何をやるかよりも、何をやらないか。
新年だからと無理に抱負を立てる必要なし。
「人は1年でできることを過大評価しすぎる。そして10年でできることを過小評価しすぎる」アメリカの名コーチであるアンソニー・ロビンス氏の格言だ。
人は往々にして新年になると、抱負だなんだと1年でできることを過大評価しては、ものの数ヶ月でなかったことになって、同じ1年を繰り返しているが、そんな無駄なことをするくらいなら、端から抱負など立てるべきではなく、必要性を感じないと私は考えてしまう。
そもそも、人生において本当に大切なことなど、1年で成し遂げられやしない。真の抱負とは、1年で出来る微々たる変化を重ねることで、数年後に初めて目に見えた成果として現れる一大プロジェクトの、中間目標のようなもので、いかにもな新年の抱負で立てるようなものとは似て非なる、一見すると地味なものだろう。
しかし、そのような地味な目標を立てて、それに向かい愚直に突き進める人はそう多くない。だからこそ、10年で出来ることを過小評価せず、大きなな目標と、堅実な中間目標の設定が何より重要と言える。
とはいえ、それをわざわざ新年に設定せる必要性は感じない。現に私はコロナ禍を機に、通信制大学での学び直しによる学歴ロンダリングに着手して、今年に入ってようやくそれが成就するが、決断したのは9月だった。
やり方は人それぞれあると思うが、一般論では大学の入学時期は基本的に4月か10月となる訳で、新年の抱負を立ててから実行に移すまでの、心の準備期間として3〜9ヶ月は長いように思える。逆に新年だからと、無理やり目標らしきものを見つけて、抱負を立てても仕方なく、故に必要性を感じない。
敢えて暇人であり続ける、余白の重要性。
思い立ったが吉日の言葉にもあるように、やりたいと思ったら即座に着手するくらいのスピード感の方が、長いようで短い人生を充実させるためには、重要ではないだろうか。
個人的な感想の域を出ないが、想像と違ったら軌道修正すれば良く、やらない後悔が募って最期を迎える姿を想像すると、悩む時間がもったいないと感じる。
そのため、悩むくらいならあまり深く考えず行動に移しては、極稀にバカを見て後々笑い話にするくらいの温度感とフットワークの軽さが、変化の激しい時代には合っているように思う。
思い立ったが吉日で新しいことを始められる程度に、フットワークが軽い状態を実現するためには、日常生活に余白がなければならない。つまり、常日頃、自分が何をやるのか以上に、何をやらないかの取捨選択が必須となる。
この作業は思いのほか骨が折れる。何と言っても惰性かつ無意識的にでやっていることに意識を向けて、逐一、人生にとって有益なのか。労力に見合うだけのベネフィットが得られているのか。これらを検証しなければならないからだ。
視点を変えれば、常識という名の固定観念を疑う作業と言える。洗濯は洗濯機任せなのは今や常識だが、お掃除ロボットや食洗機、自動調理鍋を導入して、徹底的に家事の大部分をやらないよう、時短家電全般に設備投資している人は未だ少数派だろう。
家計簿アプリとクレカの合わせ技で、現金決済以外を自動的に仕訳される仕組みを構築すれば、紙とペンで家計簿をつける習慣そのものが必要なくなる。
これまで、紙媒体は何でもスキャナを通して電子化していたが、家計簿アプリの自動仕訳があれば、レシートをデジタルデータとして取り込む必要性がなくなった。
それに派生して、そもそも取扱説明書や、株式関係書類のIR資料などの、Web上でPDFファイルでダウンロードできる資料も、手間をかけて取り込む必要性がないため、資源回収に直行するものが増えて、スキャナの稼働率が大幅に減少した。
こうした自問自答と検証を繰り返すことで、敢えて暇人であり続けるよう努めている。そうすることで、急に興味が湧いてやりたい衝動に駆られても、時間がないからとか、やらない言い訳を考えては、今はやれないと我慢する必要がなくなる。
引き算的な発想で、目標設定をする。
別に新年の抱負以前に、5年、10年スパンの野心など思い浮かばない人であれば、場当たり的に目標をでっち上げては、達成できずに一年が終わる自己嫌悪に苛まれる足し算的な発想ではなく、思い切って何をやめるか的な引き算的な発想で目標設定するのが堅実ではないだろうか。
スキマ時間や通知につられて、つい見てしまうSNSアプリをアンインストールして、Web上でしか見れないようにする。わざわざWebで開くのが面倒で、使用頻度が減れば必要性が低い証拠だから、その頃には思い切ってアカウントを削除しても何ら影響がなかったりする。
SNSで埋めていたスキマ時間を空白に還元すると、移動時間にメールなどの細かいタスクの処理に充てられるかも知れないし、手持ち無沙汰を感じたら読書の時間に充てられるかも知れない。
やれ自己投資とかリスキリングと言われたところで、そんなことをする時間はないと思い込んでいるようであれば、やらなくていいことをあぶり出す良い機会かも知れない。
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