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収集狂が断捨離魔に変化した理由。

もったいない病だった過去。

 子供の頃から工作が好きだったため、段ボールや牛乳パック、お菓子の箱などが手に入ると、何かに使えると思って溜め込む嫌いがあった。これは、今の低消費生活でも使えるものは極力捨てず、知恵を使って有効活用する形で受け継がれている。

 所謂もったいない病である。小中学生くらいまでは可愛いものだが、高校生のアルバイトで毎月数万円の収入を得るようになってから加速し、高卒で社会に出て、物欲をストレスの捌け口にするようになって2年後に、自室の収納のキャパシティを超えた。

クローゼットの中央部が片付いた時の画像。箱が天部まで…

 この時は貸しコンテナやレンタル倉庫、トランクルームの類を契約するか真剣に考えていて、大量生産大量消費社会の術中に嵌っていることを疑う余地もなかった。

 しかし、いまではヘッダー画像にもあるように、居住スペースの床には極力モノを置かないスタイルになっている。今ではモノが少なすぎて周囲からミニマリスト呼ばわりされたりもするが、闇雲に所有物が減らせれば良いとは思っていない。

 ただ、四角大輔さんや高城剛さんの様な、物理的に身軽でその気になればふらっと海外にも行ける自由度は、変化の激しい現代社会で理にかなった生き方で魅力を感じるため、最終的には全持ち物をバックパックとキャリーケースに集約できるよう、徐々にコンパクトにまとめている最中である。

別に収集癖がなくなった訳ではない。

 日本でミニマリストの先駆けとも言える佐々木典士さんは、自身の過去がマキシマリストだったと語っている。メディアに取り上げられるようなミニマリストほど、過去にモノを所有しすぎた反動から、ストイックに断捨離している印象が個人的にはある。

 私の画像を比較しても、そんな片鱗を感じるかも知れないが、自身は悪癖とも言える収集癖は一切直しておらず、これらと共存しながら少ないモノでの暮らしを実現している。

 その心は株式投資である。集めるものが物理的なモノから、上場株式に移行しただけなのである。上場株式は電子化されているからiPhoneが1つで済み、場所を取らないだけでなく、配当や優待、時に売買益を生み出してくれる立派な資産と言える。

 コレクションにありがちな、分かる人には希少な品でも買い手は付かないような、流動性リスクでお金が必要な時に換金できない事態も株式は滅多にない。これは、自分が最期を迎えた時に遺したモノがガラクタだと親族が遺品整理に頭を抱えるが、上場株式であれば誰にどの銘柄を相続するかと、遺された側も喜ぶことだろう。

 とはいえ、多くの株式を保有には莫大な資金を必要とする。とても高卒で社会に出た20代の薄給鉄道員が、コツコツと1単元ずつ買い集めるには高額で、欲しい銘柄を全て揃えようとすると気が遠くなる道のりで、今でも保有したい銘柄は尽きない。

 そこで考えたのは、遊休資産を処分したお金で生活費用を賄えれば、手取りのほぼ全額を株式投資の種銭に回せるのではないかと言う、大衆からは理解されないであろうぶっ飛んだ発想で、これにより収集癖を満たしながら、所有物を徐々にコンパクトにまとめる境地に至ったのである。

断捨離の無限ループ。

 本気で整理整頓に取り掛かった最初の頃はパレートの法則に倣い、とにかく全体の8割を整理することを目標に、箱詰めして送るだけの買取を何回かに分けて利用した。

 遊休資産を処分するだけで、一度に数万円のキャッシュが手に入るのは嬉しかったが、そもそも、無駄な買い物をしなければ、売却損も発生しなかっただろうにと、ストレスで衝動買いしていた過去の行動に内省しながら、ありがたく生活費に充てた。

 本業の傍らで半年程度取り組むうちに、現物資産のおよそ8割を処分し、その後の引越しでは軽自動車1台に積み込める程度の総量となっていて、身軽さを実感した。

 それからは、遊休資産の処分で得たキャッシュで生活は出来なくなったものの、趣味の費用に関しては、何か欲しいなら、今持っているものを手放すことを原則として、持ち物を売って得た資金の範囲でやりくりするルールを定め、破綻するどころか毎年万単位で収益を繰り越し、今年で4年目に突入している。

 コツとしては、ネットショッピングで何かを買った時に、副産物的に届く段ボールと梱包材を再利用して、持ち物を売ることである。これなら、すんなり欲しいものと手放すものをトレード出来るだけでなく、日用品を購入した際の資材も資源回収に出す位なら、何か整理して処分できないかと考えるようになり、細々と整理している。

 遊休資産を集中処分した当時に厳選して残された2割のモノに関しても、資産運用や自己投資を行う過程で価値観が変化し、半年毎に点検すると、別に保有するほど大事なものではないと思うことが多くなり、徐々にコンパクトにまとまっている。

 2年前に家賃削減を目的に1km先の物件に引っ越した際は、自力で台車を数往復転がすだけで済ませ、自動車すら借りなかった。来春に目論んでいる地方移住は単身者パックのお世話になる予定だが、ゆくゆくは機内持ち込みのバックパックと預け入れキャリーケースだけの、長期旅行感覚で業者に依存せず引っ越せるだけの身軽さを手に入れたい。

お金持ちは持ち物が少ない理由を推察。

 よく、お金持ちの家は物が少なく、きれいに整理整頓されていて、貧乏な家はモノが散乱している理由として、お金持ちはいつでも好きなものを買えるだけの余裕があるから今は買わない。結果として所有物が少ない。一方で貧乏人は今持っているものを手放したら、今度いつ手に入れられるか分からない不安から不用品を溜め込むが通説である。

 一理あるかも知れないが、だからと言って貧乏な人がミニマリストになったから必ずお金持ちになれる訳ではないだろう。

 私の推察では、お金持ちは身銭を切って所有する際、キャッシュを生み出さない物理的なモノは必要最低限に留め、他は株式などの人目からは見えないキャッシュを生み出す資産を積極的に保有している結果として、所有物が少なく部屋が整理されているのではないだろうか。

 他人の家にお邪魔した時に、物が少なく、きれいに整理整頓されていたら、もしかすると目に見えない資産をたくさん持っている隠れお金持ちなのかも知れない。そう思いながら人と接するのも、時には面白いかも知れない。

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