若者を突き放すシルバー民主主義社会'e
若者免税が実現する頃は若者でない淋しみ
売れない実力派地下アイドルのパワーワードでお馴染みの国民民主党。その党首の玉木さんが提案している「若者免税」がタイムライン上に流れてきた。
リンク先の記事にもあるように、政府が余計なお世話感満載の、やってますポーズを取るだけの、実効性が皆無な少子化対策をやるより、そもそも今取っている余計なオプションを取り払って、可処分所得を増やすのが恐らく政策として正しいのは、この失われた30年で真逆のことを行なっていることからも想像に難くない。
現に昨年から急激に高騰した電気料金に関しては、節電ポイントとか言う中抜きする気満々の、ワケガワカラナイ政策方針になりそうだったところを、玉木さんが電気料金を直接値引きするのが最もシンプルで確実だと主張したことにより現行方式に落ち着いた。
そんな電気・ガス価格激変緩和対策事業でやったようなことを、少子化対策の観点で税金にも拡大しようとしているのが、「若者免税」だろう。
とはいえ国の政策決定は、政府がやる気のないものに関しては、恐ろしく時間を要することから、20代後半もといアラサーに突入している私は、仮に若者免税が実現したとしても、その頃には対象外となっているのだろう。
夏目漱石が道草食ってる風に表現すると、一種の淋し味さえ感じる。
ローボールテクニックで、まず枠組みを
しかし、個人的には自分たちの世代が冷や飯だとしても、後の世代が同じ苦しみを味わうことがなくなると思えば、実現すべき政策だと思うが、恐らく日本人の多くは、自分たちの時にそんな優遇政策なんてなかったのだから、今更やっても…と思いが恐らく強く、何かにつけて足を引っ張りがちである。
私は運動神経が良い訳でもなければ、運動部的なノリも好きではなかったため、万年文化部所属で多数派に染まっていない影響が大きいが、自分たちが苦労したのだから、下の世代も苦労すべき的な、運動部にありがちな日本人の苦労信仰は狂気すら感じる。
それらがこの国に対する漠然とした、どうしようもない閉塞感の根源となっているのだから、損得勘定抜きで自分たちの世代で断ち切る覚悟を持つ人が増えて欲しいと、何ら権限を持ち合わせていない一介のパンピーとして思うし、それによって自分は冷や飯食いでも構わないという割り切れる節はある。
過去に類を見ない試みだからこそ、抵抗勢力が機能しない程度に小さく始めてみて、一定程度の効果が現れた際に対象者を拡大するのは、新設時ほどハードルが高くない。
だから、効果が認められたら少子化対策の観点で35歳まで拡大するような、軌道修正は割と簡単にできる筈だから、ローボールテクニック的に、まずはその枠組みを創るのが急務だろう。
税に対して、時代を先取りしすぎた感
国が「若者免税」を採択するかは定かではないし、人間は誰しも等しく歳を重ねるから、やるなら早くして欲しい気持ちもなくはないが、手っ取り早い手法として、退職して課税所得がゼロになると、1年後にセルフ免税される、いかにも民主主義的な弱者救済制度を利用する方が即効性はあるだろう。
私はそれを画策して早期退職に踏み切った。現状、所得税はそもそも所得がないからゼロ。厳密には株で取られてはいるものの、日本株の配当に関しては確定申告で全額取り戻せるため、実質キャピタルゲインの15%のみだが、損益通算である程度の調整は可能である。
そして国民年金は失業に伴う特例を申請することで、退職から2年後の6月までは全額免除。そもそも翌年以降の課税所得がゼロなら、所得基準で失業の特例がなくとも全額免除となる。
問題なのは、昨年度の所得ベースで住民税、健康保険税を納付する羽目になっていることだが、来年になれば今年度の課税所得(ゼロ)ベースで計算されるから、住民税非課税世帯に。
健康保険税だけは7割軽減が関の山だが、介護保険料の掛からない40歳までは、自治体にもよるが7割軽減で年額にして2〜3万円が相場で、YouTube Premium+Netflix代を我慢すれば捻出できる額面で、高額療養費制度が医療保険を兼ねていると考えれば、コスパ的には許容範囲だろう。
これなら別に若者でなくても免税状態を実現することが可能だが、これに最も近い形態が年金受給者であり、やはりこの国はシルバーデモクラシーだとつくづく思う。
