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デジタルデータは何だかんだで寿命が短い


定期的にやらかすデータの消失

 13インチに大画面化したiPad Airを購入し、新しいガジェットに浮かれていた矢先、USB Cで接続していた外付けSSDを取り外すつもりが、誤ってフォーマットしてしまい、およそ2TBのデータが吹き飛んだ。

 ヒューマンエラーを起こした要因として、酒を飲みながら操作していたこと。Apple信者でシステムUIの美しさを最大限発揮するために、言語設定を英語に設定していて、普段から大して読んでいないこと。それにより、EjectとEraseを誤認して、忠告を無視して全消去してしまった点が挙げられる。

 ネット老害感が出てしまうが、そもそもiPadのファイルシステムに、外部メディアのマウントを解除する項目などないのが、いわゆるパソコンとの大きな違いだ。

 コロナ禍で旅行をしなくなったことで、iPadの出番がなくなり売却し、MacとiPhoneだけで過ごす期間が4年近く続いていたことから、ファイル管理=Macの先入観が生じ、Macの感覚でiPadを操作したことで、何の躊躇いもなく誤操作でEraseをタップしてしまったわけだ。

 そして、タチの悪いことに、ファイル復旧ソフトはMacやWindows版はリリースされていても、iOSは当初、ファイル管理ができなかったことから必要性が薄く、よって高性能なファイル復旧ソフトの試用版の恩恵に預かれない側面がある。

 一応、ダメ元でいくつかのソフトウェアを試してみたものの、ものの見事に消去されていたため、直近のファイルの復旧は諦め、年1回程度の定期的なバックアップからコピーする形で復旧している最中にこの記事を記している。

デジタルアーカイブは後世に引き継げる?

 昨今、図書館や博物館などで、予算が許す限りのデジタルアーカイブ化が進んでいる。確かにアナログ媒体は場所を取るし、劣化を最小限に留めるよう適切に保管するコストもバカにならない。

 だからこそ、デジタルアーカイブ化により劣化しない電子データの形で、検索できるようにした方が、知的財産として便利なのは間違いない。

 しかし、最近話題の太陽フレアがどこまで影響を及ぼすのか解明されていないように、強力な電磁波を前にすると、電子記録媒体は便利ではあるが、壊れる可能性がゼロではないリスクが伴う。

 図書館や博物館では想定しづらいが、個人であれば、昔のVHSなどの記録を、デジタル化でパソコンに取り込んでしまえば、嵩張る原本は処分する可能性が高い。

 そうしてデジタルデータだけで保管していて、適切なバックアップを講じていないと、私のように定期的にやらかしては、バックアップまでのタイムラグにより、消えてしまうデータが出てくる。そう考えると、デジタルデータは何だかんだで寿命が短い。

 歴史上、現時点で証明できる最古の文明は、メソポタミア文明とされているのは、この文明の記録媒体が、石や粘土板(焼き固めて煉瓦にする)に楔形文字を記していたからだ。

 逆に中国は歴史は古いはずだが、紙で記録していたがために、焼損や劣化で消失してしまい、後世で歴史として証明するのが難しい側面がある。

 そう考えると、我々は後世に記録を残し、引き継ぐ手段として、デジタルアーカイブが果たして適切なのか、考えさせられる節はある。

 現にインターネット黎明期にやり取りされていた情報で、過去ログとして全部が保管されているのは2ちゃんねる程度なもので、昨今のヤフコメのように、記事の提供期限の到来とともに削除されていく仕様では、後から当時の記録を辿りたくなっても、当時残すべきと判断された、恣意的な記録以外は残らず、当時の大衆の温度感などの定性データは残らない可能性が高い。

デジタルデータの突然死にどう抗うか

 そんなこんなで、デジタルデータを集めては、定期的にやらかす形で、書き込んでは消してを繰り返している私だが、外部記録媒体を買い替えた際に、元々使っていた外部メディアをそっくりそのままバックアップとして保管しておくよう心掛け、年1回は整理整頓しながら更新しているため、消失したら絶望するレベルのデータを消したことはない。

 大事なデータほど、複数の媒体+クラウドで多重のバックアップを施しているからで、Prime会員は写真を無制限に保存できるAmazon Photosがなかったら、写真のデータの大部分は失っていた可能性が高い。

 ランニングコストを鑑みると、自前で大容量のHDDを調達して、そっくりそのままバックアップするのが経済的かつ合理的だとは思うものの、そもそも自分自身が100%完璧なバックアップをこなせる人間だとは、微塵にも思っていないため、場当たり的ではあるがデータを分散して保存するように努めることで、最悪の事態は避けられるようにしている。

 例えば、著作権的に問題のない映像であれば、公開の有無は別にして、YouTubeに上げておけば、ネット環境があればいつでも見れる。文書や表計算のファイルなども、機密データの類は持ち合わせていないため、Google Workspaceで読み込める形で、Google Driveに保管している。

 とはいえ、これらの考え方は、アナログ時代の延長線上であり、真のデジタルネイティブ世代は、サブスクでデータ管理そのものを外注・省力化していることを考えると、これからの時代、どこまで個人がデータ管理をすべきか、データ如きに労力を費やす価値が果たしてあるのか、誤って消すたびに考えさせられる。

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