たかだか数十万円で人生を狂わされている、典型的な下位半数の20代像であり、闇バイト予備軍とも言えるのかもしれない。

 いかんせん保有資産額にベルカーブがあるとすれば、私は外れ値に居るのは確かで、同級生が人生を狂わされているような数十万円など、一週間も運用していれば、その額が増減してしまう意味で、誤差の範疇であり、比較するだけ野暮ではあるが、お金の心配をする必要がない状態は、見栄や世間体を保持することよりも重要だとつくづく思う。

 それこそ、成人年齢引き下げにより、私のように高卒で社会に出ると、親権者の同意なく安易にリボルビングやキャッシングができる環境に、予備知識もなしに身を置いてしまう。

 だからこそ、借金地獄の危険予知トレーニングを積み、相応の金融リテラシーを得るまでは、無借金経営を心掛けた方が、目先の快楽に溺れて、未来の自分の首を苦しめるような事態には発展しない意味で、地に足をついた黒字家計体質を、新社会人の段階で形成することが、借金地獄の入口に立たないためにも重要と考える。

収入の範囲で生活するのが無理ゲーな社会?

 複利は味方に付けるとこれほど心強いものは他にないが、敵に回すとこれほど恐ろしいものも他にないのは、アインシュタイン博士が「人類最大級の発明」と評したことからも窺える。

 煎じ詰めると、経済的に独り立ちする初期段階で、家計の黒字体質が形成できれば、あとは余剰資金をいかに上手に運用するかというプラス複利側の話となり、赤字体質だと、どこかで借金地獄で首が回らなくなって詰むマイナス複利側の話となる形で、複利は基本的に一方通行と言える。

 自己破産した人が再度、債務超過する光景をしばしば目にするのは、根本的に家計の赤字体質が改善していないから、時間の問題でマイナス複利の罠に陥る構図も変わっていないものと考えるのが自然だろう。

 それらを踏まえると、収入の範囲内で生活するという、至極当たり前な原則すら守れない程度に低賃金であり、物価高であり、それらに対処するための金融教育も、2022年になるまで施されていなかった。

 その意味で、20代を中心とする日本の若者は、無理ゲー社会を生きていると言っても過言ではなく、貧困から連鎖する闇バイトを、対岸の火事だと思っていると、どこかで手痛いしっぺ返しを食らいかねない。

 だからこそ私も、同世代で運良くお金に困らない側に位置できた身として、実体験を元に、薄給激務で使い潰されると人生詰みかねないから、馬車馬より働くべからずとか、少ない金銭消費で暮らせる耐乏生活に慣れる術や、資産運用で培った知見を無料で公開して、微力かもしれないが経済的に詰む前に、私のコンテンツを読んだ人に、役立つ何かを提供できたならば、作者冥利に尽きると思いながら今日も著述する。


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