これからの社会を担う若者が、揃いも揃って寝そべり族になってからでは、少子化以前に国力の観点でも再建は困難になるから、期間限定の免税で就労に対するインセンティブを与える点で、玉木さんの提案は実に理に適っている。
無税なら30歳までの辛抱と捉えて、罰である労働をしてやる気持ちが、多少なりとも湧く現金な奴は私だけではないだろう。
とはいえ「若者免税」なんて言葉が出る以前に、それに近いことを実現するために現行制度の仕組みを自発的に学び、それらを最大限活用して合法的にハックした最適解が寝そべり族なのは何とも皮肉であり、時代を先取りしすぎた感すらある。
高校生の金融教育が以前に話題となったが、家庭科の数コマと本腰を入れている感はなく、「貯蓄から投資へ」と謳う割には、どこか消極的とすら感じるのは、FPレベルで体系的に世の中の仕組みを理解されて、実はシルバーデモクラシー故に、働かない方がコスパが良い制度設計となっている、不都合な事実に気づいて欲しくないのかも知れない。
やはり自分の頭で考えて行動に移すことが重要なのは、いつの時代も変わらない不変の真理である。社会が若者を突き放して転がすのなら、若者もまた、知恵を絞り、自分のやり方で日本社会を突き放す日が来るだろう。
[増補]若者をつぶすな
まず初めに、この章の最後辺りに比喩表現として、品性のかけらもない単語が出てくるため、食事中にこんな記事を読む方は居ないと思われるが、もし何かを食べながら読む方が居るなら、この記事をそっと閉じることを著述者として推奨する。
頑張って就職して、真面目に働けば、ちゃんと給料が上がる。望めば結婚もできる。子どもを持つこともできる。そんなささやかな夢がかなう世の中を取り戻すことを目指して、地に足をついた真っ当な政策を掲げた活動をしているが、弱小野党であるが故に”売れない実力派地下アイドル”と揶揄されてしまう国民民主党代表の玉木雄一郎氏が、党首討論会のパネルで「若者をつぶすな」と珍しくキャッチーな言葉を使ったことで、賛否が分かれている。
私は頑張って就職して、真面目に働いた結果、手取り13万円で「お前が終わってんだよwww」と馬鹿にされ、20代半ばで大病を患いドロップアウトに至った意味で、”つぶれた”側の若者であるからこそ、玉木代表の訴えは切実である。
つぶれた人間は元には戻らないが、後進のためにも普通の人が真面目に働くだけで病んだり、潰れたりするこの社会の異常さに声を上げ続け、例え政策が地味でも、現役世代にフォーカスした政党を支援したいものである。
安くて便利な日本社会やそれを支えるインフラは、現役世代の薄給激務と重税という犠牲によって成立している。昨今、公共交通機関の減便や休止が相次いでいるのは、私のように潰れる人間が出たり、少子化で労働人口のパイが減少したことによって起きているもので、現役世代にフォーカスせず、シルバーデモクラシーを継続したツケが、最近になって表面化しているに過ぎない。
高齢者を中心とした社会的弱者を支えるために、若者を食い潰す今の社会構造はどう考えても持続可能ではなく、仮に若者が全員潰れたら、この社会はどうやって社会的弱者を支えるのだろうか。
現状維持を望んだツケを支払うのは、他の誰でもなく社会的弱者であり、長期目線で物事を考えれば、現役世代を大切にすることが、この社会を持続させる上で必要な要素なのは明白である以上、「若者をつぶすな」は政策として正しいと思うが、いかがだろうか。
世代間の分断を煽る的な反論もあるだろうが、現実的な代案があるなら教えていただきたい。
とはいえ、悪しき小選挙区制の弊害で、地方民ほど1枚目の投票用紙には、資金力のある主力政党以外の立候補者が選べない欠陥がある。
私の小選挙区も例に漏れず、ウ○コ味のカレーか、カレー味のウ○コか、ウ○コの3択しかない定食屋に入店した気分で、玉木定食はおろか、維新定食すらないのは辛いものがあり、小選挙区制で民意が反映されているとは到底思えず、旧態依然とした選挙制度そのものを変えるためにも、スクラップアンドビルドが必要だと思う今日この頃である。
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