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所有するとコスト意識が鈍る。


若年層地方暮らし。でも、車は要らない。

 お盆クオリティっすなぁ。押しボタン式信号機で、歩行者信号が青になって渡ろうとしたが、横断歩道上に車が止まった。渋滞しているわけではなく、停まっている車は歩道上の一台のみである。

 地方はただでさえ信号機のない横断歩道は、歩行者妨害のデパートだから、歩行者側にどうせ停まらない的な諦めがあり、端から停まってくれることなど期待していない。

 そのため、押しボタン式信号機のある歩道で渡るのが鉄則だが、それでも車がギリギリアウトで突っ込んできたり、私(歩行者)が渡り終わったと同時に、赤信号で加速し始める体たらくで世紀末感すらある。

 せっかくETCがあるのだから、いっそのこと義務化してしまい、車載器と信号機を通信させて、信号無視くらいは自動判定して、ETCカードから反則金を請求。カード会社は本人確認書類で運転免許証を控えておけば、請求する段階で免許点数の減算処理くらい、技術的にはできそうなものである。

 そんなことを明らかなサンデードライバーを見ながら思った。かくいう私もペーパーゴールドだが、進路が決まっている電車で運転センスがない自覚のある人間が、1トン超の鉄の塊を操作したら十中八九凶器になる。

 そのため、飲んだら乗るなをモットーに、本人確認書類以外で使うことはない単なるアル中の域を出ず、物理的にハンドルを握らない以上、他人に害を与えることはまずないため、サンデードライバーよりはマシだろう。

 そんな自家用車だが個人的には、DQNカーやプリウスミサイルによる貰い事故のリスクと得られるリターン、コストパフォーマンスの観点から、たとえ地方暮らしでも、若年層ならわざわざコストをかけてまで所有するほどのものではないと考える。

広義のシェアリングは案外高くない。

 これでも一応、ベッドタウンという名の田舎育ちで、運転免許は高校時代に取らされたし、弱冠の頃に中古だが軽自動車をキャッシュで購入して、所有していた時期もあったため、食わず嫌いではない。

 とはいえ早生まれでアルバイトの絡みもあって、合宿免許と言う訳にもいかず卒業時は仮免止まり。新社会人と免許取得を並行する鬼畜な半年を過ごしたため、乗用車に良い思い出がなく、単に移動手段のひとつ以上でも以下でもない認識である。 

 だからこそ、車種によってコストが異なるとはいえ、車両の減価償却費、ガソリン代、保険料、税金など諸々を加味すると、月当たり3万円以上のコストが発生している計算になる。

 車を所有、維持するだけで、最低でも月3万円の費用が掛かると思うと、メーカーのサブスク絶妙な価格帯で設定されていると思う。使用頻度にもよるが、毎日使っても1日1,000円、週末だけとなると1回あたり3,750円の使用料を支払っているのと同じである。

 少なくとも週末利用くらいなら、レンタカーなどのシェアリングの方が安価だろうし、距離によってはタクシーと大差ない可能性すらある。そう考えると、わざわざ自分が運転して事故に至るリスクを取ってまで、目的地まで移動する価値があると思えない側の人間であることは確かである。

無意識的な浪費は人生の浪費。

 スティーブ・ジョブズ最後の言葉にもあるが、対価を支払うことで、車の運転を代わってくれる人は居ても、病気を代わってくれる人は誰も居ない。

 私は電車を運転する職に就き、ストレス過多から25歳で大病を患った経験があるからこそ、日頃は何でも自分でやることで、お金を使わない生活を心がけておきながら、運転を代行するコストはあっさり支払う節がある。

 これが資本主義社会の良い部分でもある。自分でできることにお金を使わないのも大切だが、そうして節約したお金を何に使うことで、人生をより良いものにできるかを考えることは、それ以上に大切で使い所は人それぞれである。

 自炊がどうしても苦手なら外食や宅配三昧でも良いし、炊事に留まらず洗濯が面倒ならクリーニング店に頼んでも良い。家事全般なら家政婦とか家事代行を頼んでも良い。育児が苦手ならベビーシッターを雇えば良い。病気を代わることや、他人の心を操る以外の大抵のことは、お金で解決することができる。

 しかも日本は30年間のデフレ経済で、人件費が相対的に安い国となったから、所有して自分で全部管理した時のコストと、共有して他人に代行して貰った時のコストの差が、今後のインフレでどうなるか分からないものの、今現時点ではそこまで大きな差ではない。

 典型はホテル暮らしで、備品や家具の減価償却費や、固定資産税、清掃やベッドメイキングのサービス料込みと考えると、ビジネスホテルで1泊5,000円と仮定しても、月に15万円である。しかもフロントには人が居るため、セキュリティもしっかりしている。

 そこそこ防音性能のある建物で、それなりに新しい家具や家電を揃え、ホームセキュリティ…と全部自前で揃えるコストを考えると、月換算で10万円は悠に超えるだろう。そう考えると、私なら家賃に月15万円以上支払う位なら、ホテル暮らしの方がむしろコスパが良いと思ってしまう。

 美術品や絵画も、購入して保管に気を遣うくらいなら、美術館の年間パスポートを購入した方が理に適っているし、パブリックアートなら鑑賞そのものはタダだ。

 いつでも手元にあって使える状態は確かに便利だが、その状態を維持するためのコストに関して、我々はいささか無頓着すぎるのかもしれない。賃金労働者は時間を切り売りしてお金を得ている以上、無意識的な浪費は人生の浪費以外の何者でもない。

 限られた時間と、得られるであろう生涯賃金を何に振り分けるか、これらをいつ考え始めても、早すぎることはないだろう。


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