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スーツ着た人から金融・経済の話を聞きたくない


食い扶持が手数料の証券マンと、売買益の投資家、どちらがプロ?

 私は模型時代のきかんしゃトーマスを観て育った世代のため、ブラックジョークが好きで、口と意地が悪い。ついでに身も蓋もないオチと顔芸、死亡フラグという言葉がなかったであろう時代に、雪の日に従事者がココアを飲む事実上の死亡フラグも嫌いじゃない。まぁ待てよ、こりゃあうまいココアだぜぇ!

 なぜこんなにも冒頭でくだらないことを記しているかと言えば、この先ブラックジョークの伏線回収があるからに他ならない。決して、きかんしゃトーマス原作出版80周年記念の24時間ライブ配信に夢中で、厳選された全てのストーリーに目を通すのに2時間を費やしてしまったからではない。

 さて、ここからようやく「スーツ着た人から金融・経済の話を聞きたくない」という私の持論を展開する。ドロップアウト組である私は現在、主に株取引で生計を立てている。

 平日の9時〜15時は、日本株の市場が動いているため、画面の前に張り付いて値動きをチェックしており、投資妙味のある銘柄を見つけては、利益の源泉もとい種籾を植えて将来に備える日々を繰り返している。今のところ、地合いが良いこともあり、ドロップアウト直後より純資産価額は思った以上に増えている。

 一応、日商簿記とFP技能士の2級は有しているが、出自は金融機関ではなく鉄道員と、畑違いも甚だしい。つまり、自身の投資経験を基に独力で市場から利鞘を取りに行っている訳だが、どう足掻いても世間一般の評価は、「金融機関従事者>株トレーダー」の図式となる。

 しかし、冷静になってよくよく考えてみていただきたい。多くのパンピーが金融のプロだと思っている、金融機関でスーツを着た人の、賃金の源泉はどこから来ているのだろうか。

 多くは皆さんから広く薄く集めたお金を、自社で運用する際の信託報酬であったり、営業マンから勧められるがままに購入している商品に含まれる手数料が源泉である。

 世間一般の評価とは裏腹に、食い扶持が手数料の証券マンと、自分の腕が頼りな売買益の投資家とで、どちらがプロらしいかは火を見るよりも明らかだと思うが、いかがだろうか。この一節は、それを裏付ける秀逸なブラックジョークで締めさせていただく。

”ウォール街は唯一、ロールスロイスで送り迎えされる人が地下鉄で通う人からアドバイスをもらうところです。”

お金に困らない人が学んでいること|岡崎 かつひろ

潜在投資家のニーズに、お堅い人だけで応えられる?

 しばしば経済メディアなどで、尤もらしい理由を並べては、この先の日経平均株価がいくらになるかと、大喜利以上でも以下でもない茶番に参加しているアナリストを目にする。

 しかし、未来のことは詐欺師と未来人にしか分からないのだから、予想するだけ無駄骨であって、情弱を煽るのがマスメディアの宿命とはいえ、それに加担している時点で、本質的にやっていることは詐欺師と変わらないと私は考えるが、いかがだろうか。

 そもそも、金融経済の情報を扱う職種に就く、いわゆる世間一般で言うところのプロの方々は、パンピーや我々個人投資家では知り得ない情報を手にいれる機会が多く、インサイダー取引を疑われないようにする観点からも、自身の裁量で運用することはタブーとなっている。

 つまり金融機関は構造上、自身の裁量で運用することで得られるであろう、相場からの生きた情報を持ち合わせていない人たちが、今現時点の経済動向に対して、尤もらしい理由を並べて解説する矛盾が生じてしまう。

 反対に玉石混淆が故に世間一般からは胡散臭いと敬遠されがちな個人投資家は、相場からの生きた情報を基に、切った貼ったの世界で退場せずに生き残っている実績があるのだから、そういった方々から金融・経済の話を聞いた方が、いわゆるスーツ着た金融機関の方よりも、得られるものが多いと考えるが、いかがだろうか。

 玉石混淆な個人投資家の信頼性をどのように担保するかが課題かもしれないが、ガチ資産家は否応にも大量保有報告書に実名が記載されてしまうため、華々しいバックグラウンドの持ち主でなくとも、株式会社〇〇の大株主の時点で裏が取れているも同然だろう。

 仮に詐欺グループが、時価総額が最小の5億円規模の企業で悪用しようにも、最低でも2,500万円必要となる上に実名が載ってしまう構造上、身バレのリスクを犯して、かつ多額のコストを投じて投資詐欺をするだけのインセンティブはないと思われ、そこまで手の込んだことをやるなら、普通に投資した方が良い。

 上記を踏まえると、新NISAで投資した方が良さそうな雰囲気にはなっているが、何をすれば良いか分からない。でも、スーツ着たお堅い人から金融・経済の話を聞きたくない…と思う潜在層は決して少なくない筈である。

 そうしたニーズに応えられる可能性のある、私よりも凄い個人投資家の方々が、堅くないユルめの投資セミナー等で活躍できる環境を、国策で整備せずに取り零すと、潜在投資家が瞬く間に詐欺被害者となる危うさが内包しているのが、今の日本社会の置かれている状況だろう。

 昨今、資産運用立国の流れを加速するために、国策で金融経済教育推進機構たるものができたが、私が冷やかしで認定アドバイザーに申し込んでみたところ、1ヶ月経っても一向に書類審査の結果が来ない体たらくだ。

 金融機関OBの天下り先としての運用を想定しているならば、世間の潜在投資家が「スーツ着た人から金融・経済の話を聞きたくない」層にまで浸透した瞬間に、無用の長物と化し、単なる税金の無駄遣いとなるような未来が到来しそうな気がしてならない。


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