2~3%の下落は想定内。
金融危機は投資家のリトマス試験紙。
先日、FOMCで利上げが決定された煽りを受けて欧米株が下落。日本株も煽りを受けて続落した。SNS界隈では、ネタなのか本気なのか、真相は定かではないが暴落などの悲鳴が聞こえるが、この程度の下落は長期間投資をしていれば〇〇ショックよりも遥かに高頻度で発生するため、私個人の感想では誤差の範囲内で大袈裟だと感じてしまう。
仮に本気であればリスク許容度を見誤っているし、ネタであれば投資初心者に株式は怖いものと言ったネガティブな先入観を与え、投資人口が減少することで、長い目で見れば自分達の首を絞めることに繋がりかねないため、発信する意図がわからない。
後者は私個人ではどうにも出来ないから放っておくとして、前者で気分が沈んでいる方は決して退場する前に、これを機に自身のリスク許容度に見合った投資方針を模索して頂きたいと思う。
私は通常時は所持金の95%程度を有価証券で保有していることもあって、2020年の疫病に伴う暴落の際に、社会人1年目の手取り相当の時価総額がものの数日で吹き飛んだ計算になっていたが、特に落ち込んだ記憶はなく、バーゲンセール感覚で余っているキャッシュの殆どを買い注文に充てていた。
どれだけの時価総額が短期間で吹き飛んだら恐怖を感じるのか、投資の世界に足を踏み入れて何年も経っているが、未だに分からないため、常に資金の95%をベットしている。現物取引のみで追証やロスカットの心配がないため、仮に保有資産の時価総額が億単位になっても、変わらず現金はフルベットしているかも知れない。
過去にコインチェック社のネム流出事件でオルトコインの全口座が凍結された時だけは、さすがに恐怖心を感じたものの、投資を始めて最初に味わった危機的状況がそれだったため、ショック療法的な形で耐性が付き、暴落程度では退場しない精神が身に付いたのであれば、我ながら良い経験だったと思う。
ある意味で、最初に経験する暴落は、投資家としての適正を測るリトマス試験紙なのかも知れない。
最後にゼロを乗じたら意味がない。
世界同時株安となると、どの株式を持っていてもある程度の下落は免れない。私もFOMCの決定は確認するし、それによって米国株式にどの程度の影響があるのか予測した上で、一晩で自身の総資産がどの程度減少するのか、下落率を予め悲観的に見積もっている。
だから、実際に数十万円単位で下落したところで、事前に想定していた下落率の範囲内で変動することが大半であるため、2~3%の下落では動じなくなる。
もし、2~3%の下落に耐えられないのであれば、リスクの取り過ぎであるため、投資元本を失っても良い資産額に33~50を乗じた額までに留めるか、よりボラティリティの低い金融商品に投資するなりで、投資方針を見直した方が、退場する事態を避けることに繋がり、結果として投資家人生で複利の恩恵を受け続けることにつながる。
周囲が流行りの銘柄で大きく儲けているのを見ると、自分だけ置いて行かれる感覚に襲われるかも知れないが景気は循環する。自分に合った投資方針と相場の地合いが偶然一致して調子が良い時もあれば、そうでない時もある。
その場その場で器用に投資方針を変えるのもひとつの手だが、それで大きな利益を手にできる人は極一部であることを理解した上で方針変更すべきだし、バブル状態だと基本的にはババ抜きであるため、周囲に流されているだけだと養分になりかねない。
自分のペースでコツコツ資産を築くのが遠回りに見えて一番の近道だったりする。途中、どれだけハイペースで運用したところで、最後に乗じる数字がゼロになった瞬間、全てが無に還るのだから、派手に勝つことよりも、例え地味なやり方でも、自分に合った負けない手法を確立することが重要ではないだろうか。
高配当銘柄は下落がマイルド。
負けない手法の一例が高配当銘柄である。グロース株の場合、株主に利益を還元するよりも、事業投資によって規模を大きくした方がキャピタルゲインのリターンが大きいため、収支トントンで税金を抑えつつ、配当も行わない傾向にある。
反対に、高配当銘柄は安定して利益を生み出せるような、成熟産業である場合が多く、設備投資先も限定されているが故に、株主に配当で還元している具合である。
バリュー株、グロース株論争をするつもりはないため、ここでは割愛させて頂くが、高配当銘柄の場合、配当が株価下落を支える担保となっているが、ゼロ配当のグロース株では、下支えする材料がないため、下落するときは物凄い勢いで下落する傾向にある。
例えば、暴落以前に配当利回りが4%の銘柄が、何かの暴落で半値になったら、配当利回りは8%となるが、実際のところ、優良銘柄であればあるほど市場原理によって、株価に対して8%の配当が付く状態になるまで下落しない。
配当利回り5%でも欲しいと思う市場参加者が大勢いて買い支えられるため、半値になることはほぼほぼなく、暴落時でも下落幅は2割程度で済むことが多いが、グロース株だと将来性を見越して割高でも買われているため、相場が総悲観となると将来性は下支えにならないことが多い。
私がバリュー株投資がメインであるため、ポジショントークと捉えられても仕方がない状況ではあるが、一理あると感じた方は、少しだけで良いから高配当銘柄を検討してみてはいかがだろうか。