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IT重説で現地に出向くことなく地方移住。

コロナ禍以降、取扱いが増加したIT重説。

 私は4月から地方に移住しましたが、移住先の賃貸物件を契約するまで、一度も現地に出向くことなく契約に至りました。

 都内在住中に仲介業者とビデオ会議システムを利用したIT重説諸々と、メール、郵送のやり取りだけで転居前に鍵を受け取り、移住した経験を記していきます。

X月中旬 問い合わせ→審査→入居申込

 まずは不動産情報サイトから、IT重説対応物件の取扱いがある仲介業者に空室状況の問い合わせをする体でコンタクトを試みました。

 コロナ禍でリモートが加速したとは言え、地方ローカルの仲介業者ではIT重説に対応していない業者が多数派なため、2023年時点では、基本的に大手の仲介業者に依頼する形になるかと思います。

 実際に問い合わせたところ、その週のうちにリモートでの物件探しを行いました。結果として当初問い合わせした物件に決まりましたが、IT重説は仲介業者の設備側で対応の可否が決まるため、たとえ不動産情報サイトで「IT重説対応可」の記載がない物件でも、レインズに掲載されている物件であれば取り次げる可能性があるように感じました。

 と言うのも、そのエリア、賃料でIT重説に対応している物件はひとつしか掲載されていなかったにも関わらず、相談すると似たような条件の物件を何件か紹介されたためです。

 ちなみに、スケジュールの都合でオンラインで内見などはすることなく契約に至ったので、重説で物件の概況を説明されたものの、実態としては鍵を開けてみてのお楽しみ状態でした。

 その場で入居申込の意思表示と入居審査を申し込み、審査が翌日に通ったため、通過後には初期費用の支払い方法や鍵交換の希望などをメールにて確認され、移住に向けて動き出した形となります。

 日本に限った話ではありませんが、先進国あるあるで、住む場所がないと定職に就けない。定職に就いてないと住む場所が借りられない。住所不定無職から抜け出せない問題があるため、審査は確実性を重視して早期退職前に済ませました。

 一応、仲介業者には早期退職後に地方移住をする。定職には就かないものの、給与所得以外で生計が立てられる状況をありのまま伝えました。ドライな言い方をすれば、仲介業者など仲介して報酬を貰えさえすれば良く、前にも後にも、それっきりの関係です。

 良くも悪くも、仲介で貰えるであろう報酬が全てのため、我々賃借人側が有利となるように取り計らって貰えるかと思います。私の場合、オーナーに意向を確認して貰い、審査が通ればそれで良いとの返答だったため、自己判断でセカンドハウスの体で審査を通しました。

 在職期間中は二重契約状態となるため、嘘はついておらず、早期退職する旨は聞かれたら答えるつもりだったが、聞かれなかったから答えなかっただけと、悪徳業者さながらのロジックで強かに審査を通しました。

X月下旬 契約書類到着。

 郵送で契約書類一式が送付されました。この時になって初めて、契約条件や特約の内容が明らかになり、請求金額の減額交渉をする準備に入ります。

 私のように時間のある人は受け取ってから作戦を練っても、IT重説から契約に至る時までに間に合いますが、時間に追われている人は、特約部分だけでも事前にメールで添付して貰うなど工夫すると良いかも知れません。

Y月上旬 初期費用の削減依頼。

 重説の日程調整を行う傍らで、契約書類を読み込んだ上で、増し増しになっている初期費用に対して、レスオプションの依頼をメールにてやり取りしたところ、おおよそ2割、額面は万単位で減額となりました。

 特約(契約条件)に記載がなければ、初期費用として必要となるのは、だいたい下記の2〜5つと、非常にシンプルです。

・当月日割り分+翌月分の、前家賃および管理(共益)費
+物件に応じて水道料や駐車場、ネット回線代などの固定費が加算。
・仲介手数料(宅建業法46条に則ると原則0.5ヶ月分+税)
・家賃保証会社への支払い(連帯保証人を立てれば不要)
・敷金(都市部に多い。関西、九州は似て非なる敷引き多し。)
・礼金(都市部に多い。敷金同様、地方部は設定されていない)

 裏を返せば、契約条件に盛り込まれてさえいなければ、上記以外はオプションで全て取り外せます。鍵交換、消毒・清掃・抗菌、24時間サポート、防災用品が必要なら自前で業者に相見積もりを出したり、暮らしのマーケットでも利用した方が安く、わざわざ割高な仲介業者が斡旋するものを頼む必要がありません。

 単身者向けの火災保険は、不動産屋が斡旋するものだと、年額1万円前後がザラですが、お部屋を借りるときの保険などは年額4,000円と、6割近く削減可能です。

 仲介手数料の相場は1ヶ月となっていますが、営業マンの成績に直結する部分でもあるため、最も削りづらい割に、減額の余地も家賃が十万円単位の物件でない限り程度が知れてます。

 そのため、仲介手数料絡みで営業マンとしのぎを削るくらいなら、原則0.5ヶ月分なのは知っているけど、チップと割り切り大家分の負担を認める代わり、負担に見合った仕事をして貰った方が何かとスマートです。

 さも当たり前かのように、仲介手数料を1ヶ月分ふっかけて来る業者に近寄らないのが一番ですが、不動産は生ものであるため、そうもいかないことが往々にしてあります。

 仲介手数料をダシに不要なオプションを外したり、火災保険を自前で契約する形に変更して、初期費用云々ではなく、契約期間トータルで安くする前提で、ランニングコストを削るのが賢しい選択です。

 私の場合は地方移住だったため、敷金、礼金はなく、減額依頼の末、必要経費で掲げた5点のうち、上から3つが初期費用として請求されました。連帯保証人を立てなかったのは、家賃保証会社が初期一括払いタイプで、更新費用が掛からなかったためです。

 大家側の立場になって考えると、何処の馬の骨かも分からない都会人が立てた連帯保証人では、債権を取りっぱぐれるリスクが過大評価される可能性が高く、家賃保証会社のランニングコストが掛からないのであれば、大人しく利用した方が審査は確実と判断しました。

 痛い出費ではありましたが、買い切り形ですので致し方ありません。元を取る勢いで長く住めば良いだけの話です。

Y月中旬 IT重説→書類郵送→初期費用決済

 日程調整の末、宅地建物取引士からビデオ会議システムで重説を受け、記名押印した書類を返送し、初期費用の支払いを済ませました。家賃保証会社の電子署名が仲介業者のシステムとは別で必要でしたが、Web上で完結するため手間はかかりません。

Y月下旬 鍵が届く→荷造り→転居

 当初、部屋の鍵は現地で渡す方針でしたが、契約(家賃発生)日から居住開始日まで1週間強の時間的猶予があることから、本人と郵便物の入れ違いは発生しないものと判断して郵送して貰いました。

 肝心の荷造りですが、私は引越業者を利用しないため参考にならないかと思います。

 質素倹約な暮らしを徹底していることもあり、最低限の家電・家具は全て売却ないし処分すると、新天地に送りたいものは近距離なら台車で自力、遠距離なら宅急便で済むからです。

 人手不足から運賃が上がってはいますが、繁忙期も関係ありませんし、伝票がひとまとめにできる5口以内であれば、単身パックの5万円前後とは比べ物にならない安さになります。

 集荷してから2〜3日仮暮らしをして、あとは自前のバックパックに旅行時の持ち物を一通り詰め込んで、ミニベロを輪行袋と共に持って現地に向かえば移住完了です。


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