あまり注目されていないJPXプライム150。
JPX日経インデックス400と何が違う?
2023年7月3日。日本株に新たな指数が加わった。JPXプライム150である。似たような名前の指数でJPX日経インデックス400がある。
こちらはTOPIXと似たり寄ったりで、インデックスファンドの本数も日経225やTOPIXと比べると少なくマイナー感は否めない。
その点、3日から算出開始されたJPXプライム150は、S&P500を意識したのか、成長性の高いグロース銘柄を中心に構成されており、最近話題のPBR1倍以上などの、株主に対する資本効率が比較的良い、いわゆる優良銘柄の詰め合わせがコンセプトとなっている。
そのため、トヨタ自動車(7203)やJR東海(9022)、ソフトバンクグループ(9984)と言った、大企業ではあるが資本効率がイマイチな銘柄は指数から除外されている。
日経平均株価だと、いわゆるゾンビ企業が混在して、日本株をインデックスファンドでマルっと買うことに抵抗感を覚えるが、成長性や資本効率を重視して選定されているJPXプライム150は、その心配が一定程度排除されている。
JPX日経インデックス400も、資本効率が選定基準のひとつである点は同じだが、圧倒的横ばい力の代名詞とも言える日本株の上場企業3800社超から400銘柄を選出するとなると、どれほど玉石混交でも10社に1社は選ばれるわけでドリームチーム感はあまりない。
現にパフォーマンスも東証プライムを丸々飲み込んでいると言っても過言ではない、2,200社の詰め合わせであるTOPIXとほぼほぼ同じ値動きをしていることから、わざわざ別の指標として分ける意義があるのか問われると微妙ではある。
その点、上場企業の上位4%まで絞り込んだJPXプライム150は、信託報酬などの手数料次第ではあるが、インデックスファンドにおける日本株の代表格となり得るポテンシャルは秘めているように思う。
優良企業=優良銘柄とは限らない。
そもそも一介の個人投資家としては、企業が優良か否かと、実利に結びつくかは別問題だと捉えている。
株価は美人投票的な側面があり、自分が良いと思っている銘柄よりも、みんなが良いと思うであろう銘柄の株価が上昇する。つまり、誰もが知る優良企業ほど、そこの出資者の権利を小口化した株式を欲しいと思う人の数は多い。
結果として株価は基本的に割高の状態で推移するため、結果として高値掴みだった。なんて事態になりかねない。そのような銘柄が安く買える時というのは、往々にして〇〇ショックなどで、どの銘柄も関係なく軒並みパニック売りで下落している時だけである。
だからこそ、個人的に平時で買い入れるような銘柄は、一捻りしてポテンシャルがあるにも関わらず、日の目を浴びていないために、割安なまま放置されているであろう企業を選定することが多い。
そんなバリュー株寄りの投資手法と相まって、常に市場の期待を上回り続けなければ、株価が右肩上がりを維持できないグロース株の集合体が、果たして長期目線で高いパフォーマンスを維持できるのかは、注視する必要がある。
とはいえ、成熟企業で安定配当がウリのバリュー株だけ揃えたところで、日本は人口減少社会で、経済規模が縮小している以上、縮小再生産の一途を辿る可能性は高い。
そのため、確固たるビジネスモデルを構築していながらも、余剰で新規事業に挑戦し続けるような、グロース株的な側面も投資する上では重要だと考え、これを煎じ詰めるとバランスだとか、分散だとか、取るに足らない投資戦略に集約される。
結局のところ、近い将来にどの業種が爆発的に伸びるかを予測することが不可能な以上、保守的であればあるほど、割安で買っておいた方が良いのが不変の真理であり、優良企業の詰め合わせであるJPXプライム150が、S&P500のようにファンドとして優良になるかは、今の段階では何とも言い難いが、少なくともこれまでの日本株にない指標であることは確かである。
規模の経済を考えると知名度は重要。
私は日本株を裁量で取引している代わりに、海外株は非裁量取引であるインデックスファンドで淡々と積み立てて、どちらの方がトータルリターンが高いか、勝手に競争している。
そんなインデックスファンドでも、全世界株式なのか、米国株式なのかと投資先を絞り込む際に、同じような投資先のファンドが複数ある場合がある。
そんな時に私は日経電子版の時価総額ランキングを参考にして、比較検討するファンドの中で最も順位の高いものを選ぶよう心がけている。
これは経済学で「規模の経済」と言われている概念で、一定以上の規模になることで、顧客一人当たりが負担している原価が抑えられる。
仮に1億円する洋服製造の機械設備を導入したとして、100万着作った時の、1枚あたりの機械設備代は100円相当だが、1億着作れば1枚1円になる。ユニクロのコスパが良いのは、この原理に他ならず、同業他社のアパレル業で、同等の品質のものをユニクロよりも安く作ることは、事実上不可能な世界規模で製造している。
投資信託でも同様で、いくら機械的に買い付けるインデックスファンドとはいえ、ファンドマネージャーは存在するし、賃金は信託報酬として価格転嫁される。
同じ指標を目指すファンドなら、みんなが買っているものを選べば、一人当たりが負担する信託報酬が少なくて済む可能性が高い。
そう考えるのが合理的である以上、JPXプライム150の投資信託やETFが登場する際に重要なのは、みんなが投資したいと思える構成銘柄である以上に、そもそもの知名度が重要になってくる。その意味で、あまり注目されていない状態は、日本株にとっては好ましい状況とは言い難いのかも知れない。